前回までのあらすじ流しのミニヨン・レーサー北川は手がかりを求め、新宿三丁目に降り立った。そこに謎の美女、サラが現れる。二人の間に何があったのか、まだ分からないままだ。
新宿三丁目の大通りから暗い路地に入っていく北川、それに続く浜田と学生。廃墟となり立て替えようとしているビルの横にポツンと明りがついた部屋があった。
近づくと聞きなれた音が聞こえてくる。
シャーーーシャーーーーシャーーーッ
ミニ四駆の走行音である。ミニ四駆はそれ自体は小さいがローラーベアリングがコースにこすれて回転する時に特有の金属音がする。特に速度が高くなるとその騒音は高く、閉め切った部屋の中では会話もままならないほどだ。
あかりのついた部屋の入り口には「趣味のバー:スーパーノヴァ」と書かれていた。
Shuminova2013年 春にOPEN予定の趣味をコンセプトとしたカフェ&バー"Shuminova(しゅみのば)"
ミニ四駆、レトロゲーム、音楽など
さまざまなHobby、Gameコンテンツを取り揃えたコミュケーショスペースです。
浜田「ここにミニ四駆飲み屋があるなんてなあ、意外だぜ」
学生「飲み屋というよりも、なんだかカフェみたい。新橋とは雰囲気違いますね」
二人はキョロキョロと当たりを見渡している。スーパーノヴァの中にはカウンターバー、そして通路には無造作にミニ四駆コースが置かれており、大勢の客がミニ四駆を走らせて賑わっている。
客A「チクショー、また負けた!」
客B「フフフ、これでオレの5連勝だな」
客A「今日はもうハコだ...降りるよ」
客が十数枚の札をマスターに渡しているところをみると、1レース単位の賭けではなく、連続して勝つと賭け金が2倍になる「ダブル」でやっているようだ。
客B「今日は気持ちがいいねえ、プレミアムハイボールちょうだい」
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北川がカウンターに座り、浜田と学生もならって座った。
店員「いらっしゃい...」
店員が怪訝な顔で北川を迎える。
北川「ミルク、ストレートで」
店員「あいにく、うちはミルクを置いてないんで...」
客B「ハハハ、ミルクだってよ」
客C「ここはバーだぜ、来る場所間違えてるんじゃないのか? 家に帰ってママにでも飲ませてもらえよ、ヒヒヒ」
酔っ払った客はどこも同じだ、低俗な言葉を使って挑発する。北川はいきりたとうとする浜田を制し、カバンから学生のマシンを取り出してカウンターの上に載せた。
北川「人を探しているんだが、このマシンに見覚えはないか」
学生の父が残した古いマシンを見た瞬間、店員の顔色が明らかに変わった。
店員「さ、さあ。私はアルバイトなもので、よくわかりません。それよりオーダーを」
北川「...この店も随分変わったものだな。昔はミルクを置いていたのにな、まあいい。オレンジジュースでももらうよ」
北川がマシンを静かにしまおうとしたとき、客Bが北川に絡んできた。
客B「よう、俺と1ゲーム楽しまないか。新顔っぽいからな、レートはテンゴ(5000円)でいいぜ」
北川「・・・新顔、テンゴ、か。フッ」
客B「なに、何がおかしい!」
北川「1ゲームなんだろ、10でいい。」
客B「10だと! なめやがって」
1レース10万円の賭け金である。さすがの浜田もビビっている。
浜田「兄貴、ヤバイでっしゃろ、さすがにでかすぎますよ」
北川は一向に気にせず、こう続けた。
北川「負けたら10払おう。しかしオレが勝ったら、ちょっと話をさせてもらえないかな」
客B「いいだろう、よし、ミニ四駆で勝負だ!」
余裕シャクシャクの北川。しかし賭け金は10万円。この勝負、北川は勝てるのか?
(づつく)
(ミニ四駆小説は2日に1回の更新予定です)
この小説はフィクションで、実在の人物・団体と一切関係ありません。賭けミニ四駆レースは法律で禁じられています。
ミニ四駆は株式会社タミヤの登録商標です。
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