ミニ四駆小説「流しのミニヨン・レーサー北川」:第4話 賭けレース #mini4wd

前回までのあらすじ

流しのミニヨン・レーサー北川は「新宿」に行く時機を見計らっていた。そこに高尾のミニ四駆専門店の店主から渡したいものがあると言われ、「高尾」に行くことにした。

高尾駅。

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(Flickrより:イメージ写真)

浜田「おお、天狗やないか。でかい鼻やのお」

学生「この近くにある高尾山は天狗の里と言われ、昔から天狗伝説が伝承されているところですね。それとこの駅舎を見て下さい、重要文化財に指定された大社駅をデザインした曽田甚蔵がデザインしたもので、昔ながらの構造がノスタルジックですよ」

高尾駅 (東京都) - Wikipedia

関東の駅百選に選定されている社寺風デザインの北口駅舎は、大社線大社駅を設計した曽田甚蔵が設計、1927年(昭和2年)に竣工した2代目である。これは、元々大正天皇の大喪列車の始発駅として新宿御苑に設置された仮設駅舎 (995m²) を移築したもので、初代駅舎の木造平屋建て90m²から木造平屋建て298m²と大規模になった

北川は物見遊山の二人を無視し、足早にミニ四駆専門店高尾サーキットへと向かう。

・・・

北川「お久しぶりです」

高尾店主「おお、北川くんか、よくきたね。まあまあ座って、まずは飲み物どうぞ」

北川「ありがとうございます。ところで渡したいものがあると聞いたのですが・・・」

高尾店主「今度新宿に行くんだろう。そうであればその前にちょっと耳に入れたいこともあってね」

高尾店主はゆっくりと話しはじめた。その内容はこうだ。

最近流行の賭けミニ四駆レース。新橋の飲み屋も最近手を染めてしまったが、どうもこの流行の陰に仕掛け人がいる。それはその昔腕をならした腕利きのミニヨン・レーサーたち。

彼らは寝食を忘れ、来る日も来る日もミニ四駆を極めていった。そして会社に行かなくなるもの、本業がおろそかになり廃業するもの、家族に愛想を尽かされて一人になったものもいるという。金に困った彼らが手をだしたのが賭けレースである。

最初は1レース100円、ジュース1杯からはじまった、ちょっとした遊びの延長であった。しかしそれがビール1杯に、飲み代、焼き肉代とエスカレートし、1レース1万円になるのには時間がかからなかった。

もともと腕利きのミニヨン・レーサーたちだ。勝負をすれば9割9分勝てるのは間違いない。そうしているうちに一晩で数十万から100万を超える荒稼ぎをするようになったのだ。

しかし大金が動けば、好まざる客もやってくる。闇社会だ。

飲み屋はもともと闇社会がショバ代をとっていて、密接な関係がある。今でこそ直接的なショバ代はないが、出入り業者として仕事をもらっている。

闇社会は飲み屋にミニ四駆コースを納入し、賭けレースを組織的に主催するようになる。闇社会は最初はショバ代だけをとっていたがこれが儲かると分かってからは、仕込みの客を入れるようになる。名うてのミニヨン・レーサーのマシンであることを隠し、一般人にレースをもちかけ、勝って金を巻き上げるのだ。

しかしレースはレースだ。普通にやっていてはすぐに勝てなくなってしまう。そこで闇社会が考えついたのは、ミニヨン・レーサーの幽閉である。地下工房でミニヨン・レーサーに勝てるマシンを作らせ続けているという。そんな地下工房の成果が初期の提灯マスダンパーだという。これは地下工房が暗く、照明が提灯しかなかったことに着想して作られたらしい。

和提灯 - Japanese Lanter at Kyoto
(Flickrより:イメージ写真)

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各地で消息をたったミニヨン・レーサーが各地で多くいるというが、どうもこの闇社会と関係しているという。

北川「・・・やはりそうでしたか。ところで渡したいものとはなんですか?」

高尾店主はニヤリとして北川にUSBメモリを渡した。

高尾店主「これにはな、これまでにタミヤ公式レースやミニ四駆ステーションで主催された全レースの全記録が収まっている。コース、タイム、参加者の名前、マシンの特徴、改造方法。これがあれば、マシンをみればだいたい誰が作っているか分かるのよ。それぞれ改造のクセや好みがあるからね。」

ミニ四駆のレースは全国各地のミニ四駆ステーションで行われており、店舗、開催日程は下記リンクから。

ミニ四駆イベント情報

ミニ四駆ステーション&ミニ四駆販売店 一覧

北川「全レースですか! どうやってこのデータを・・・」

高尾店主「フフフ、それは内緒だよ。個人情報もあるからね、メールじゃおくれなかったというわけさ」

北川「しかし道理で賭けレースが横行しているわけですね...あのマシンの作り主ももしかしたら」

高尾店主「間違いないね。ところで新宿にはいつ行くんだい?」

北川「・・・24日に」

高尾店主「ほお、ミニヨン(324)の日というわけか。」

北川「はい、24日には特別なレースが開催されるのが昔からの習わし、その日であれば間違いなく出てくるかと。」

深刻に話す二人と対照的に店の奥では浜田が品ぞろえに狂喜乱舞している。

浜田「うぉ、レアキットにレアパーツだらけだ! ここはミニ四駆のワンダーランドじゃい!」

落ち着け浜田。

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24日に新宿に行くことに決めた北川。はたして鬼が出るか、蛇がでるか。

(つづく)

(ミニ四駆小説は2日に1回の更新予定です)



この小説はフィクションで、実在の人物・団体と一切関係ありません。

賭けミニ四駆レースは法律で禁じられています。

ミニ四駆は株式会社タミヤの登録商標です。

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高尾山帰りに寄れます。