押井守監督の短編映画「.50 Woman」が色々凄かった件

押井守監督といえば、ミリタリーについて造詣が深いことでも有名。ケルベロス・サーガの中でも香港を舞台にした「ケルベロス」は公開当時映画館にわざわざ見に行きましたよ。

押井守監督作品に欠かせない、重厚な音楽を提供する川井憲次さんですが、その川井憲次さんを苦しめた作品があるというのです。

スタッフインタビュー:vol.12 音楽 川井憲次さん|日活

たいへんなのはどんな作品ですか

やっぱりアクション映画がたいへんですね。画に合わせて音楽を作るところが沢山ありますから。でも、逆に静かな作品のものはその心情をどう出すかがたいへんですし...種類が違うだけでたいへんさは同じでしょうか。音楽の数にもよりますが、作るときは締切から割り出して作ってゆく事もあります。2週間ぐらいで、しかも一日に6~7曲作らなければいけない時もありますしね。

今まで作ったものの中で一番長かった曲は『KILLERS〈キラーズ〉』(押井守監督)というオムニバス映画で16分半ありました。映画の本編が18分ものなんですけどね。(笑)

押井監督作品、KILLERS「.50 Woman(ハーフウーマン)」はどういった映画なのでしょうか?

KILLERS キラーズ インタビュー: 押井守監督インタビュー - 映画.com

「スナイパーがターゲットを待っている間、一体何をしているのか、というのがそもそもの出発点。そして、僕は食事のシーンを撮るのが好きなのと、一度コンビニのパンを全種類食べてみたい欲求があったから。最初はビルの部屋に次々と出前がやってくる設定も考えたが、人件費がかさみ予算超過になるために菓子パンとおにぎりの形になった」

「これはM500アンチ・マテリアル・ライフルというもので、もともとは戦車や装甲車の車体を撃ち抜く時に使う兵器。口径が1インチの半分であることと、ニューハーフをかけたのがこのタイトルになったんだ。だいたい日本にライフルを構えて絵になる女優さんっていない。この銃だって特注の削り出しで重量があるから、物理的にも女性では持ちきれない。その時に気付いたんです、女に見えれば女じゃなくてもいいんだ、と」

で、ハーフ・ウーマン(.50 Woman)。基本的にダジャレです。

そして狙撃手が狙う悪徳プロデューサーはかの有名な鈴木敏夫ご本人。スタジオジブリもちらっと出てきます。

「まあ、低予算だからこその人脈、というべきでしょうか。もともと僕の持論として権力者は破滅指向があると思うんです。だからあんな風に狙撃される役柄でも、気に入って引き受けてくれましたよ」

さすがは鈴木敏夫さんですね、懐が深いというかなんというか。

動画はこちらからどうぞ。


全体的にやっぱりセンスいいと思うんですよね。なんというか笑いのセンスというか、ニヤリとさせるところが。限られた予算の中でこうやってまとめあげる能力も凄いです。そして最後はスタッフロールではなく、菓子パンロールで締めくくると。つまり主演、主役は菓子パンだったということです。もう狙撃銃、関係ないじゃないw

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