ネット時代のデザイン・ポータビリティ! ヤマハ・グラフィックグランプリ開催

一体どんなコンテストなのでしょう?

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なかなかパッと分かりにくいのは、それが「グラフィック」という広くて曖昧な言葉を使っているからかもしれません。

Graphic Grand Prix by Yamaha (グラフィック・グランプリ by ヤマハ)

Graphic Grand Prix by Yamahaは2次元(=平面)の静止したアートワークであれば、ジャンルを問わずあらゆる作品募集を受け付ける総合的なコンテストです。制作手段もデジタルツールからキャンバスへの油彩まで、あらゆる手段を認めますが、作品としての提出形態はデジタルデータに限ります。

グラフィックといえば、たとえばこんなものもグラフィック。

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(ゴールドディスク)

惑星探査船ボイジャーに搭載された、地球外生命体にあてたメッセージ「ゴールドディスク」。どんな知的生命体に拾われるか分かりませんが、地球の存在、人類の存在が分かるようにアピールしてあります。本当にこれで伝わるかどうか、そもそも地球外生命体が存在するのかすら分かりませんが、その可能性にかけてデザインされた、腐食しない金でできた絵柄もグラフィック。

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ラスコーの壁画。絵画ともいえるものですが、描いた旧石器時代後期のクロマニョン人が1万5000年後発見され評価されることになるなんて、想像もつかなかったはず。人類の進化の歴史を感じさせる歴史的遺跡もグラフィック。

そう考えると時と空間を超えるのはグラフィックだけなんじゃないか、という気にもさせられます。ということで、ネット時代のグラフィックコンテストが行われたんじゃないでしょうか。

今回の評価の基準は時と時間ではなく、媒体、通信路と表示形式。3インチの液晶でみようと、100インチのプロジェクタでみようと、良いものであったり、それぞれで魅力があったりといったポータビリティが求められます。

Graphic Grand Prix by Yamaha (グラフィック・グランプリ by ヤマハ)

今では作品の発表も、ネットで一瞬にして世界へ向けて可能です。デジタルで作品が流通していく中では、どんな環境・メディアで作品が出力・表示され、展示・掲示されるかを、アーティストはコントロールすることはできません。大きくプリントアウトされるかもしれませんし、スマートフォンの画面で小さく見られるのかもしれません。そんな時代にあって、本質的な強さを持つグラフィックを見てみたい。

ポータビリティと一言でいってもそう簡単ではなく、小さくするとイマイチだったり、逆に大きくしたら超よくなったりと、まあ想像がつきません。

最近はやりのプロジェクションマッピング、たとえば Perfumeのライブでいえば東京ドームの「Perfumeの掟」の10人のかしゆか、JPNツアーの「JPNスペシャル」がそれに相当しますが、これらはあの大きさだからこそ成立する魅力あるコンテンツ。10人のかしゆかはかしゆかと等身大のグラフィックが10人出てきてシンクロして踊るところに価値が見いだされます。

Perfume LIVE @東京ドーム「1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11」 参戦レポート:Perfumeは世界を救う ([の] のまのしわざ)

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本来グラフィックは大きさに依存するものであり、それにポービリティを持たせようというのであれば、一筋縄ではいかないような気配。私はデザインはよく分かりませんけど、もし10人のかしゆかを3インチでみてもそれが成立するようにするとしたら、スモールライトばりになにか仕掛けを裏に仕込まないといけない気がします。

きっとそんなことを考えながら、多くのデザイナーが応募するのでしょうね。

今後の展開が楽しみです。みなさんもぜひどうぞ!