廃村「大平宿」で江戸~昭和の暮らしを体験(後編)

廃村の古民家なので畳敷きがあるだけで、布団はなし。寝袋やマットがあると寝やすいですが、うちは座布団と毛布で代用。ところがです。

昼はあんなに暑かったのに、夜は冷え込みが厳しく。窓あけたまま寝ていたら夜中寒くて起きてしまいました。窓を締めたものの、隙間風がぴゅーぴゅー、冷え込みが止まりません。とくに私は窓際に寝ていたので寒くて寒くて、当初は半袖Tシャツに半ズボンだったのに、長袖シャツ、パーカー、長ズボンに着替えてさらにそれでも寒くて起きてしまったほど。

朝8時に起きてみるとなんと窓はサッシという文明の利器になっていたにもかかわらず、締める方向が逆でピッタリ締まらなかったという罠でした。まあ廃村っぽいリアリティがあってよかったかも・・・まあ風邪ひかなくて幸いでした。

子供たちは朝もはよから遊びに夢中。

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スイカ割りして楽しんでましたよ。川で冷やしたスイカは冷たくて美味しかったです。川といっても人工的にひいた生活用水ですが、200年以上前なのでもはや自然と同じ。最初メダカかと思った魚は、岩魚の稚魚でした。

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我がグループは徹夜組が多かったので、朝は遅くスロースタート。それでも朝から野菜たっぷり豚汁とダッチオーブンで美味しい朝ごはんをいただきました。ダッチオーブンは蒸し焼きだったのすが、余熱であっというまに黒こげに。調理したらすぐに上げた方がいいですね。

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散歩したり後片付けをしたりして、昼頃に宿を出ます。ところがここで色々な問題が。

@kotaro269さんの iPhoneが無くなったり、うちの懐中電灯がなくなったり。神隠しです。

結局どちらも出てこずじまい。懐中電灯はともかく、 iPhone4が無くなったのはイタすぎますね。電波が届かないから鳴らすこともできないし、GPS機能をつかうこともできません。廃村、おそるべしです。

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ということで皆様のおかげで楽しく1泊2日を過ごしました。特に準備や買いだしをして下さったマサシロウさんグループには大変お世話になりました。なにからなにまで有難うございました。

次回来るときはもっと自給自足、きちんと自分たちでやれるようにしたいと思います。そのためにもいくつか備忘録を。

・基本はキャンプと同じ。必要なものは持っていく
・廃村にあるのは、いろり、かまど、屋根、畳の部屋。お風呂も沸かせる。薪もある。
・食器関係
 食器セット(コッヘル)、コップ、箸、スプーン・フォーク類
 ガスバーナー(バックアップ用)
 懐中電灯(複数)、電灯があるのでガスランタンは特にいらない
・折り畳み椅子(ただし雰囲気保護のため表で広げられない)
・うちわ、軍手(火起こし用)
・クーラーボックス
・金網大小
・食材、飲み物
 お米は研いで早くから水につけておくこと
 カレーはやっぱり定番。カレーが食べたくなった。
 鍋もいいね。とくにいろりに鍋をかけてぐつぐつ煮るのもGOOD
・掃除用品
 洗剤がいらないスポンジ(洗剤は使用不可。これはキャンプでも同じ)
 ふきん、ペーパータオル
 雑巾
・虫よけ関連
 虫よけスプレー、キンカン、蚊取り線香、殺虫剤
・ごみ袋
・寝袋、銀マット
・雨具(念のため)
・着替え

奥様は「こういうところに住みたい!」と連呼していましたが、それはどうなんでしょうね。

母方の実家は30年前に築100年で同じような構造(どちらかというと妻籠宿の本陣のような造り)でしたが、その後その家は近代化が進み、当時の面影を残していません。

私の記憶では土間を超えてあちあちの五右衛門風呂に入り、洗い場もなければ、着替えるところもなかったように思います。さらにトイレはまさに雪隠、建物のはずれに配置され廊下は真っ暗。夜入りにいくのはマジびびるほど怖かったです。もちろんボットンです。

夏は涼しいですが、冬は隙間風だらけで寒い、そんな家でした。

確かになにもかも便利で手に入る都市生活者にとって、古き良き時代の民家はある意味憧れの存在。しかし実際築100年以上の民家に住んでいる人にとって不便極まりないものです。その人たちにとって「都市生活」「近代化された住宅」は憧れであり、実際近代化しています。

この大平宿も昭和40年代に都市部へと集団移住を行いました。これが現実です。

たしかに数日程度の体験、夏休みで来る程度であればとても新鮮で楽しいものです。しかしこの生活が毎日、そして何十年も続くと思うとどうでしょうか。ただ毎日食うだけに生きる、生きるために食う、そんな生活の繰り返しです。さらに回りは危険がいっぱい。

病院もなければ医師もいない。川は急で流れは速い。今回神隠しにあったのは懐中電灯や iPhoneだけでしたが、これがいつ我々人間に起きないとも限りません。とくに好奇心旺盛な幼児、子供は危険です。そんな不安に抱えながら毎日生きなければならないのです。

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時代はちょうど高度成長期の直後、昭和40年代。

都市生活者は所得が倍増し、一方で山間部は産業が廃れとハッキリと明暗がわかれた時代。村を棄てて、都市部へと移住したのも理解できます。それはただ単に所得だけの問題ではありません。生きるとは何か。それをつきつめていいった結果の判断です。

都市とは死の恐怖を限りなく遠ざけた社会機構です。生きることの難しさ、死の危険と恐怖。これを身近に感じながら送る大平宿の暮らしはさぞかし重いものだったに違いありません。

生きるとは何か。

改めて考えさせられました。

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以下帰路のメモ

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12:40 大平宿出発
14:00 諏訪SA
 途中雷雨、事故渋滞
16:00 大月JCT経由都留ICから下道
16:40 温泉
18:00 温泉出発
19:00 帰宅

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