最近の運転事情:ドライビングも草食系になった昨今

最近子供の送迎で朝昼と街中を走る機会が増えましたが、あることに気付きました。街ゆく車たちに「覇気」がないんです。

交通量がない、空いている道といえば一昔前なら速度取締りがない限りビュンビュン飛ばすのが定番だったのですが、ここ最近みているとどうもそうでもなさそう。よくいえば、ゆっくり、悪くいえばダラダラと走っていて車線変更もせず、ただただ前の車について走っているだけ。

これは高速道路にもいえて、3車線あれば真ん中を走るか、右側車線をダラダラと走るだけ。「追い抜き車線」という意味を理解しているのか、ホトホト考えてしまほどのブロック走法です。一番混んでいる車線が右側というのは、どうなんでしょうね。前があいても加速するわけでもなく、左に車線変更するわけでもなく。走るシケイン状態です。

考えられる理由は2つ。

1つめは車の問題。

70年代のオイルショック以降90年代に至るまで車の馬力は技術向上とあいまって増えていきました。280馬力に達したのが1989年頃。Z32にR32、NSX(NA1)など次々と280馬力に達しましたが、そこでいわゆる「メーカーの自主規制」がかかりパワーウォーズは終焉を迎えます。

一方で90年代、車に安全性が求められボディは大きく、重くなっていきます。またエアバッグなどの安全装備も標準となってきました。

さらに00年代、車には快適性が求められ、室内空間を広げるために車高はどんどんと高くなります。ボディ形状は5ドアハッチバックが主流となりました。

これらの流れによって街にはミニバン、コンパクトカー、そして背高軽自動車があふれることになります。これらの車は総じて運動性能が劣るものばかりで、安全性を考えてエンジン出力も抑えめ、アクセルレスポンスもダルで燃費方向にふられています。

そのためそもそも車自体に覇気がなくなりました。

2つめはドライバーの問題。

80年代はオートマとマニュアルの比率でいうとまだマニュアルの方が高かった時代。それもそのはず、免許にオートマ限定はなく「マニュアル」しかなかった時代。エンジンとミッションの関係を把握しながらクラッチを操作して走らせるマニュアルは、手間ではあるけど車の本質を理解できます。

一方クラッチ操作なし、シフトも自動で行うオートマはその利便性から普及、オートマ限定免許の出現によりいまや99%がオートマといわれるほどの普及率。しかし車を走らせる本質を理解する手順をすっとばしてしまったオートマドライバーは速度感を知るのは難しく、スピードメーターだけが頼りに。

また道路が整備され峠やコーナーが連続する道がどんどんとなくなり、直線で高速化していったのも問題のひとつ。コーナリングを練習する場所がないためにコーナーでフラフラする原因に。また多車線化によって高速道路での追い越し車線の概念を理解せずに空いている車線を選ぶという慣習がついてしまったのかもしれません。少なくとも3車線をきちんと有効に活用できているとはいいがたい状況。

などなど、車にドライバー、また道路というインフラの変化により80年代にみられたタイヤをアスファルトに切りつけながら走るのは、もはや絶滅寸前の走り屋、ドリフト族でしかみられなくなってしまいました。昔は誰もがカミナリドライバーだったんですけどね。

そんな草食化した交通事情にあって、前があいたからバビューンと飛ばす、肉食系は絶滅寸前。

もはや飛ばす車といえば、クラウンかBMWしかお見かけしないんですけど、気のせいでしょうか。あとはやる気マンマンの軽自動車、ただし80~90年代の車高の低いもの。

もう少し公道でバトルがあってもいいと思うんですけどね。人より前に出たい、というのは活力の源です。