dysonのまったく新しい扇風機、エアマルチプライアー(AirMultiplier)のブロガー向け発表会に参加してきました。ご招待ありがとうございました。
ダイソンといえばサイクロン掃除機が有名ですね。掃除機メーカーがなんでまた扇風機?と思うのですが、ダイソンは別に掃除機モーターではないんですね。日本では販売されていないんですがジェットタオル(ハンドドライヤー)も製造していて、そのジェットタオルを開発しているときにアイディアが沸いたのだとか。流体力学を利用した製品の開発をするメーカーであって、今回その成果が扇風機になったとのこと。
ハンドドライヤーからなぜ扇風機にいくかというと、ハンドドライヤーで細いスリットから高速の風を流したところ、周囲の空気を巻き込んで風量が増す現象が見られたとのこと。これを利用したのが今回の扇風機。
空気を翼端形状のスリットから流すことで効率よく周囲の空気を巻き込み、16倍もの空気流量を確保することができるとのこと。はて、この構造どこかで見た事があるような・・・
STOL(短距離離着陸)飛行実験機、飛鳥です!!
日本は国土が狭く、飛行場の滑走路が長くとれないことから、短距離離着陸が可能なSTOL機の開発が国策として急務でした。そのSTOL実験機が「飛鳥」です。
M air II 35-51この『飛鳥』は、エンジンの排気ガスの通り道にフラップを出せるような構造(これを翼上面吹き出し方式と呼ぶ)で、フラップを出すと、エンジンの排気ガスがフラップに沿って下方に流れ、エンジンの排気ガスによって揚力が得られる方法を採った。
まさしくこのダイソンのAirMultiplierと同じです。翼の上面に高速のガスを流すことで負圧を発生し、ベルヌーイの定理により揚力を稼ぐという構造です。
こちら、AirMultiplierの断面構造。翼形状がよく出てます。
扇風機を作る前は飛行機を作ろうと思ったらしいのですが、さすがにそこまでの揚力は得られなかったため翼を円形につなげ、扇風機に転用したそうです、ってのはウソです。
円形にしているのは周囲の空気を効率よく巻き込むためのもので、これにより結果的に16倍の空気流量、つまり風量を稼ぐことができます。
さて、吸気側も抜かりはありません。インペラとよばれるフィンで空気を取り込むのですが、騒音を打ち消すためにペラの感覚が等間隔ではなく、さらには各ペラに小さな穴をあけて、摩擦を減らすといったこともなされてます。
このインペラですが、思い出すのは電源ファン。
冷却能力をあげるためには回転数を高くするわけですが、PCでもわかるように小さく、回転数が高い電源ファンはとにかくうるさいです。静音PCを作ろうとするとファンは小さく、回転数は低くというのが鉄則です。ゲーム機も同じでXbox360はうるさく、PS3は静かといわれています。さてその理由はというとファンにあり。
Xbox360が普通の電源ファンとヒートシンクを使っているのに対し、PS3はインペラとそれに合わせた専用ヒートシンクを組み合わせています。ヒートシンクでっかいですね。
AirMultiplierのインペラのサイズだけみると小型扇風機並みで、風量をかせぐために高速に回転させると騒音もひどくなるのですが、その必要もないようでした。
風量については、モダシンさんが体当たりで証明しています。
づ、ヅラがぁ~
幸い飛ぶことはありませんでしたけど、危なかったようです(冗談です、怒らないで下さい)。
デザインが突拍子もないだけではなく、細部にわたって流体力学をつきつめた扇風機にみんな興味津々。
風量ですが、こんな感じに巻き込んでいるそうです。
なのでループの真ん中はほぼ風が流れていません。とはいえ吸い込んでおり、それがループの外側で加速されて、円筒(シリンダー)のように押し出されるようです。
従来のプロペラ式の扇風機はいくつかの羽で空気を切って押し出す構造になっています。この数はエンジンの気筒数みたいなもので3枚、4枚、5枚と数が増えれば増えるほど滑らかな風になっていきます。とはいえ断続的なものには違いありません。この断続性が風にあたったときの不快感や騒音の原因ともなっています。これに対しAirMultiplierは連続的に風が吹き出てくるため、こういった不快感、騒音がありません。より自然の風に近いものです。
自然といえばジェームズ・ダイソン氏はエアコンがダメだそうで、その理由として空気だけではなく部屋全体・家具まで冷やしてしまい非効率的であること、エアフィルターに細菌が繁殖しそれが部屋全体に蔓延してしまうことなどをあげていました。
実は私はエアコンがまったくダメで、暑い夏の日も扇風機とサーキュレータで乗り切り、京王線の激寒い冷房をさけるため今も弱冷房車に乗るほどです。またエアコンが原因で気管支が刺激され咳がとまらなくなったこともあります。ですからその指摘にはまったくもって同意です。
猛暑をエコに乗り切るための工夫、というか格闘 ([の] のまのしわざ)さらに今年は一歩上をいく涼感を。
1) キンカンを肩に塗る
肩こりにきく上、すーっとしてとても涼しい!(笑
問題はあの刺激フルな臭いで、塗りすぎ注意。2) 氷のう(アイスノン)を枕にする
おばあちゃんの知恵だそうです。今日からやる予定。
3) 濡れタオル(バスタオル)を体に直接のせて、扇風機をあてる
これが凄い!もう超冷え冷え。間違いなくやりすぎ危険ですが、この効果は絶大。
扇風機の前に濡れタオルをおくという冷風機に近いやりかたもありますけど、濡れタオルをじかに体にくっつけた方が効果的です。
技術面、健康面の両面からこのAirMultiplierは本当に興味をそそられました。
一方で気になったのが、日本製には当然備わっているタイマーや1/fゆらぎといった機能はありません。特に1/fゆらぎによるそよ風機能は、風土性というか、気候性をよく表してます。日本において、風とはゆらぐものなんですね。一定方向から一定風量で吹くことは少ないです。一方大陸性の風は違うのでしょうね。そういった気候性の違いが製品機能差になってあらわれてます。ダイソンは確認できていませんが、外国製扇風機の風量スイッチは
切⇒強⇒中⇒小⇒切
といきなり最強からスタート。
切⇒小⇒中⇒強⇒切
という日本とはまったく逆です。
扇風機とは一味違うサーキュレーターを購入 ([の] のまのしわざ)風量は3段階調整。スイッチオンすると3(最強)⇒2⇒1⇒切と、日本離れしたインターフェースにちょっとビビるわけです、なにせ最強からスタートですから。
こういったところに風土の違いがよくでています。
この扇風機が日本の風土、気候にあうかはつかってみないと分かりませんが、少なくともダイソン氏が「(日本の)扇風機ははじめて見る」という発言をしたことから、日本の風土・気候は余り考慮されていないことでしょう。それに夏が終わって秋風が吹くこの季節に扇風機の発表っていうのも、なんとも日本離れしてますね。
あとはお値段ですね。かなりお高め。とはいえ、STOL飛行実験機・飛鳥と同じテクノロジが手に入ることを考えれば安い安い。飛行機好きにはオススメですよ。え、違う?
夢とロマンと生活の日々 : STOL機「飛鳥」「飛鳥」は4発のジェットエンジンが翼の上にある特異な形をしていますが、これにより短距離での離着陸や騒音の低減が可能になっています。飛行実験では39トンもある「飛鳥」の機体がわすが500メートルの滑走路で離着陸するなど、すばらしい結果をだしました。 実用機開発に向け、水上機タイプなどいろんなSTOL旅客機の開発が検討されましたが、実用化は見送られてしまいました。残念の一言につきます。
各務原市/かかみがはら航空宇宙科学博物館/展示機紹介/STOL/VTOL実験機・研究機飛鳥は、低騒音ファンジェットSTOL開発のための基礎技術確立の目的で、科学技術庁航空宇宙技術研究所によって研究開発された実験機です。
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