スタジオジブリ・レイアウト展(東京都現代美術館)はアニメハックだった

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(以下写真は撮影可能エリアで撮影したもの)

高畑・宮崎駿ワールドを堪能できる「スタジオジブリ・レイアウト展」が東京都現代美術館で開催されています。早速本日行ってきました。まず注意しなければいけないのはローソンチケットによる、完全予約制だということ。ジブリ美術館と同じ方式らしいですけど、美術館ってのはいけば入れて見せてくれると思っていたので、危なかったです。皆さんも行ったはいいけど入れず、ということにならないように、ローソンでチケットを買ってから行きましょう。

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ところで「レイアウト」って何でしょう?

要するにレイアウトは、各ショットの”フィルムになった状態”の作業用原寸想定図、すなわち、ショットの「実践的設計図」である。そして作画(原動画)・作景(美術背景)から撮影に至るまで、以降の各部署における作業は、すべてこの設計図を基準に行われる。むろん、各ショットの基本設計図はまず絵コンテだが、その絵は小さいだけでなく、精粗・巧拙まちまちであり、不確定要素に充ちている。

スタジオジブリ・レイアウト展 図録 p.6

1枚の絵にすべての要素を注ぎ込む「レイアウト」こそが、作品の要。全スタッフへの指示書ともなっているので、ここでの完成度がすなわち作品の完成度に密接に関わり、脳内のイメージがはじめて脳の外へほとばしり出た姿と言っていいでしょう。

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確かに1枚の「絵画」として完成されていないものですが、その1枚にこめられた動きと手書きの指示、そして撮影用の枠などが雑多に書き込まれた姿は別の意味で「アート」としての価値が高く、単なる作業工程と一蹴するには惜しいものです。今回ハイジからポニョに至るまで、多くの作品のレイアウトが一堂に会したこの展示は価値があり、1300枚という物量からもわかるように圧倒されました。

特に「千と千尋の神隠し」の湯屋(油屋)が登場するシーンのレイアウトは数メートルまで拡大され、トンネルをぐぐって行くと現れるという趣向でまさに千尋同様、驚きを隠せませんでした。これはいいです。

そして最近何度も感じているのですが、いかにアニメーション製作というものが未だ定型化されていない、試行錯誤の知的工業生産品かということを思い知らされます。このレイアウトの発祥も、原画、動画は絵コンテがあればかけるけどその間美術が暇になってしまうという作業上の問題からきています。レイアウトがあると、原画製作と美術製作が同時に開始できる、と宮崎駿は言います。つまり、これは1週間に1回放送するというアニメ放送の枠により必要となって生まれたものです。これが劇場用アニメ映画であったり、作りだめしてから放送するという形態が主だったら生まれなかったかもしれません。

つまり過酷な製作現場における、作業効率改善だったのです。まさにLife Hackならぬ、Anime Hack。

この混沌とした製作現場から、試行錯誤してこのようなHackが生まれてくるのは昨今のIT業界によく似ているとかんじます。IT業界もまた知的工業生産で生産効率に悩んでいて、遅延しないスケジュールはないわけですが、アニメ業界とIT業界の共通性の話はまたの機会に。

ということで非常に興味深い展示でした。チケット販売数を限ることで大混雑はないということですが、実際には大混雑するのでできれば時間帯や曜日は選んだほうがいいでしょう。

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観客はほとんどが10代後半、20代で、宮崎アニメのターゲット層である子供はほとんどいませんでした。

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子供はジブリ美術館にいけということでしょうかね。

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