最近マスコミ、オールドメディアにネットやブログが叩かれる機会が多くなったような気がします。
ところが実は気のせいではなく、こういった背景があるから。
MarkeZine:◎電通「日本の広告費」発表、2007年総広告費は7兆円台、ネット広告費は前年比124%の6000億円突破
メディアの主な収入である広告費が、ネットに流れ込んでいて、オールドメディアはもはや崖っぷちです。これだけみればまだまだオールドメディアが強いですが、ここ数年の変化を見れば一目瞭然。
以下、ネット広告費の変遷を2001年からリフレイン。
西暦 ネット広告費 成長率 全体構成比
2001年 735億円 124.6% 1.2%
2001年のネット広告市場は735億円:ITpro電通は2月18日、2001年の日本の総広告費の推計を発表した。それによると、総広告費は6兆580億円で、前年比99.1%となった。インターネット広告については735億円で、2000年の590億円に比べて24.6%増、総広告費の1.2%となった。
2002年 845億円 115% 1.5%
2002年 日本の広告費 | 出版・研究データ | dentsu online
「インターネット広告費」(845億円、前年比115.0%)は、平成8年に推定を始めて以来順調に増え、媒体別構成比が1.5%に上昇した。
2003年 1183億円 140% 2.1%
dentsu online ニュース・新着情報
「インターネット広告費」(同140.0%)はブロードバンドの進展などを背景に再び伸びが加速した。
2004年 1814億円 153% 3.1%
インターネット広告費が前年比153%の1814億円--ついにラジオ広告を上回る:ニュース - CNET Japan
インターネット広告の伸びが顕著で、前年比153%の1814億円となった。これは、4年連続で減少傾向を示したラジオ広告費の1795億円を上回る数字となる。
2005年 2808億円 154.8% 4.7%
電通、「2005年日本の広告費」発表--インターネット広告は155%の高成長:ニュース - CNET Japan
2004年に続きインターネット広告の伸びが高く、前年比154.8%の2808億円となり、総広告費における構成比は2004年の3.1%から4.7%に上昇した。
2006年 3630億円 129.3% 6.1%
MarkeZine:◎電通、2006年「日本の広告費」を発表、好調のネット広告費は3,630億円に
一方、前年比で最も高い29.3%の伸び率を示した「インターネット広告費」の総額は3,630億円。そのうち、モバイル広告費が390億円(35.4%増)、検索連動広告費が930億円(57.6%増)となっている。インターネット広告費は、2004年に1,814億円、2005年に2,808億円、そして2006年が3,630億円と順調な成長を見せている。10年前の1996年は16億円規模だったことを考えると実に226倍の急成長。
2007年 6003億円 124.4% 8.6%
MarkeZine:◎電通「日本の広告費」発表、2007年総広告費は7兆円台、ネット広告費は前年比124%の6000億円突破
インターネット広告費は、媒体費+広告制作費で6,003億円。媒体費は4,591億円(同126.5%)で、うち「モバイル広告費」が621億円、「検索連動型広告費」が1,282億円となっている。インターネット広告制作費は前年比118.1%の1,412億円となった。
MarkeZine:◎電通総研、5年後のインターネット広告費は7500億円規模に成長と予測資料によると、2007年のインターネット広告費は4,534億円、成長率は24.9%、成長金額は904億円と予測している。インターネット広告費は今後5年間で、平均成長率15.8%、平均成長金額は786億円の高水準で推移。2011年には7,558億円に達する見込みで、これは実に2006年実績の2.08倍となる。
インターネット広告費 対前年比推移(2002年~2006年) - 1 / 1 | エキサイト ウェブアド タイムス
一方のオールドメディア、特に新聞雑誌の凋落ぶりはもはや止まる方法を知りません。雑誌はすでに抜かれ、凋落一方の新聞を抜くのは時間の問題。来年か、再来年かというタイムスパンです。
危機が現実にのものとなってきたせいか、昨今のオールドメディアのネットメディアの叩きっぷりは目に余るものがあります。たとえば硫化水素の自殺に関して。
また政治の世界でも妙なネット法案を提出しようという動きもありましたね。教育の現場でもネットには有害情報が溢れているから、ネットにつながる携帯を持たせてはいけないという動きがあります。
メディアがテクノロジーによって変化するのは当然のことで、それは活版印刷機の登場後の新聞(newspaper)、ラジオ、TV放送しかり。インターネットが全世界につながり、PCが普及し、携帯がインターネットに接続された現代においてこの流れを押しとどめることは誰もできないのです。それは新聞が口頭伝承、口コミを駆逐したように。
そして面白いことに、ネットワークの普及で再びクチコミが注目されています。ネットを使ったクチコミは昔ながらの口コミとは実は異なります。クチといいながら、音声ではなくテキストデータ。そして情報に永続性があり、リンクやトラックバック、コメントで広がる特性をもってます。これは声を使った口コミとは明らかに違うもので、双方向性のあるブロードキャストメディアといってもいいでしょう。そういう意味ではオールドメディアの寝首をかくくらいのインパクトのあるものです。
印刷のいらないネットメディア。
巨大な組織がいらないネットメディア。
このネットメディアにブログが大きく貢献しているのは疑いのないところです。そしてブログメディアの登場となるのです。
ながらくブログは個人のものと思われてきましたが、商売ベースのブログメディアの成長も著しいです。ブログメディアが雑誌や新聞の一角を崩す地位となってきているわけですから、そろそろ相手も本気になるのも仕方ありません。
そういうことで、今年は天下分け目の決戦になる予感です。
物量に勝るオールドメディアか、機動性のネットメディアか。
とはいえ、歴史的にも、物語的にもこういう戦いの結末は明らかですよね。いましばらくはこの視点で趨勢を見守りたいと思います。