ウイスキーの熟成に思う、子供の成長

私がそう、丁度息子の年のころに熊本から引っ越した先が長野県の浅間山の麓。そこには小さなウイスキー工場がありました。父がこのウイスキー工場に転勤したためです。工場から徒歩で3分ほど離れた場所に社宅があり、工場と社宅の間には葡萄畑が広がっていました。私はこの葡萄畑の横を通って保育園へ、父は道をはさんでその先のウイスキー工場へと通っていました。

ウイスキー工場といってもとてもこじんまりとしていて、ウイスキー樽を収める倉庫と、蒸留場、そしてオフィス用の建物と何故かお風呂が敷地内にぽつんぽつんと立っていたくらいです。その建物の間には白樺の木が、これまたぽつんぽつんと立っていて、とても静かな場所でした。

何故かは分からないのですが、よく父に連れられて工場へと入り、一緒にお風呂に入ったことが思い出されます。広かったからでしょうか。

敷地内には空いたウイスキー樽がまさに転がっていて、それこそリアル黒ヒゲ危機一髪ができるかのように中に入って遊んだり、犬を飼うことになったときには父の同僚の方がウイスキー樽に穴をあけて入り口を作り、横にして犬小屋にしてくれました。ですからウイスキーの樽はとても身近な存在だったのです。

そういう背景からでしょうか。父の飲むお酒といえばウイスキー。水割りにして毎日飲んでいました。だからビールや焼酎、ワインといったものは当時存在すら知らず、お酒といえばウイスキーだったのです。多分工場からおこぼれを預かってきていたのでしょうか。今となっては分かりません・・・とはいえ父は健在だから聞けばいいんですけどね。

浅間山の麓だけあって、とても寒いです。寒いのですが、雪はほとんど降りません。しかし一度ふるとこの雪がまったく解けない、、、まさに春になるまで日陰の雪は残り続けるのです。熊本出身の両親はこの寒さに慣れず、冬の間はコタツから出ないし、水道が凍結することも知らずに毎朝凍結させてしまったり、戸が凍って開かなくなったりと冬は大変でした。一方の私はなにせ幼稚園児ですから、平気に野山をかけずりまわっていました。丁度今の息子のようにですね。そういう意味では今住んでいる高尾に近い八王子は、この浅間山の麓に環境が似ています。先週降った雪、まだ解けていませんし。

それくらい寒く、静かな浅間山の麓で、樽の中のウイスキーはゆっくりと熟成を重ねていくのです。その速度はまるで人の成長のようです。今回いただいたサントリーのウイスキー「山崎」と「白州」もきっと寒く、静かな山の合間で熟成を重ねていたに違いありません。二つを飲み比べるとまったく違った個性があり、どちらも魅力がありました。特に後でいただいた「白州」のロック、こちらが香りと味わいともにすっと馴染めました。ホワイトチョコレートと合わせて飲んだのですが、口の中でウイスキーの味がふわっと広がるようで、良かったです。

ウイスキーは何年も熟成をさせていきますが、人の成長も同様です。先週の雪の中、表に出て雪かきを手伝ってくれた4歳の息子。あと16年熟成させて立派な大人にするのが親の役目。父が私にそうしてくれたように、私もまたその役目を果たさねばと、ウイスキーを飲みながらシミジミと思いました・・・ごめんなさい、それは言いすぎですね、後でそう思いました。

次は、静かでゆったりとした時間の中で、雪解けの春を待つように、グラスの中の氷が解けるのを待ちながらゆっくりと味わいながら飲んでみたいものです。

【写真】
(36年前の私、もとい息子4歳。なぜヘンな顔してるんだろう??)
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(1997年頃撮影:中央奥が生家。冬はこの道がすべて凍っていた。奥に見えるのが浅間山)
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