環境対策における「ホンダ」対「トヨタ」の静かな戦い

久々にやってきました、地球温暖化シリーズ(?)です。あまりにヒステリックに反応していると、エコの壁だよ!となるので自粛気味なのですが、意外と好評のようなのでたまには書きたいと思います。

今日はついに世界No.1の車メーカーとなったトヨタとホンダの環境対策における静かな戦いについて。

asahi.com:プリウス充電、家庭で トヨタが試験へ、実用化は世界初 - ビジネス

プラグインHVは、ガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせて走る従来のHVに、家庭用の電源からも充電する仕組み。

元々の電気自動車の発想は、家庭で充電して走るというもの。いわば電動ラジコンカーと同じ感覚だったのですが、普及しなかったのには理由があります。それはやっぱり電動ラジコンカーと同じく、充電が面倒、時間がかかる、走行距離(時間)が短いという問題でした。

そして内燃機関に頼っていたわけですが、エンジンを発電機にするという発想で作られたハイブリッドエンジン採用のプリウスで実用に耐えうるようになったわけですね。

そして昨今の原油高のあおりでハイブリッド車の売れ行きは絶好調。この波に乗ってトヨタはますます脱内燃機関を進めていくことでしょう。

一方ホンダはハイブリッドカーを持っていますが、トヨタとはまったく逆の考え方でアプローチしました。それはエンジンが主体で、回生した電気を使ってモーターを補助動力として使うというものです。トヨタプリウスはモーター主体で、エンジンは動力としては利用しないのとは真っ向から異なります(ただトヨタのほかのハイブリッド、レクサスで採用されているものはホンダと同様にエンジン主体にモーターアシストという形式になっています)。

そんなわけでプリウスでハイブリッドの後塵を拝した格好のホンダですが、意外な分野でエコに走っています。

Honda 「家庭用小型コージェネレーションユニット」国内販売5万台を達成

Hondaの「家庭用小型コージェネレーションユニット」と排熱利用の給湯暖房ユニットで構成されるシステムは、「ECOWILL(エコウィル)」のブランドで各ガス会社から販売されている。  「家庭用小型コージェネレーションユニット」の総合エネルギー効率は85.5%という高いレベルであり、「ECOWILL」5万台分の年間CO2排出低減効果は約42,000トンで樹木300万本分※1に相当する。

いわゆるコージェネです。家庭用に小さな火力発電所を持つという発想でしょうか。一般の発電所と同じく、廃熱利用で温水器も使えるので一石二鳥です。小さな小回りのきく発電所なので必要なときに必要なだけ発電することができ、効率が良いです。

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さらに太陽電池の開発、販売まで乗り出しています。

Honda ホンダソルテック、薄膜太陽電池の販売を開始

Hondaが独自開発した薄膜太陽電池は、銅-インジウム-ガリウム-セレン(CIGS)の化合物を素材とした薄膜で形成されており、製造時から環境に優しい太陽電池である。

こうなってくると最早バイク、車メーカーという感じがしません。まだ航空機用ジェットエンジンの方が本業に近いです。

こういったエネルギー産業に打って出ているのはやはり環境問題による規制がダイレクトに響く内燃機関(エンジン)を主体としている車メーカーならではの危機感の表れでしょう。

一方そのエンジン技術は海外と比べてどうなっているのかというと、実はもう日本エンジンは世界のエンジンとはいえなくなっているとの指摘があります。

清水和夫のブログでDialog: 日本はエンジン技術で遅れをとっている

最近、日本メーカーの技術が欧州と比べて遅れ始めているように思えてならない。コストと効率を求めるアメリカ的ビジネスに特化してきたばかりに、日本メーカーは戦略面で行き詰まってきているのだ。

現在驚異的な進化を遂げているのがVWグループのエンジン、トランスミッション技術。

直噴ガソリン+ターボにより、高出力と低燃費を両立しています。さらにそれに組み合わされるツインクラッチ式のギアボックス、Sトロニック(DSG)はクリープ現象再現のための低速でギクシャクすることを除けばギアチェンジが気持ちもいいし、高出力にも耐え、低燃費を助けます。

TSI 直噴1.4L スーパーチャージャー+ターボ


1389ccの小排気量から、最高出力125kW(170PS)*、最大トルク240Nmという2.4L自然吸気エンジン並みの性能を発揮。今までのガソリンエンジンの常識を覆すパフォーマンスを実現します。

実際にオデッセイの2.4Lエンジンよりも高出力、高トルク。

Volkswagen Interactive DSG

結局安いエンジンばかり作ったおかげで、高性能エンジンの開発では技術の遅れが目立ってきている。日本はハイブリッドがあるではないかと思う人がいるかもしれないが、ガソリンエンジンの基本性能を高めないと、結局ハイブリッドも進化しないのである。

モーターがあくまでもモーターアシストである限りは、主体であるエンジン技術はまだまだ必要ですし、優秀な発動機としても低燃費技術は求められています。

あとは家庭用コージェネのように、廃熱利用で車内に温水プールでも作りとかしてみますか。

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レスポンス|Response. 【アテネの道】ミニのプール付きリムジン登場

日本メーカー同士で戦っている間に、ヨーロッパの敵が強大になりつつあります。安心してられませんね。