地下鉄から見るNew York Cityの成り立ち

今回は New Yorkを地下鉄の歴史から追ってみたいと思います。

1920年代に完成された地下鉄網

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今の路線マップ
1924年当時の路線マップ

基礎はもう出来上がってます・・・
なお東京に初めて地下鉄が出来たのが1927年。

東京地下鉄 - Wikipedia

東京地下鉄の歴史は、1927年(昭和2年)東京地下鉄道株式会社が、早川徳次により浅草駅~上野駅間を開業したことによって始まった。

昔の地下鉄写真

当時を偲ぶ貴重な写真があります。

New Yorkの地下鉄は2004年で100周年を迎えています。

Subway Centennial

New York City developed, and flourished, because public transportation made it possible to live in one area, work in another, and get anywhere easily.

public transportation = 公共交通機関の果たす役割を端的にあらわした一文です。衣食住ならぬ、働く場所、住む場所の分離、およびどこにでも行ける簡便さ、これらによりNew York Cityは発展しました。

歴史

New Yorkの地下鉄の歴史

New Yorkで最初の地下鉄はエアチューブ式だった

Alfred Beachによる最初の地下鉄

Pneumatic Transit詳細

蒸気機関など内燃機関を使う限り地下化するのは困難ですが、エアチューブに車両を通し、ルーツ式コンプレッサーで圧搾空気を作って推進するという途方もない計画を1870年に実行して、営業してます。その結果はコスト高で閉鎖。なんだかどこかの技術立国のリニアなんとかというものを想起させますね。

マンハッタンにおける鉄道の完全地下化

MTA NYC Transit - Info

May 12, 1955 The Third Avenue El, last elevated line in Manhattan, closes.

elavated line =高架による鉄道は1955年にクローズされ、鉄道という鉄道はすべて地下化されました。 元々歩行者、車、電車を地下、地上、高架で分離して効率化させる配慮がありましたが、これにより地上は歩行者と車、地下に電車という分離が完全になされたということです。

経済と治安と交通の関連性

とはいえその後各社の経営は悪化。1960年代は統合につぐ統合で、現在のMTAにすべての地下鉄会社、バス会社がまとまり、経営再建のため路線を廃止したりしていたそうです。その流れは1970年代から1980年代まで続きます。

経済が停滞すれば治安も悪くなります。おそらく我々の世代にすりこまれたNew Yorkの治安の悪さのイメージはこの時期のものではないかと。ラクガキだらけの車両や、ガンファイト。マンハッタン全体が犯罪にまみれていた頃です。そうなると誰も地下鉄になんて乗りませんから経営状態も悪化します。これに対して市が投資を行い、経営再建を試みました。

1990年代となってジュリアーニ市長による警官の増加、犯罪一掃施策により治安は全米最悪から全米一良くなり、それにつれて人はマンハッタンに流入、地価はあがり、人口も増え交通機関, MTAへの需要が高くなりました。

ジュリアーニ市制下のニューヨークについては、東京都がまとめた報告書が参考になります。

ジュリアーニ市政下のNY

ニューヨークは東京の先行した競争相手であり、東京の都市としての魅力を高めていく上で、学ぶ点も多いと考えられます。  本調査は、90年代のニューヨークの繁栄に大きく貢献したと言われるジュリアーニ市長の諸施策に焦点を当てるもので、その市政の要点を紹介するものとしては、我が国で初めての報告書です。

New York Cityは良い時ばかりではありませんが、先見の明や先人の努力によって現在のような洗練された都市となっていることを感じます。また行きたいものですね。