かなり感銘を受けてしまったスチームボーイの感想第二弾です。
MOVIE REALIZATION スチームボーイ
バンダイ 2004-08-29
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すごくリアルです。
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スチームボールという高圧で高エネルギーを取り出せる物体がこの話の中心なのですが、19世紀に始まった産業革命、または都市化とエネルギー革命がテーマと捉えることができます。スチームパンクが実際どういったものは私は知りませんけれども、スチームボールの使われ方を見ていると「小さいものの」、大きく強大なエネルギーが取り出せる物体という扱いでした。このエネルギーの媒体としてスチーム(蒸気)を使っているのですがこれを別のものに置き換えるともっと話は簡単になるのかなあと思った次第です。
それは電気です。
都市生活のおいて電気がない生活は考えられません。365日24時間、100%以上の供給が保証されて今の文明生活が成り立っています。スチームボールはその電気を生み出す「核融合炉」みたいなもので、そこから発生する「電気」ですべての構造物が動作すると考えれば非常に現実的な話です。
20世紀は石油争奪戦で「戦争」がおきていましたが、これは動力として内燃機関に必要という側面の他に、急激に都市化された近代「国家」の電気「エネルギー」供給に不可欠な原料であったからです。
スチームボーイの中のテーマにまずこの「エネルギー」、そしてエネルギーを使い、エネルギーを争奪する「戦争」、そしてスチーブンソンが言った守るべきものは「国家」というキーワード。「エネルギー」と「国家」は今私たちが生活する基盤となっているものであって、もう無くてはならないものです。スチームボーイのストーリー展開と3世代に渡る研究者の迷いと逡巡は私たちの生活の基盤となっているものに対する迷いと逡巡を表しているといっても過言ではありません。
戦争はいやだ。でもこのエネルギーを浪費する現代生活は捨てられない。環境は壊したくないけど、守るためにエネルギーも要る。
簡単にスローライフだ、エコだ、環境保護だといっても明日から電気もガスもない生活はできません。これだけの人口と文明を生かすためにはエネルギーを消費するしかないのです。
未来を描くためには、エネルギーに関わるところを描くしかない、そうなると19世紀の産業革命に遡るのも至極まっとうであり当然の帰結と考えることが出来ます。そして一貫性のない行動に見える3世代の研究者の行動は19世紀、20世紀、そして21世紀と連綿と続く人類の歴史の迷いの現われかもしれません。
ですから私には非常に真っ当に見えたわけで、薬やって、雷に打たれて(?)突然超能力を身につけて空飛んで、大気圏突破して人工衛星やっつけて戻ってくるような破天荒な映画よりもよっぽど納得がいきました。
あとは声優だけがなあ・・・
ということで、再評価したい人はぜひどうぞ。