スチームボーイ STEAMBOY が素晴らしい

これは凄い!とにかく良い!一見の価値あり!いや、DVDを購入して何度も見直す価値あり!

スチームボーイ メモリアルBOX
スチームボーイ メモリアルBOX大友克洋 村井さだゆき 鈴木杏


おすすめ平均 star
star自分の殺意に5点。いい加減気付け、大友ブランドにとり憑かれた奴らよ。コイツはアホだと
star壮大な親子ゲンカ(ネタバレ注意)
star冒険活劇
star語る寿司・・・いや、カタルシスがない・・・
star映像とストーリーのバランスが無い

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ツタヤでガンダム0080を借りようとしたらまたもやvol.1だけないので何気なく「世界に誇る日本のアニメーションコーナー」をみやったら目に留まったスチームボーイを借りて見ました。

公開当時かなり酷評され、興行収入も芳しくなかったという印象だったのですが、何がどうして、これは凄い。

大友克洋というとAKIRAが代表作なので、このスチームボーイもAKIRAと比較されることが多く、未来を描いたAKIRAに対して19世紀を舞台のスチームボーイに対して否定的な向きが多いようですね。しかし私にとって大友克洋といえば「気分はもう戦争」が初見で、「老人Z」「童夢」が最盛期。AKIRAの漫画はなにせ進みが遅く、そりゃあアレだけ緻密に書き込んでれば無理でしょうね。SFにスチームパンクというジャンルがあるそうですけど、それを安易に使って超えるものになっていないとか、かなり手厳しいコメントもありました。

ではこのスチームボーイの「凄い」ところはどこか?もうとにかく映像美です。すべてのカットがAKIRA漫画版の緻密な書き込みと同等のクオリティで、なおかつそれが庵野秀明ばりに無茶苦茶細かくアニメーション化され、ところどころで想像もつかないカメラアングルの移動は板野サーカスを彷彿とさせます。見ていて思わず「すごっ」を何度も呟いてしまいました。そんな映像作品、ここ最近見たことなかったので本当に驚いてしまいました。

旧来のアニメーションはセル画に描写されるものと、背景画に描かれるものと大別することができます。セル画はアニメーションするもので、背景はいわゆる止め絵となっているわけですが、この作品ではこの背景のクオリティが段違いに高いのです。アニメ作品では通常結構適当にぼやかすところを細部まで書き込み、彩色をしている点でその違いを見て取れます。そしてその緻密さが19世紀イギリスの風景をよりリアルに描き出すことに成功してます。

さらに凄い!と思ったのが、この背景が要所要所で3Dレンダリングされていてアングルが変わる(動く)んです。通常のセルアニメなら動くものはすべてセルに描かれているので背景とは全く違う質感ですぐに「あ、このビル崩れる」とか分かるわけですね。ところがデジタルアニメーションの素晴らしさよ、おそらくいったん背景画をキャプチャして3Dレンダリングした家にテクスチャとして貼り付けたのでしょう。背景画クオリティだったものがカメラアングルの移動と共にイキナリ動き出すのに驚嘆しました。

汽車のシーンでは背景全体が3Dレンダリングされていたり、また要所要所で3DCGを多用することでリアリティを上げることに腐心しているのがよく分かります。

そういうわけで、とにかく映像を作ることに興味がある人は必見の作品ですね。ある意味教科書的存在になりえるでしょう。

さて一方で批判の的となっているのは、プロット、登場人物、声優ですね。この指摘は概ね正しいと思います。最近のアニメーション大作は例外なく声優がアイドルだったり、俳優だったり、プロの声優以外の人があてるケースが多くて毎回幻滅を感じます。ハウル、ブレイブなんとかも同様ですね。確かに俳優として魅力ある人が声優としても大役をこなすことは「可能」なんですけど、私は常々プロの声優さんがやっていたら随分と違うものになるんだろうなあと失望をもって聞いてます。このスチームボーイも例外ではなく、「可」かもしれないけど、「優」ではないです。

しかしこういったマイナス要因があったとしても、アニメーションの魅力が色褪せることはまったくありません!細かな動きはDVDでスロー再生して、精緻に書き込まれた背景は大画面で!鑑賞するのに耐える、いや鑑賞せねばならないほどです。

まだ見てないひとは是非どうぞ。