昔スペシャリティカーでドライブデート、今は?

世代ですねえ。

ヱンヂニヤ・トヲルの生活と意見: スイフトスポーツの薦め。或いはミニバン禁止令。

僕らの年代って、そういうクルマ好きは多いと思うのですが、最近の若いもんには、減っているんじゃないでしょうか。

原因の一つには、安くて実用的で、それでいて運転して楽しいような車が、最近は少ないこともあるのでしょう。

ちょうど以前奥様とそんな話をしてました。
(以下昔話)

私らが大学生の頃って80年代後半、デートといえばドライブで海ってのが定番。そのためにも車を入手するのが大学生の主たる目的(おい)だったような時代です。考えてみればまだ電話は一家に一台、黒電話。ジーコジーコとダイアルし、コードを指やボールペンでまきまきしながら女の子と長電話していて家族に叱られる始末。夜10時以降に電話すると、運が悪ければ「いったい今何時だと思っているんだ!」とガンコオヤジにどなられる。夜は家で寝ているというのが相場の中、唯一の脱出方法は深夜ドライブ。家の車をそっと出し、友人(女の子を含む)を玄関前で拉致。立ち去る際に親御さんに「こらーーー!」とおこられるのをみやりながら逃げさったことも。そしてその後の時間は占有、独占できるわけですね。だから車がなんとしてでも必要だったわけです。

ちょうどATの普及率があがり、ATの注文比率が50%を超えたところ。だれもが免許をとって車を運転できる時代に初めてなったのです。そして大学生の人気はインテグラ(クイント)や、プレリュード。ソアラは高くて買えないけど、パフォーマンス(女の子のウケ)では互角の勝負。そしてオープンカー人気、ユーノスロードスターのデビューもこの頃。プレリュード人気に対抗してS13シルビアの登場。ええ、私もシルビア買いました買ってもらいました。3年で6万キロに届くくらい走行。いまの1年で1000kmとは大違いです。

時代は「私をスキーに連れて行って」で、みながスキーをし、映画でセリカGT-FOURが売れました。

しかしそんなバブル時期もあっというまに去りました。それからが失われた10年です。

90年代、ゲーム機はスーパーファミコンからプレイステーション、セガサターンへ。次世代機の登場です。これにより今までゲーセンでしかできなかったゲームが同等の品質で家でもできるようになりました。そしてゲームがゲーマーのものだったのが、一般の人が楽しめるものへと多様化していきます(この意味で、今まさにNINTENDOが行っているのは初期のPS戦略と同じ。10年以上たつと立場が逆転するのが面白い)。

そしてPS2の登場とともにDVD再生により、映画と同等画質、音質が家庭でも手に入るようになりました。こうなってくるとわざわざ相手を拘束するのに車でドライブする必要はありません。車による拉致強奪から、自分の家への拉致監禁へと変わってくるわけです。

さらに時代は進み、2000年代。移動を伴うのには障壁の高さがついてまわるためにもっと簡単な方法が編み出されました。それが携帯電話、携帯メールによる「今なにしてる」攻撃です。本来電話がもつ「緊急連絡手段」としての役割から、真逆な方向性。「不用、不急なものは電話するな」から「不用、不急なものを電話しよう」に変わったのです。「今なにしている」攻撃の電話、メールをすることにより、相手の注意と時間を奪う、いわば「相手の注意と時間を拉致監禁」することが可能となりました。あまりやりすぎると「ウザイ」ということで一蹴されますが、ひとたび恋仲になってしまえばどこにいようと「どこでもいっしょ」なわけです。携帯電話、メールはメッセンジャーによっても機能補強されます。会社なのに彼氏、彼女とラブラブな二人ってのは昔は職場内恋愛に限られたのが今ではメッセンジャーでいともたやすく達成できます。

そういった時代変化の一方で車のジャンルから「ハイソカー」「スペシャリティカー」「スポーツカー」「スポーティカー」「パイクカー」が消えていきました。バブル以降、もはや儲かる車しか作ってはいけないのです。そうなると実用性能、燃費性能が謳われる車ばかりになるのも致し方ありません。そしてそういった車はおおむね「ドライビングプレシャー」にコストが割かれることはありませんから、運転していて嫌になるか、嫌とまでいかなくとも楽しいとは思えない「乗用車」に成り下がってしまうわけです。

そうやって10年以上過ぎてしまい、微かに残っていたスポーツカー、スポーティカーもチャイルドシート義務化のあおりで次々と消えてしまいました。チャイルドシートをつけなければいけないことで4ドア(以上)は必須になってしまったからです。そんな寒い時代を過ごした若者に今から「車って楽しいよ」っていってもそういった体験や、伝聞がない土壌では実感はわかないでしょう。私がビッツやパッソを敬遠するのも「乗れば乗るほど、運転するのが嫌になる」からです。

一方、運転の魅力に囚われた人たちは車にのめりこみ、際限なく愛情を車に注ぎこんでしまいがちです。そうなると今度は元々彼女をゲットするための道具だったはずが、彼女の代替品、愛情の対象になってしまい婚期を逃す結果を招いている現実もあります。どちらがシアワセなのやら。

そんなわけで車に興味を持たない若い世代は世代だと諦めて特に何も勧めませんね。実際問題東京周辺で車を購入、維持、管理は経済的にも負担が大きいですし。それでも今お勧めするならやっぱり

エスニセン

これです。400万円の価値はあります。永遠に最新鋭です、次モデルが出ないから。ただ間違って結婚できなくなっても責任持ちません、それくらい魅力があります。虜になった人は数知れず:)