機動戦士ガンダムSEED DESTINY PHASE-49 レイ

いよいよ今回を含めてあと2回です。もう前回のまとめなんてやっている暇がなくなって放送開始からストーリーはどんどん進んでます。だから、総集編とかやってなければ良かったのに。

今日の名セリフ。

ラクス「道をあけなさい」


このお姫様キャラにピッタリの言葉ですね。武力によるレクイエム強制排除宣言に続き畳み掛けるように「ザフトの軍服をまとった誇りがあるなら」と問いかけます。結局これに呼応したのはノンポリなディアッカと、アスランからの連絡を毎日待っていたと思われるアスランラブなイザークでしたね。

- アークエンジェル vs ミネルバ

今回の見所は再び直接対決の艦隊戦、アークエンジェルとミネルバです。いつも思うんですがやっぱマリュー・ラミアスは戦艦の指揮官としては一流じゃなく、常にピンチを招きますね。もちろんそれ以外の要素を含めるととても良い艦長なんですが、今回もまたもやってきました、陽電子砲直撃。こ、これはSEED PHASE-49のよう!?との期待に応えてまたしても元ムウ・ラ・フラガ、今はネオロアノークが体を張って守るわけですね。今回は旧式のストライクではなく、リフレクタ装備の最新機体のアカツキなのでジャーンと無事なわけですよ。ついでに記憶なんかも戻っちゃってさ、いや、2年越し(実時間)でハッピーエンドなわけです。長かったねえ、マリュー。

- トリプルドム vs インパルス

迷いが生じているルナマリア・インパルスがエターナルに迫りますが、通信兵(?)なメイリンが生きているし、「どっちが本物のラクスさまか分からないの?」とか言われてさらに迷いが生じた挙句にジェットストリームアタックをかけられるという踏んだりけったりなルナマリア。ザクやグフなら瞬殺でしたけど、インパルスのおかげで生き延びました。きっと次回はシンに絡んでいくんだろうなあ。

- 世代間相違

SEEDの赤服、アスラン、イザーク、ディアッカがレクイエムのステーションワンを破壊に回ったのに対し、DESTINYの赤服、シン、レイ、ルナマリアはザフトなわけです。ラクス派はオーブ、プラント、地球連合の混成部隊で構成されています。現段階ではザフト軍はデュランダルの私兵となっており、これは以前のパトリック・ザラの時と同様ですね。議長制度は民主的には機能せず、独裁となってしまうのではないかと推察します。

今の赤服が大人しくデュランダルの私兵としてDESTINY PLANを遂行するために戦うのに対し、2年前の(SEEDの)赤服がザフト軍の命令を無視してサラリと寝返ってしまうのは何が違うのでしょうね。一度大きな大戦を経験し、パトリック・ザラの独裁と暗殺を経験した世代は今の権力者が絶対的に正しくそれが永遠に継続されるものではないことを暗に感じているのでしょう。今の赤服は実戦投入は今回の大戦が初めてで、士官学校で純粋培養だっただけにたった一つの価値観、ここではDESTINY PLANですがそれを受け入れる他、自分で迷い、考えるということがまだ出来ないが故でしょうか。ルナマリアは迷いが生じて来てますが、シンは未だレイの考えのコピーのままです。

- 無為

オーブ、地球連合を差し引いて考えるとコーディネーターのプラントの軍隊、ザフト軍の体制派と反乱軍とが内戦を行っているとも捉えられます。ラクス派は地下組織であって、レジスタンスの体を成しており、反乱軍を率いているわけです。目指すところは戦いのない世界=平和で、それは実際戦っている人たちが願っているところなんですけど、それだけにこの戦いが無為です。コーディネーター皆殺しだーというブルーコスモスと、ナチュラル皆殺しだーというパトリック・ザラだと絶対悪として戦う意義も明確なのですが、両者ともに戦いのない世界を得るために戦うというのですから。

とはいってもDNA原理主義であるDESTINY PLANを受け入れない勢力を武力で排除するというのは、いかがなものなのでしょうね。宗教でいえば折伏。そこにも自由はないわけです。

今回はレイのいうことが結構もっともらしく聞こえました。だけど結局は「キラ・ヤマトの存在だけは許さない」ですからねぇ。テロメアが短くて20そこそこで寿命で死ぬのと、事故や戦争で同じく死ぬのと寿命的には変わらないんですけどね。それにキラの「自分が望んだんじゃない」というセリフも聞こえてきますが、結局人生は自分がどう考え、どう目標設定するかだと思うのですが。

- ガンダム x SEED DESTINY

ガンダム(初代)は宇宙で暮らす人間が宇宙という環境に適応していくための進化論として人の革新、ニュータイプという概念をジオン・ズム・ダイクンが提唱して、その意思を継ぎジオン公国は独立戦争を起こしました。ここでは宇宙に住む人が地球を青い、綺麗な惑星のままにしようと環境保護を訴えたのに対し、地球連邦はコロニーの植民地支配を継続して地球に住み続けようとしました。争点は生活環境であり、人間は地球にしか住めないとする連邦と、宇宙に出ればニュータイプになって宇宙での生活に適応できるとする思想のジオンとの対立構造となっています。

これがZ(ゼータ)の時代となるとさらに極右化が進み、ハマーンの率いるネオ・ジオンは地球に核攻撃を行って人の住めない星に(一時的に)することを公約としています。そのネオ・ジオンから逃げてエゥーゴに参画したクワトロ・バジーナことシャアですが、「逆襲のシャア」ではやはりアクシス(小惑星)を地球に落とし急速な寒冷化を起こすことで同様のことを狙うようになってしまいます。

時代背景として1980年代は石油が枯渇する、森林破壊、人口爆発、オゾン層の破壊など人類の行き場がなくなり、環境問題が身近に迫る危機としてあったからだと思います。

一方2000年代のSEED, SEED DESTINYはというと湾岸戦争からはじまった新しい戦争の形態、テロリズムとの戦いを時代背景としています。特に明確なのは2001年の同時多発テロをキッカケとしたアフガニスタン、イラク戦争です。SEEDの場合、「戦争はなぜ起きるのか、なぜなくならないのか」に特化し、それを遺伝子工学の発達による人類の人為的な進化とダブらせて描いています。初代ガンダムでは戦争を通じて成長、変化していく若人を描いていますが、DESTINYでは両者が戦争を無くすために戦うというジレンマを描いています。同じガンダムでありながら、時代背景をうまく反映したコントラストになっています。

もうひとつ大きな特徴として、1980年代は日本はまだ戦後であり、戦争状態に無かったことと、現在の情勢は戦争下にあることの違いでしょう。一般市民には余りなじみがないですがアメリカは90年代の湾岸戦争以降ほぼ戦中下にあり、日本とてPKO活動や海外派兵を通して現在も戦争状態の地域に駐留しています。自衛隊員に家族、親類を持つものであればその緊張感と危機感は常に持っていますが、国民全体の自覚は足りていません。

従来は国が国家として軍隊を組織し、国際法に基づいた権利の行使として武力を利用していたのですが、テロリストの時代となると国を超え、国際法の効力の及ばないところで活動をするのですからたまりません。つまりルールのない格闘技のようなものですから、これを戦争といえるのかどうかも怪しいです。

そんななか、戦争を無くすというお題目のために戦争をし続けるジレンマを描くSEED DESTINYという作品は自己矛盾を自らに課しているし、双方の言い分がもっともらしいのでよく奮闘していると思います。

結局はMSがカッコよく戦って、プラモデルが売れればいいんですけどね、視聴者もそれを望んでいるのだし。しかしだからといってそれだけの作品、Gガンダムのようになると浅薄になりすぎてしまうのでガンダムである以上、テーマ性、大河ドラマ性は不可欠な要素なのです。

次回、最終回でどちらの勢力が勝つのかは分かりませんが、どっちが勝っても続編が作れますね(^^; うまい。

最期の最期に「ええい、こうなったら」といってデュランダルがジオングみたいなMSに飛び乗ってキラ・ヤマトに戦いを挑むことを期待しているんですけどねー。部下が「足なんて飾りです。えらい人にはそれがわからんのです」とかいって欲しいなあ。

次回最終回は 5:30pm開始(ドカッ、ノートPC撃破