圏央道と高尾山天狗裁判

圏央道は現在あきる野、日の出ICまで伸びていますがその後はどうなっているのでしょう。

2002年度早稲田大学法学部水島ゼミ(憲法)後期 圏央道

圏央道(首都圏中央連絡自動車道)は、都心から半径およそ40~60kmの位置に計画された約300㎞におよぶ環状の自動車専用道路です。この道路は東名、中央、関越、東北、常磐、東関道などの放射状の高速道路と結ばれ東京湾アクアライン(東京湾横断道路)ともつながり、首都圏の広域幹線道路網を形成します。
  すでに開通している鶴ヶ島J.C.T.から青梅ICに続いて平成14年3月29日には青梅ICから日の出I.C.までの延長8.7㎞の区間が供用しました。圏央道は早期全線開通に向け、各地で工事を進めています。


一見着々と中央道まで伸びてきているようですが、一方で裁判が起きています。

天狗裁判

東京都下では、初めて行なわれる「自然の権利」訴訟です。自然人(人間のことです)1060名(1次提訴分)と、高尾山をフィールドとする6つの自然保護団体が原告となって「高尾山にトンネルは掘らないで…」と国・道路公団に訴えます。

なんと原告は通常の「人間」ではなく、「自然物」です。オオタカ、ムササビ、ブナ、さらに八王子城跡とか・・・それら自然物をまとめて「天狗」として、「天狗」裁判と呼んでいます。

東京高尾山「天狗裁判」起こす

その後、米国内ではストーン論文を理論的根拠に、自然物を原告にした訴訟が起こされるようになった。73年に「絶滅の危機にある種の法」が制定され、こうした種を脅かす行為に対して市民が権利を代弁して裁判を起こせる、と明記された。同法に基づく訴訟で、フクロウやグリズリー(ハイイログマ)といった野生動物が原告となって勝訴した例もある。

こういったところは何故か進んでますね、平気で劣化ウラン弾とか使う国なのに。

やはり一番気になるのは人体に与える大気汚染の影響です。

~圏央道がもたらす被害~

裏高尾地区は山に囲まれた狭い谷地であって、空気対流がほとんどない。また冬季には、上空数10mで空気の温度が逆転し、これ以上うえに空気が登らない現象が確認されている。同じ接地逆転層の存在は南浅川地区でも確認されている。つまり裏高尾、南浅川地区では、冬季には空気の対流が阻まれ、道路から排出された排ガスが、地表近くに滞留し、余計に高濃度の汚れた空気が滞留するのである。

「接地逆転」層とは以下のような状況をさすようです。

接地逆転

この状態では、上昇流が起こり難く大気が澱み、人工発生源による汚染物質などが拡散しなくなるため、境界面から下の大気が汚れて視界が悪くなり、スモッグなどの被害が出やすくなります。

これに対して、計画では

1 圏央道工事の概要

八王子城跡と高尾山に直径10メートルのトンネルを2本堀り、裏高尾に建設される圏央道と中央自動車道を繋ぐ八王子ジャンクションは、約8本のループ式で裏高尾地区の地上から約60mの高さに東西約800m、南北約300m、総延長約8キロmに及ぶ巨大なものを造ろうとしている。また八王子城跡トンネルと高尾山トンネルの自動車排気を集めて換気するため、高さ約30mの換気塔(排気塔)が作られる。

となっており、排気塔が用意される模様です。
しかしこの高さが先ほどの「「接地逆転層」の下にあっては意味がないどころか、ガス室に入れられることにもなりかねません。地元の人にとっては死活問題です。

昭和30年代ならいざ知らず、環境を破壊してまでの開発計画には疑問が残ります。他に方法はないんでしょうか。