機動戦士ガンダムSEED

機動戦士ガンダムSEEDがのま家では多いに盛り上がっている。ストーリーもここ最近、急激な転換を見せておりどうなるのか楽しみでならない。

ところでなんでこのガンダムSEEDが今、面白いのか。ひとつには「ライブ(現在放送中)」というのがあるだろう。映画でもなく、ビデオでもDVDでもない。来週どうなるのかは視聴者にはわからないのだ。つまりアニメというよりも、連続ドラマといった方がよい。連続ドラマといえば恋愛モノと相場が決まっていて、どんなシチュエーションでどんな展開があったとしても結局は二人はむすびつくんでしょーーーー、みたいな幻滅はない。そもそも、このガンダムSEEDの主役は

二人ともオトコ

今まで敵味方に分かれて戦ってきた幼馴染。その二人が国の対立、戦争の中に組み込まれて敵味方として戦闘を行ってきた。その中で僚友をお互いに失いあう。親しみは憎しみを倍増させていく。そんな二人を中心として、戦争とは何かというエッセンスを加えながら描いている。恋愛ドラマにおいては恋愛が成就することがゴールになるが、この連続ドラマにおいては「やおい」は別として、そのようなゴールは設定できない。戦争を体験しながらこの二人の立場や考え方、選択を迫られていく、その生き様がなかなかに興味深い。

また今回このドラマの特徴的な部分は、地球連合という連合軍の性質である。(ファースト)ガンダムの頃は地球連邦は地球軍そのものであり、それは1つの国として描くことができた。しかし今回は北大西洋連合と呼ばれる一部の国が中心で、地球すべてがひとつの国として機能はしていない。そこが最近のイラク戦争の時のアメリカとフランスの対立のような国際情勢の複雑さを彷彿とさせていて、意外と深くなってきたのだ。そのため、戦争といえば地球連合とザフト(宇宙側)のどっちかが勝っておしまいでしょーという単純なゴール設定にならないような状況になってきているのだ。

子供相手のアニメであり、BANDAIはガンプラ売れればいいとだけ思っているそんな番組にも関わらず、国際関係の複雑さをテーマに取り組もうというそのチャレンジ精神は立派だろう。大人相手の連続ドラマが、恋愛や仕事の成功などの卑近なテーマを扱っているのに対して対照的だ。

惜しい点といえば、キャラクタが多く、キャラの描き方にラフな点があること。また状況が複雑であるが劇中ではそれを十分描ききれない点(特に地理、位置関係、勢力図)。そして戦闘シーンが「びゅーん」「うてー」「危ない」「ひらり」「どかーん」の繰り返しであり、メリハリがないところ。マクロスのミサイル斉射などの描写力(通称板野サーカス)が欲しいところだ。一時動物型もビルスーツ、バクーなどはCGで描いていたので今後モビルスーツはCGになるかと思ったが、未だに手描きであるのが描写力を広げられないのではないかと危惧している。あとはSF考証が劇中ではやはり十分に説明しきれていない点があげられる。結局

副本(アニメージュ)を読まないと理解が深まらない

ことから、この番組だけを見ても理解できない部分が多く出てしまうであろう。特にモビルスーツが出てくること、地球と宇宙側が対立していることかははじまり、SEEDの世界情勢が理解できないと、旨みが出てこない。自分も未だにキャラの名前や固有名詞などわからないことがたくさんあるし。「マスドライバーって何?」とかいう話。

粗い作りだとは思うが来週の展開がどうなるか、わくわくさせる現在唯一の番組である。

DVDで16話まで見ることができるので、今まで見てないひとは是非チェックして欲しい。TSUTAYAで380円で試しに vol.1(1~4話)を見てから決めても遅くはない。オススメ!