スター・ウォーズ/最後のジェダイ で感じた日米の戦争観の違い

先週の土曜日、賛否両論、傑作と駄作と評価の別れるスターウォーズ最新作「最後のジェダイ」を見てきました。その感想を。

スター・ウォーズ/最後のジェダイ|映画 | スター・ウォーズ公式

(ネタバレあり、ご注意を)

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スターウォーズは戦争観の映画である

いやー、タイトルでネタバレですよ。「星戦争」ですからね、そりゃこれ戦争映画なんですよ。で、ガンダムがガンダムであり続ける限り戦争ときってもきれないように、スターウォーズも戦争してないと意味がない。レゾンデートルみたいなもんです。

で今回も相変わらず戦争しているわけですが、相変わらずひどい。ほんとひどい。

なにがひどいかって、その戦略ですよ。

レジスタンス側の組織のグダグダ加減ですよ。

まず戦略は基本、つっこめ、その場で各位鋭意健闘せよ、多大な戦果を期待する、っておいおい。すごい属人的で、練度の高さを要求する作戦が多い。だからそもそも成功率が低い。

つぎに情報収集能力が低い。だから予定外のことが起きる。プランB、プランCが予め設定されてないので、作戦中止、撤退しかないわけですよ。

ところが酷いのが組織。

現場判断で司令官の命令に背いて、作戦を変更して続行するわけです。しかもその作戦で多大な損耗を被るわけですよ。確かに戦いに勝ったかもしれないけど、戦略では負けてしまっている。

これって普通、銃殺ものですよ。よく降格レベルで済むよなあと。

suicide attackの美化

今回特にダメだと思ったのは、逃げる部隊を守るために艦隊司令が一人で敵に特攻するところ。

それ、あかんやつや。

日本人が生み出したカミカゼ戦法そのもの。

日本人は第二次世界大戦から学んだの。戦争はいけないって。でその戦争の中でもっともやっていけないのはカミカゼ。suicide attackですよ。

むしろ戦争をやっちゃいけない、というよりも、suicide attackをしてはいけないということを学んだ。

アメリカ人はそんなカミカゼに恐怖しつつ、人命を軽んじるバカすぎる戦法にコードネーム「BAKA」を与えたほど。

桜花 (航空機) - Wikipedia

にもかかわらず、それをあんな形で見せるのはヒドイなあと。で、これはですね、日本人もアメリカ人も同じ感受性をもっていることの証明なわけです。つまり自己犠牲の精神は尊ばれるということ、そして家族愛は何にも勝るということ。


戦争は物語ではない

しかしこれは「戦争映画」なので、こういった演出により、御涙頂戴、共感をえるひとつの「手法」として理解できます。そう、これは映画で、聴衆の共感を得るためにやっていることで、ファンタジーなのですよ。

でも戦争は現実です。ファンタジーではない。

それをきっちりと理解して使い分けることができるのがアメリカ人。

それを理解せず、混同するのが日本人。

ってことに今回気付いてしまったのです。やばい。日本人やばい。

戦争を揶揄する物語

スターシップトゥルーパーズでも戦争を描いていますが、こちらもいかに軍隊が愚かか、というのがテーマで結果的に反戦映画となっています。まあアホばっかなわけですよ。

映画スターシップ・トゥルーパーズを一気見。B級すぎて、逆に面白くなってしまった - のまのしわざ

で、現在のスター・ウォーズのシリーズも結構コメディっぽいというか、各シーンでギャグが行き過ぎてしまってシリアスさを失いがちなんですよね。見ていて何度吹き出しそうになったことか。

よく出来ているんだけど、スターシップ・トゥルーパーズに近くなっている、つまり超A級映画なのにB級な匂いが漂っているという、良く分からない状態に。

なんだろうな、8000円だしてインスタントラーメンを食べているような、ちょっと不思議な感覚?

新3部作の中編としてはすごく密度がこく、長く、クライマックスがずっと続くという点ではよくできて楽しめるのですけど、ね。

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