GWの本日も痛ましい事故がおきた。
県警によると、最初に中央分離帯寄りの車線で、自動車同士が追突する事故が発生。その後方で、自動車にオートバイが追突した。オートバイの男性を救助しようと複数のオートバイが停車したところ、後方からさらに別の自動車が追突した。この事故で、オートバイに乗っていたとみられる男性1人が死亡し、男性2人が搬送されたという。
高速隊によると、男性が運転するバイク1台が前方のワゴン車に衝突して転倒、他のバイク仲間らがバイクをとめて助けようとしていたところ、40代の男が運転する車が追突したとみられる。現場は海老名サービスエリアからの合流車線を含む片側4車線。バイクや追突された車は中央分離帯に最も近い車線を走っていたという。
亡くなられた方、被害にあわれた方、とそのご家族ご友人に心よりお悔やみ申し上げます。
高速道路での事故を注意深く見てみると、追い越し車線での事故が多いことに気付く。追突事故はなぜ追い越し車線でおきるのか。
交通流量の問題
交通工学的にいうと、交通容量は交通密度x速度で決まる。交通密度は簡単にいうと車間距離で、車間距離が短かく、速度が早ければたくさんクルマが通過できるので早い車線ということだ。
高速道路では一番右側、追い越し車線は走行車線よりも速度を出すクルマが多いが一方で車間距離はそんなに変わらないため、そのため交通容量が大きい。
これは100km/h~120km/hで流れているときはそれで問題はない。問題はこれが60km/hくらいまでに落ち込んだときだ。
交通量は一定のため速度が落ち込むと交通容量の計算式から交通密度が高まる、つまり車間距離が短くなる。また追い越し車線を走る車のドライバーは基本、早く走りたいマインドが強いために車間距離を開けようとはしない。
加減速の繰り返し、発散
車間距離が短くなった状態では先行車に追いつくとブレーキ、車間があくとアクセルと車速が安定しない。速度変化が激しくなり、その変化が発散していき急加速、急減速となってついには追突する、というのが追い越し車線で起きる追突事故のメカニズム。
つまり追突事故は追い越し車線で起きる。
流れていればこれは起きない、ノロノロ渋滞でも起きにくい。これが起きるのはそれまで流れていて、ゆるい上り坂が連続するいわゆるサグなどで車速が低下、80km/h前後からそれ以下になったところで起きやすい。
今回の事故現場は渋滞のメッカ、大和トンネルに向かう上り坂区間だったので、この条件に合致したのだと推測する。
事故に巻き込まれないために
事故にあわない、巻き込まれない対策は簡単だ。80km/h以下におちるような流れがわるくなりはじめたら、一番左の走行車線を走ることだ。
この一番左の走行車線はまず一番ゆっくり走ってもいい車線であること、車間距離を余裕をもってとっても後ろから煽られるようなことはないこと、そしてなにより事故などにあったとしてもすぐに路肩に避難できるもっとも安全な車線なのだ。
60km/h以下のときはどの車線を走ってもそんなに到着時間は変わらない。
60km/h以上に流れが早くなったときはだんだんと追い越し車線が流れはじめ、車間が広くなってくるので、その時に追い越し車線に戻ればよい。
とにかく大事なのは車間距離がどれくらい空いているか、である。走行車線よりも追い越し車線の方が車両が多く、車間距離が短い状態は「危険」のサインである。その場合は速やかに走行車線に避難されたし。
P.S. 渋滞について
ちなみに、大学院時代は(勝手に)交通工学について勉強し、(勝手に)渋滞シミュレーターを作って学会に発表していたほどの渋滞フリークである。