Get Wild Song Mafiaで振り返る、オレとゲワイの30年 - のまのしわざ
のつづき。
Disc4-1 Get Wild ビクター・ファンタスティック・オーケストラ
Amazonか2chかで見たこの曲の評価は「こんなスーパーでかかっているようなのを収録するんじゃない!」と結構散々であった。が、それは本質を見失っている意見だとあえて言いたい。
本当にこの曲がスーパー用なのかどうかはともかく、スーパーでかかる、つまり大衆が集まる場所に向けてアレンジが加わったボーカルレスの曲が流れることはすなわち、メジャーになったこと、もしくはなれることの証だ。
「あら、この曲、きいたことあるわね」
と親世代に思わせること、そしてなかなかいいんじゃないの、と認めてもらえることに価値がある。なぜならば、TM NETWORKは当時メジャーへの希求が強かったからだ。
名曲Self Controlが出て音楽性としては認められたTM NETWORK、しかしまだ世間的にいえばまだビジュアル系バンドの域をでておらず、親世代からするとなんだかよくわからないし、音楽もゴチャゴチャ、キンキンしてるわねえ、くらいなイメージ。
メジャー化のひとつの手段としてアニソン、シティハンターのEDとなり若年層を中心に認知度は急激にあがったわけだが、狙うは紅白とオリコンチャート1位。メジャーになりたい、1位になりたい、その思いがこのGet Wildに詰まっていたのだ。
結果的に紅白には出られたものの、(当時)TMとしてオリコン1位はとれていない。とれたのはTKが楽曲提供した渡辺美里である。
TMやTKが世間的に認められたものの、称号としての「オリコン」に未だにこだわり続けるのは、このときの飢餓感からくるものである。
そう思うと「スーパーでかかっているような曲」というのは、批判するべきものではなく、むしろここまで来れたか、大衆音楽としての本懐というべきだ。
Disc4-2 Get Wild Dave Rodgers
DRESSなどでも活躍したユーロビートのDave RodgersのGet Wildカバー。音楽はまさにユーロビートだが、一番の驚きはその英語歌詞。なんと直訳なのである。当時もそうだが未だにほとんど聞き取れないほど詰め込み、早口言葉状態。
英語になるとまた歌詞の直球度合いがよくわかり、改めて歌詞のもつ素晴らしさに気づかされる名曲。
Disc4-3 Get Wild 小室みつ子
ご存知、Get Wild作詞家、小室みつ子さんによるカバー。小室みつ子さんと出会うことがあって、盛り上がって2次会でカラオケいこうとなって、やっぱここはGet Wildでしょう、えー、歌うの? しょうがないなあ、と歌ってもらった、な〜んてシチュエーションを想像して萌える。このこそばゆさこそがこの曲のポイントだろう。繊細な歌声がいい。違う意味での本人出演カラオケである。
Disc4-4 Get Wild (CITY HUNTER SPECIAL'97) NAHO
シティハンターの特別版に合わせて作られた曲とのこと。これも「ウツじゃない」ということで賛否両論あるようだが、初見としてはなかなかポップでいいのではないかという印象。バブル全盛のオリジナルGet Wildはなんか世間が「ギラギラ」していて、脂ぎっていたわけだが、97年ともなるとすっかり世間的にはスマート、環境問題なんかもポツポツとクローズアップされてきた時代に、このスッキリ爽やか系はマッチしている。
Disc4-5 Get Wild 玉置成実
ガンダムSEEDでデビューした玉置成実のカバー。SEEDファンだったので玉置成実はアルバムをもっていたので前から知っていたのだが、こちらは2005年前後のもの。玉置成実は当時高校生くらいで、とにかく若いのに歌唱力があり、可愛いとなかなか注目していたのだけど、アニソンの恐ろしさ。SEED以降はだんだんと興味が失われていってしまった。
TM NETWORKもbeyond the timeでガンダム・アニソンやっているのでその流れ的にも符合するんですけどねえ。
Disc4-6 Get Wild 緒方恵美
エヴァのシンジくんの声優、緒方恵美によるカバーで初見。完全のロックアレンジで、ドスのきいた声で押してくるのはこれはこれでアリ。世紀末の退廃的な世界観が伝わって来る。
Disc4-7 Get Wild 超新星
韓流アイドル超新星によるカバーで初見。まさに韓流っぽい、ハスキーボイスだがそれだけにやっぱオリジナルの「ウツ」の声の良さを改めて感じさせてくれるアテ的存在に。というか、Get Wildはウツ以外男性ボーカルはありえないのよ。
Disc4-8 Get Wild globe
まさにglobeっぽいGet Wild。KCOの歌声が懐かしくもあり、完全にKCOの曲にしきっているのがすごい。歌詞の運びがKCO独特でテケテケテケテケーって感じ、スタッカートで言葉を発するのが癖になる。早く復帰してほしいと願うばかり。
Disc4-9 Get Wild Clementine
ボサノヴァ風Get Wildで初見。南仏の白い建物と青い空をみながらワインを飲んで聴くのにぴったりな感じ。歌はフランス語、声も倦怠感があり、これはこれでアリ。
Disc4-10 Get Wild H ZETT M
ジャズピアノ風Get Wildで初見。ジャズバーでカクテルを飲みながらしっとりと聞きたい。ボーカルレスなのがいい。Get Wildなんでも合うのだなあ。
Disc4-11 Get Wild Purple Days
初見。テクノポップユニットなのだが、無念、男性ボーカルは結局ウツの当て馬にしかならないのであった。
Disc4-12 Get Wild (2017 TK REMIX)
本家本元、TK自らによるREMIXバージョン。この人のすごいのは、いつでも音の可能性を追求しているんだなってこと。もう30年もGet Wildをやっていて、またまた違うGet Wildに仕立てることができるのかという引き出しの多さに驚く。
Disc4-13 Get Wild (Takkyu Ishino Latino Acid Remix)
電気グルーヴ、石野卓球によるリミックス。TMNとの関係が深かったよなあと思ったら、メジャーデビューはコラボだった。テクノらしいさっぱりとした電子音楽が心地よい。
Disc4-14 Get Wild (SICK INDIVIDUALS REMIX)
EDMのSICK INVIDIDUALSによるカバー、初見。今風のEDMなんだけど、Dave Rodgersと同じような香りがする。
Disc4-15 Get Wild (Dave Rodgers Remix)
再びユーロビートのDave Rodgersによるリミックス、こちらのボーカルはウツのまま。EDMに同じ香りがすると思ったけど、曲をきくと全然違った。こちらはアップテンポで、パラパラしているようなイメージ。
どちらにしてもディスコ? クラブ? 向きという意味ではいいのかしれん。アウェーなので行かないけど。
結論としては、やはり男性ボーカルは「ウツ」に決まり。女性ボーカルは逆にいろいろと許容するし、ボーカルレスでも様々なアレンジができるGet Wildは30年コンテンツになりうる素質をもっていたということ。音楽的には大好きなんだけど、初出で完成されてほとんどアレンジやカバーのない Self Controlとは対照的。
これからまた30年聴いていこう、Get Wild!