1990年の衝撃再び。開発者による Photoshop 1.0 デモ

時代は平成2年、1990年

みんな借金してるかーい?

え、何をいっているんだって、もちろん経済のことだよ、経済。バ・ブ・ル? なんだそりゃ泡ぶくぶく、意味わかんないなー。昭和から平成に変わった1990年、日本経済はイケイケどんどん。車だって280馬力のフェアレディZにスカイラインGT-R、ホンダNSXとスーパーカーが出ているんだよ。借金して買って、すぐに売り飛ばせば凄い儲かるんだ。土地もそうだ、ダンプでつっこんで地上げして再開発しなきゃ。グッバイ昭和。ディスコ万歳。

そんなご時世に彗星のように現れたマッキントッシュというナウいパソコンを知ってるかい? マウスがついているんだよ、ジャケットの肩パットやハイレグ水着並みの革命だよね。マウスっていってもネズミじゃないから、そこんとこヨロシク!

Photoshop 1.0の売り込み

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なんかさ、大学で画像処理をやっていた開発者とスターウォーズのILMで働く弟が作ったソフトの売り込みが来たんだよ。え、名前はなんだっけなあ、トーマス&ジョン・ノール氏っていったかな。普段、秋葉原のビットインの横の店でマッキントッシュで遊んでいるからマックには詳しいよ。

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白黒じゃなくてカラーだよ、カラーマック。アキバでいくらしたっけ、80万円くらいかな。

さっそくフロッピーディスクから読み込んで起動、デモしてもらおう。

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これがサンプル画像だと。おおー、フルカラー、超高解像度で階調を疑似的に増やすディザリングされている。美しい風景と美女。この美女は誰? ジェニファー? なになに、ジョンの彼女だって。ヒューヒューだよ、ヒューヒュー。

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さて早速機能のデモだ。マジックワンドというツールで山をクリックすると、なんとまあ一瞬で山だけ選択しやがった! まさに魔法の杖だ!

これはトーマス・ノール氏が大学で研究していた輪郭抽出の画像処理プログラムが応用されているんだって。論文かくの苦手でついついプログラムしちゃう、まさに生粋のプログラマーだな。

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選択したのはフローティングレイヤーとなって好きなところに動かしてペーストできる。これは凄い機能だ! よし、山の向こう側にもうひとつ山を作ってくれないかな?

え、上にしか重ねられない? じゃあ余り使えないじゃないか。何何、裏技を使えば簡単だって? まるでファミコンの攻略本みたいだな。

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まずはちょいと薄く、霞をかけてと。霞をかけるための階調補正、これは子供時代に習ったカメラの知識、技術が役立ったんだとか。

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この上に元の山を重ねればほらこの通り。

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山の向こう側にもう一つ山ができたよ。凄いね!

美女を倍増させる

しかしこうねえ、山が増えても、グッとこないんだよねえ。わかるかい、時代はディスコでフィーバーフィーバーだよ。ハイレグ水着にボディコン全盛だからね。美女が増えてもらわなくちゃ。さっきの山みたいにパパッと増やしてみてよ。

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あれ、マジックワンドでもちゃんと選択できないね。コントラストが強過ぎるのと水着が白いのがよくないね。じゃあコピースタンプツールは?

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領域が曖昧で、いくら最新のマウスでも操作するの大変だなあ。なにか裏技ないの? あ、やっぱりあるんだ。

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コントラストが強くでている成分を見つけて、諧調補正をすると美女がくっきり。

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ここで美女だけ選択、選択範囲を反転して美女以外を消去。

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気になる白い水着を黒にペイントして、美女のシルエット完成。

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これで再び美女を選択すると綺麗に抜けましたよ。

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これをコピーすればての影までバッチリ再現して美女倍増! 所得倍増、まさに日本経済と一緒だ!

強力なフィルター機能

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Photoshop 1.0の特徴は大学での画像処理研究が反映された豊富なフィルター機能。最新のガウシアンフィルターも実装されているし、トーマス・ノール氏の研究成果の輪郭抽出もほらこの通り。

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こんな素晴らしいソフトはすぐにでも買い取りたいね。え、もうアドビ社が買っちゃったって? なんだ残念。しかしこれは革命的だね。世界の絵が写真が変わるよ、本当に。

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それにしたって、色々金かかるなあ。マックだって80万円くらいしたし、そもそもスキャナが高い、100万円くらいしてた。プリンタも数十万円だ。でも全部借金して買って、あとは仕事でバンバン稼げばいいんだからさ、借金は投資よ投資。

これからベンツ190Eに乗って六本木のディスコにいくんでね、アバヨ!

そして25年後...

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なんとトーマス・ノール氏がまだ開発している! Camera Rawチームの中心となって引っ張っているんだって。

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2015年ともなると、高価なスキャナはいらない。高機能で安いデジタルスチルカメラで直接デジタルデータとして取り込み、Photoshop CCは月にたったの1200円(10ドル)だ。パソコンだってもう80万円も出す必要はないさ、20万円以下で十分。何もかも安くなった。

しかしだ、性能はスーパーアゲアゲ。

霞をとる、増やす

Lightroom, Camera Rawプラグイン次期バージョンに収録予定の機能、DeHaZe(霞を除去)(仮)機能は画期的だ。

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ヨセミテの滝、霞がかかっていてハッキリしないところをワンタッチで霞をとることができる。

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逆に増やすことも可能。

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まるでCGのように写真を自由自在に操ることができるんだ。これが25年の進化か。

Photoshopはイノベーション

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トーマス・ノール氏が開発したPhotoshopはまさに我々の生活を変えたイノーベーティブなソフトウェアだ。もはや誰もが Photoshopで加工された写真を目にしている。むしろ使われていないものがないほどだ。

しかしその背景には、あくまでもカメラで風景を収める、目でとらえたものを伝えるという不変の基本がある。単純に見たものを映すのではなく、感動を伝えるのだ。

そのためのデジタル技術であり、ソフトウェア技術である。

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おそらくそれは子供の頃、初めてカメラを扱い現像を体験したことから来ているのであろう。

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そして27年間自社製品を使い続けたらこうなった、という結果なのだ。そしてまだまだこれからも進化し続ける。

(以上、Photoshopの歴史を1990年的解釈でお届けしました)

INSIDE PHOTOSHOP展

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このPhotoshop 25年の進化と変遷を感じ取れる展示が神宮、UltraSuperNew Galleryで5月22日~6月4日まで行われる。

アドビ、Photoshop25周年記念 企画展示「INSIDE PHOTOSHOP」を5月22日より開催

「INSIDE PHOTOSHOP」展では、Photoshop発売から現在までの25年におよぶ歴史と進化を展示で表現しています。壁面には、Photoshopが誕生して現在にいたるまでのPhotoshopの各バージョンや機能のアップデートを年表形式でまとめた「Photoshop歴史タイムライン」が展示されています。展示タイトルにもなっている「INSIDE PHOTOSHOP」は、Photoshopの巨大なユーザーインターフェイスを表しており、その壁の前に立つと、まるで自分がPhotoshopの中に入り込み、切り抜かれているような写真を撮ることができます。歴代のアイコンやツールが手に取れる形で展示されていますので、自分が初めて触れたPhotoshopのバージョンと一緒に写真を撮っていただけたらと思います。

同時にツイッター上でキャンペーンも展開中である。

アドビ、Photoshop25周年記念 企画展示「INSIDE PHOTOSHOP」を5月22日より開催

「INSIDE PHOTOSHOP」×「#CC新発見」Twitter キャンペーン
応募期間: 2015年5月22(金)~6月12日 (金) 23:59
参加方法: アドビ クリエイティブ クラウドTwitterアカウント(https://twitter.com/creativecloudjp) をフォローし、ハッシュタグ「#CC新発見」と「#PS25」を付けて、「INSIDE PHOTOSHOP」展の会場写真とともにTwitterに投稿してください。

参加資格

• Twitterアカウントを開設していること
• アドビ クリエイティブ クラウドTwitterアカウントをフォローしていること(当選通知をダイレクトメッセージでご連絡します。)
• ハッシュタグ「#CC新発見」「#PS25」を使って、「INSIDE PHOTOSHOP」展の会場写真とともにTwitterに投稿していること
• 日本国内在住であること

商品はオリジナルTシャツや、どこでもPhotoshopできる エイプリルフール企画「Photoshop REAL」がもらえる。

本日発表「Adobe Photoshop REAL(アドビ フォトショップ リアル)」

最近アドビの柔らか攻勢が心配になるほどである。これとか。

IT業界に「夢のオフィス」を新提案! キャンピングカーで仕事してみた - トゥギャッチ

砕けて親しみやすいアドビ。興味のある方はこの機会にぜひ訪れて欲しい。

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