全日本ジムカーナを戦っている友人が追突事故を起こしたと聞きました。緩い下り坂、車間距離もあったのにブレーキを踏んだらマンホールでABSが作動、制動力が抜けっぱなしになって追突となったそうです。
・下りでブレーキしてマンホールでABSが作動。ABS作動時30km/h(記録あり)
・ABSでガガガと15mほど下り減速せずにそのままぶつかって停車。
・ABS効いた瞬間対向車線を見たら(対向車が)走ってきてるし、速度遅いし、まだまだ距離あるから止まるだろうと思った(実際には止まり切らず)
幸い速度が遅く、物損事故で済んだのですが、止まると思っていたら止まらなかったというのはかなりの恐怖体験。
調べてみるとプリウスのABSリコールがあった後もアクア、プリウスαで予想外のABS挙動がありそうです。
価格.com - 『ABS制御プラグラムの不具合を消費者庁に告発しました』 トヨタ アクア 2011年モデル 百吉さんのレビュー評価・評判トヨタ・アクアは発売前に予約購入し発売直後から乗っています。今年2月初旬の吹雪の夜、のろのろ運転でブレーキをかけたところ、ABSが故障し、スタッドレスの車輪が一瞬にしてロックし制御不能に陥り、小学校前の極めて緩やかな下り坂を3mほど滑り、交差点のまん中で止まりました。小学生は既に下校した後だったので、幸い事故は起こりませんでした。
翌日ディラーに修理に出し、トヨタ側から
「アクアのABS制御プラグラムは時速10km以下になると、自動的にABSを止めるように設計してあります。時速10km以下でABSを止めた方が自然と停止し制動距離が短くなるためです。それはテストを繰り返して確かめたベストな仕様なのです」
と説明されたので、
「メーカーとしてABS制御プラグラムの不具合を認めず、ソフトの修正とリコールは行わないのですか」
と尋ねたところ、トヨタは
「わずかな数の不具合でリコールを行えば、途方もない数のリコールが必要になります。ですから、重大な問題や不具合の数が相当数にならない限りメーカーとしてリコールは行いません」
と答えてきました。トヨタはABSセンサーの部品のみ交換しただけで、ABS制御プラグラムを全く修正しないことになりました。
トヨタ側の「時速10km以下でABSを止めた方が自然と停止し制動距離が短くなるためです」の説明は、全く雪が降らず氷点下以下の気温にならない所の独善的な論理です。 雪が降る所では、昼間溶けた雪が夜凍った路面は、アイススケート場なみにツルツルの氷のようになります。
そんな場所で、時速10km以下でABSを止めると、下り坂ではスタッドレスがロックし数メートル滑ったあと停止し、ブレーキの制動距離が明らかに伸びます。現実にその現象は起きました。 時速10kmでABSを止めれば、その先はABSが全く付いていない状態と同じです。
TOYOTA PRIUS_ALPHA ABSの不具合?|Q&A/Questions|Minkara - The Car & Automobile SNS発生状況:低速時走行時(20km/h程度)にタイヤが一度ロックすると、同じブレーキの踏み力にもかかわらず、ブレーキが殆どきいていない時間(距離)がある。 路面状態:雨天時、陸橋の下り坂で低速走行時に軽くブレーキを踏みながら下っていると、継ぎ目の鉄板部分でタイヤが一度ロックして、鉄板部分を過ぎた後の1~2秒位ブレーキが殆どきかない。 ブレーキが抜けた状態でさらに踏み込んでもABSが効いているようで、ブレーキがあまい。(余り効いていない。) しかし、同条件でも一度ブレーキから足を離して再度踏み込むと効く。
新型プリウスの不具合で事故になりそうでした私は、平成22年8月末に新型プ... - Yahoo!知恵袋回生放棄とリコール:
回生放棄は先代プリウスの頃から存在する制御で、スリップ時のABS制御のために回生ブレーキを一定時間働かなくさせる緊急機能です。
回生ブレーキで減速中にスリップが起こり、一旦回生ブレーキ制動力がゼロになると同時にメカニカルブレーキで制動・ABS制御を行います。 この回生ブレーキとメカニカルブレーキの切り替わりタイムラグが「ブレーキ抜け」とされてリコール騒動となりました。
回生失効はちょっとしたタイヤ空転で起こります。 燃費マニアはその辺良く知っており、濡れたマンホールなどではブレーキを弱めて滑らないように(回生失効が起こると一定時間回生ブレーキが働かなくなるので回収できるはずのエネルギーが無駄になる)注意するのは一般技術です。
私自身、先代20型プリウスでヒヤッとしたことがあります。坂を上りきった所にある交差点で一旦停止しようとしたところ、グレーチング(鋼製側溝蓋)があって不意にスリップ・回生失効して加速するかのようなブレーキ抜け感がありました。低速だったのと、ブレーキは強く踏み込んだため数メートルで停止しましたが、交差する優先道路を車が横切った事もあり危険を感じました。
ちなみに制動中のスリップは比較的低速度の方が起こりやすいと思います。
リコールとなったプリウスのABS不具合について。
toyota.jp アフターサービス | リコール等情報 | 2010年 | プリウス、SAIのリコールABS(アンチロックブレーキシステム)の制御プログラムが不適切なため、ABS作動完了後の制動力が作動直前の制動力より低下することがあります。そのため、ブレーキをかけている途中に凍結や凹凸路面等を通過してABSが作動すると顕著な空走感や制動遅れを生じることがあり、そのまま一定の踏力でブレーキペダルを保持し続けた場合には運転者の予測より制動停止距離が伸びるおそれがあります。
Car Watch トヨタ、「プリウス」のリコールに関する記者会見不具合はABSの制御のコンピューターのプログラムにあったと言い、典型的な事例として、20km/h程度からの緩やかな減速で、途中1mほどの凍結路面を通過する状態を例に説明を行った。この場合、減速中に凍結路に乗ることでタイヤがスリップし、ABSが作動するが、この時、通常のABSとの変化が現れると言う。
具体的には、仮にブレーキペダルの踏力をそのまま維持した場合で、制動力が回復するまでの時間が通常のABSが0.4秒のところ、プリウスの場合0.46秒掛かると言う。もし仮に12.3mのところで停まろうと操作した場合、この制動の遅れ分を取り戻すためにはブレーキをより強く踏み増す必要があるが、この踏み増す量が通常のABSでは10N(ニュートン)のところ、プリウスではさらに5N強い15Nほどの踏み増し力が必要となる。
また、そのまま踏み増しをしないでいた場合、通常のABSでは60cmオーバーランするのに対し、プリウスではさらに70cmの距離が必要になると言う。
もともとABSはタイヤロックによる制動距離が延びること、ハンドル操作が効かなくなること(切ってもまっすぐ行ってしまうこと)を防止するものとして開発されました。
ABSがない時代はポンピングブレーキ、ブレーキの踏力をグッ、スッ、グッ、スッといったように力を入れたり抜いたりすることでコントロールしたものです。人間は秒間に数回しかポンピングブレーキができませんが、機械であるABSであれば数十回可能、ガガガガ!と効くのはそのキックバックの証。
ABSがついた初期はこのABS作動と人間によるポンピングブレーキが重なり、制動距離が延びるといった問題があったので、その頃から「ABSの作動状況によらず、とにかくブレーキは強く踏み込め」となりました。
女性や力がないお年寄りはこの踏み込む力が不足しがちなため、ブレーキアシストといって踏み込む力を強くする装備がされたほどです。
ハイブリッド時代となってモーターによる「回生ブレーキ」がつくようになってから、このABS作動の制御が難しくなり、人間の感性にあわなかったり、リコールにつながる不具合となってます。
これはエネルギー回生システムがついた2014年のF1でも同じことがおこり、あのF1ドライバーですらブレーキロックでコースアウトするほど、悩まされた問題です。
ブレーキを踏んでいるのに止まらない、というのは恐怖以外の何物でもありません。
工事の鉄板やマンホールは注意しなければなりませんね。
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