キャンプ場で痛ましい事故がおきました。
流された川水位急上昇、鉄砲水か...母子3人死亡 : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
増水した川で車横転、母子3人死亡...水深2mに : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
キャンプをする常識から考えると、降雨時に中州にテントを張る、というのは自殺行為です。というのも同じ神奈川県の丹沢湖周辺流域で増水、中州にキャンプしていた複数家族が孤立、その模様はTV中継され、レスキュー隊がワイヤーを張るなど救出活動をしたものの大増水した川に阻まれ救出できず、次々と水に流されたというショッキングな映像があったからです。
玄倉川水難事故 - Wikipedia1999年8月13日より玄倉川の中州でキャンプをしていた横浜市内の廃棄物処理会社に勤める男性社員たち、子供6人を含む彼らの家族、さらに社員の婚約者・女友達を含む18人が、翌日の熱帯低気圧の大雨による増水によって流され、社員5名と妻2名、1歳から9歳の子供4名、社員が連れてきた女性2名の13名が死亡した。
キャンプ場である、なしに関わらず、降雨時中州でキャンプするのは自殺行為。これはとっくに常識になったものだと思っていました。
玄倉川水難事故の問題は、犠牲者たちが再三の避難勧告を無視、それどころか罵声をあげて拒否したことから自業自得の側面が強かったのも特徴です。犠牲者家族は酒をのみ、酔っていたこともあり、面倒で避難しなかったと考えられています。
今回の事故、詳細は不明ですが、中州に砂をもって整備したところをキャンプサイトにしていたようですが、増水したことをキャンプ場側が伝えて、被害者もそれに従い4WDのVW トゥアレグでいったん中州に戻り、家族をつれて避難しようとしたところ、川でスタック。その後水の抵抗により横転、流されたようです。
1時間で70cmも水位があがったということで、夜間であったことも手伝って避難するタイミングとしては最悪でした。中州のテントが流されていないことを見ると、むしろ避難しなかった方が無事だったのではないか、と思うほどです。
この事故でキャンプサイトの責任を問う声も聞かれます。もちろんそれはあるでしょうが、最終的には自己責任は免れないです。なぜなら自分の命、大切な家族を失うのは自分自身だからです。他人が自分たちの安全を守るためにやることといえば、制限と規制、キャンプという名のスペースコロニーを作り安全な中で、キャンプ風のものを行うものになることになりかねません。
実際、あるキャンプ場では前日の雨の影響により増水していたということで、遊泳禁止にしていました。とはいえほんの僅かです。雨がこれから増えるわけでもなく、上流にあるダムが放水するわけでもなかったのですが、すごい剣幕で「遊泳禁止だ!」と言い回っていました。子供たちは委縮して、楽しいはずのキャンプがしゅん、としていて何をしにきたんだか、という風情。
責任問題で考えれば、確かに水に近づかなければ安全です。安全確保のために水に近づかない、ならばなぜ川にキャンプしにきたんでしょう? 根源的な問題をはらんです。
キャンプとはなにか?
キャンプとは危険が伴うサバイバルの側面をもっていると思います。
包丁を使えば怪我をする。それが真理です。包丁を持たなければ怪我をすることはありません、ことなかれ主義ということです。
先日子供は鉈を使って薪を割っていました。が、手元がくるって指をざっくり切ってしまいました。1cm以上切れて傷は長かったですが、幸い軽傷で済みました。しかし一歩間違えれば指切断、神経切断で大変な事故になったかもしれません。
鉈を使う、ということで親である私がもう少し管理監督すべきだったかもしれません。なにせ指切断の危機でしたから。横について、全部みてああでもない、こうでもないと指図すべきだったかもしれません。でも、それは本当に本人が一人で鉈を使って薪を割っていることになるのでしょうか。
もちろん指を切断すれば本人はもちろん、私も、同行した方の心痛も相当なものになります。しかしそれはもう、仕方のない話です。なんでか。そもそも危険なものだからです。
危険なことをする、というのは覚悟が必要です。今回は指を落としてしまうかもしれない、という危険をです。もちろん好き勝手にやらせたわけではなく、ちゃんと指導した上で、あとは任せたのです。
本人もそれを分かっていてか、指を切ったことについては自分のミスと思っているらしく、指を切ったときも大げさに痛いとか騒がず、たんたんと
「あのー、ごめんなさい、指、切っちゃいました」
と静かにやってきて、私たちの方が驚いたほどです。でもって切れっぷり半端なかったと。幸い同行者がバンドエイドと消毒薬をもっていて、手当したところ特に問題なくくっついて治りました。
これは実は相当私もショックで、ブログするかどうか悩んでいたほどです。
安全を確保することと、リスクをとらないこと、いいあんばいの中立を狙いたいです。鉈の件でいえば、革手袋していればよかったわけなので、鉈を使わない、ではなく安全装備、対策でいいのではないでしょうか。
中州でキャンプにしてもしかりで、天候が安定している、水位が少ない、増水のおそれがないのであればやっていいと思います。ただ、雨が降る、特に上流で雨が降っても増水するわけなので、そういう時はやはり万全を期してやめておく。そして最終的には自主判断ですね。
最終的にはやはり、怪我や死んでもしょうがない、と思う覚悟。それが嫌ならディズニーランドの中でテント張ればいいんです。でもそれはキャンプとは言えないでしょう。
アメリカのグランドキャニオン、国立公園ですが、あっちこっちに看板があり「〜しないと死ぬ」と書いてあります。水をもってなくても死ぬ、滑落しても死ぬ、他に野生動物に出会っても死ぬ、と。at your own riskなわけです。公園が全部が全部リスクを回避してくれるわけではありません。
自然を相手にしたとき、人間は無力です。でもそれを体験するのがキャンプです。
【追記】
[東京新聞:死亡事故のキャンプ場 過去に行政指導6回:社会(TOKYO Web)]
キャンプ場の体質にもかなり問題があったようです。
ただ・・・こういったキャンプ場は多く、氷山の一角であるというのが正直な感想です。
だから最終的には自主判断をするしかない、自分たちで安全確保するしかありません。
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