クルマのデザイン論よりも自分の趣味嗜好

「クルマのデザインがいい、悪い」といった議論があります。

デザインがいいから買う、悪いから買わない、とクルマにとって性能に匹敵するほど購買に直接関与するもので、世の中のクルマにとってデザインは至上命題。ところがデザインの良し悪しって、本当に万人に共通でしょうか?

見る映画に好みや偏りがあるように、好きな女性のタイプが人それぞれなように、結構クルマのデザインって人によって評価が変わるものなのですよね。そして一番重要なのは世の中の評価ではなくて、自分が好きかどうか、好きになって長年連れ添えるか、だと思います。世の中の評価は中古市場、下取り価格に反映されるのでそれはそれで重要なことですが、ひとまずおいといて。

DSC_4637

例えば私が乗っているオープンカー。ホンダのS2000ですが、このクルマのデザイン、私は大好きなのですが世間的な評価はぱっとしません。実をいうと私自身もデビューした時の腰高で、SSMにあったシャープなイメージから市販車となり丸みを帯びたデザインはボヤっとし、ピンときませんでした。

自分が好きなデザインは直線がハッキリしていて、面がふくよかなことよりもフラットなもの。ホンダでいえばバカ売れした2代目プレリュード、あれが最高です。

シャープなラインと平坦な面で構成されたウェッジシェイプ。カウンタックや童夢零に心酔した自分としてはそういったラインが好きなのです。ですからアルシオーネでいえばSVXもいいのですが、初代アルシオーネは最高。ああ、そうでした、こういうのをガンダムデザイン、ともいうのでしたね。

スカイラインでいえばR32も大好きなのですが、R30鉄火面や、電動アクティブリップスポイラー(GTオートスポイラー)がついたR31とかもうなんというか、狂喜乱舞ですよ。

そういう好みからいうと、ほら、S2000って意外とボリューミーでぽやんとした曲面で構成されているんです。

1995年に発表されたSSMから1999年に発売されるまでに市販車デザインとしてリファインされたわけですが、その時に当時のホンダデザインのトレンドに合わせたのでしょうね、面の構成の仕方やフロントバンパーの意匠はまんまEG6シビックです。

EGの前モデル、EFシビックでは直線基調、平面で構成されていたのですが、世の中のデザインが直線から曲線へ移り変わるのに合わせて丸まったものです。その影響をS2000の市販化でも受けたのでしょう。

S2000の当初のイメージカラーはグレーメタリック、これは曲面を美しく見せるのに最適な色なのですが、私はその曲面が好きではない、ということであえて白を選んでいます。白は膨張色であると同時に陰影がでにくく、曲面が目立たなくなるのですね。そうすることで元来SSMにあったシャープなシルエットが埋没せず出てきやすい、そう思っています。あと17インチホイール化、車高ダウン、フロントリップスポイラー装着でようやくエッジがたった自分好みのフォルムへ。

世の中トレンドがあるので、ホンダに限らずVWでもAudiでもポルシェでも、その時代の面の構成の仕方は時流に合わせ、メーカーのデザイン文法で出して来るわけですが、決して新しいものが自分の好みであるとは限りません。

Audi TTは初代最高、2代目微妙、3代目はもうよくわからん、という初代オーナーの評価もあるほどで、確かにあのお椀をかぶせたようなシルエット、丸が貴重のデザイン文法の中で3代目の角型ライトはどうなんだ、と私も感じます。

とはいえデザインは最終的には選ぶ人の好き好き。他人の意見などおいといて、自分の好きなクルマを買うのがいいと思います。そのためにはまず、自分はどんなデザインが好きなのか、自分プロファイリングがいりますね。