免許取りたての若者にS2000は危険なのか?

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以前大破したS2000を直すときに、子供が免許をとったら引き渡したい、とブログしたら

「S2000みたいなトリッキーなクルマを免許取りたての若者に運転させるなんて、頭どうかしてる」

といった意見(批判)があったようです。

これがS2000ではなく、マツダ・ロードスターや日産フェアレディZならいいのか、それともビッツやプリウスなら良かったのかと、色々考えるわけですが、まあこの短絡的なロジックも分からなくはありません。というのも、

・安定性の悪いFR
・特にS2000はハンドリングはシビアで、リバースステアが出やすい
・それを免許取りたてで技量の少ない若者が乗ると危険、すぐに事故る

という論理だろうからです。

でもちょっと待って下さい、果たしてそうでしょうか。というよりも、そもそも何か勘違いされてます。

というのも、運動ごと、特に反射神経でいえば、若者の方が老人よりも優れているからです。スポーツ選手のメインは若い人であり、年をとると引退を余儀なくされるのです。

S2000がスポーツカーであるならば、むしろ若者の方が向いているに違いありません。特に動体視力、反射神経という点でいえばトリッキーな挙動に対応できるのは老人より若者です。F1ドライバーだって20歳前後でチャンピオンとっています。

F1ドライバーは幼いころからカートやレーシングカーに乗って研鑽を積んでいます。運転技術と運転免許の有無は関係ありません。運転免許とは、公道を走る許可を国家からもらった証明書、でしかありません。運転技術の有無ではないのです。

スキーと同じで、例えば18歳になるまでスキーをやったことない人が突然雪山で、さあスキーやれといってもすぐに滑ることができないのと一緒。スキーだってゴールデンエイジと呼ばれる時期にやってこそ、バランス感覚を磨けるのです。運転もスキーと同じ荷重制御ですから、やはりゴールデンエイジ時代にバランス感覚を養った方がいいでしょう。

ですから18歳になるまで何もせずではなく、S2000に乗れるくらいの荷重制御ができるよう、今からトレーニングを積み重ねればいいだけの話です。さすがに豆腐屋のハチロクみたいに公道を無免許で運転させるようなことはしませんが、ラジコンをやったり、キャスターボードにのったり、自転車乗ったり、スキーをしたりというのはすべて運転技術の基礎を身に付けさせるための訓練。

そしてなにより実車、S2000の助手席で荷重を感じとってもらうことが一番の早道。実際問題、子供は荷重に鋭敏で、運転者である私だけが気付くだろう限界域の荷重変化やブレーキロックも感じとって、

「今、曲がらなかったでしょ(アンダー出たでしょ)」

と、さらっと言ってきます。

公道で若者が無茶するのは運転技量の問題の他に、遵法意識が低い、経験が浅い、感情的になりやすいなどそういった影響も見過ごせません。ただそれはクルマの特性、S2000の問題ではないので、それはそれ、これはこれ、です。

なので免許をとったらS2000を引き渡すというのは、運転技量に加え、交通社会の一員として円滑に走行できることが必須の条件となります。こっちだって20年近く大切にしたクルマ、そう簡単に壊してもらっては困りますから。

ちなみにラジコンが上手くて後にプロドライバーになった人は桂伸一さん、WRCのぺター・ソルベルグ選手が有名です。

ぺター少年、優勝。