ミニ四駆小説「流しのミニヨン・レーサー北川」:第35話 協力 #mini4wd

前回までのあらすじ

流しのミニヨン・レーサー北川は携帯電話を修理に出した後、ゲーセンへとよった。そこで目にするアミューズメント専用限定ミニ四駆。そのミニ四駆をとろうとして、美人店員の罠に陥ってしまった。

北川「...ん、ここはどこだ?」

混濁した意識の中からようやく目が覚めた北川。目をゆっくりとあけると薄暗い部屋が広がっている。体の自由はきかず、両手両足ともに椅子に縛られている。

神山「北川クン、おはよう。お目覚めの気分はどうかな。」

ニヤニヤ笑う神山が目の前に現れた。

北川「神山! 貴様のさしがねか。ここはどこだ、何が目的だ!」

神山はゆっくりと歩き、北川の目の前まできて止まった。

神山「ここがどこかだって、私の理想郷だよ。そして目的か、使いの者から聞いてなかったかな、君の力が借りたいんだよ。協力してもらえるよね。」

北川「オレの力だって? 断る。貴様に協力なんかできるわけがないだろう。」

神山「クックック、ハッハッハ! 予想通りの反応で嬉しいね。だけどね、自分の置かれている立場ってものを考えた方がいいのではないかな。それにほら、これは君へのプレゼントだよ。」

神山はUFOキャッチャーの景品であった、アミューズメント限定ミニ四駆を取り出した。

神山「これが欲しかったんだろう。ほらほら、欲しいだろう。」

北川の目の前を限定ミニ四駆をプラプラさせる神山。

北川「そ、そんなもの、欲しくない!」

強がる北川。しかし目線は限定ミニ四駆に注がれている。

神山「そうか、それでは仕方ない。北川クン、君が欲しくないというのであれば残念だがこの期間限定生産でアミューズメント専用というとても珍しい、希少なミニ四駆は踏みつぶして捨ててしまおうかね。」

神山は限定ミニ四駆を床に置き、ゆっくりと足をあげた。

北川「待て、それだけはやめろ!」

神山「ん? だって欲しくないんだろう。クックック。」

北川にとって限定ミニ四駆が欲しいのもそうだが、ミニ四駆を壊されるのはそれ以上に胸が張り裂ける思いである。それをよく知っている神山はまるで限定ミニ四駆を人質のように扱い、北川を翻弄し続ける。

北川「わ、わかった。協力する、だからその限定ミニ四駆を壊すのだけは止めてくれ。」

神山「フフフ、もの分かりのよい素直な北川クンになってくれて、私も嬉しいよ。では約束通りこの限定ミニ四駆を渡すかわりに、我々に協力してもらおうか。おい。」

神山は振り返り、部下に合図を送った。部下は北川の拘束を解き、立たせた。そして神山は部下と北川とともに部屋から出た。

北川「どこに連れていくつもりだ」

神山「いったろう、ここは私の理想郷、アルカディアだよ。お前にやってもらうことは、これだ...」

神山は廊下の先のドアを開けた。

北川「こ、これは!」

(つづく)

この小説はフィクションで、実在の人物・団体と一切関係ありません。

賭けミニ四駆レースは法律で禁じられています。

ミニ四駆は株式会社タミヤの登録商標です。

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