ミニ四駆小説「流しのミニヨン・レーサー北川」:第11話 社交儀礼 #mini4wd

たくさん読みたい、早く読みたいという反響が大きいため、しばらく「毎日12:00更新」で連載していきます。

前回までのあらすじ

流しのミニヨン・レーサー北川は木更津へやってきた。屋外の公園で公然と行われる賭けレース。そしてそこに現れた人物とは。

学生「ああ、あれは!?」

今まさに賭けレースをはじめようとした瞬間、公園に現れたのは警察官そのものだった。

警察官「今日の調子はどうだ? 人数も集まっているようだな。」

主催者「お仕事お疲れ様です。御蔭様で、最高のミニ四駆レース日和ですよ」

主催者が袖の下から包み紙を渡す。

主催者「これはいつもの、山吹色のお菓子でございます」

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警察官「フフフ、お主もワルよのう」

主催者「いやいやいや、おまわりさんほどではございません」

警察官・主催者「ヌハハハハハハ」

青ざめる浜田と学生。

北川「...さすがだな、これほど地元に密着しているとは」

学生「あ、あんな分かりやすい賄賂があっていいんですか! 警察なのに!」

北川「...実社会とはそういうものだ。法律を犯すことが犯罪だが、グレーゾーンはある。ミニ四駆のレギュレーションでも明らかに禁止されているモーターを使えばそれは明確にレギュレーション違反だ。ただしモーター慣らしの方法は規制されていない。水中ならしに、高電圧ならし、いくつも方法があるがいずれも違反とはいえない。F1もグレーゾーンをついて独創的な改造をする。あれを違反ではないかと指摘するのは常にライバルチームだ。ケミカル(潤滑剤)が禁止されたように、水中ならしも『水がタミヤ製ではないからレギュレーション違反だ』と誰かが強く主張すれば明確に禁止されるかもしれない。レギュレーションの運用や見直しはその時々の時代背景やレーサーのマインドによって変わるのだ。」

↓(例)公式大会のレギュレーション。

ミニ四駆公認競技会規則

レースのスタートは、スターターまたはスタートシグナルなどの合図によるものとします。選手はスイッチを入れ、車輪を空転させた状態の競技車を片手に持ち、合図と同時に競技車を接地させてスタートさせます。なお、手で進行方向に押しながらのスタートは認められません。

学生は不服そうだ。そんなに山吹色のお菓子が食べたかったのだろうか。

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北川「お中元やお歳暮は賄賂だろうか。公務員への賄賂は禁止されているが、社交儀礼の範囲内なら賄賂とはいえない。」

学生「だって、あれは賭けレースを黙認して...」

北川「お前も会話を聞いたろう、何も要求していないし、何も約束していない。まさに『あ・うん』の呼吸だ。この呼吸で民と官は数百年に及び共存共栄してきた。安っぽい正義感だけでは何もできないぞ、それほどこの日本社会の歴史は長い。」

浜田「共存共栄っすか~、奥深いっすね~」

依然不服そうな学生と対照的に浜田は相変わらずルーズだ。

北川「...そろそろ出番だな。浜田、出てこい」

浜田「え、また私ですか? 警察踏み込んできませんよね」

北川「フッ、さっきのを見たろう、ここは大丈夫だ。それとなこれを使え、例のアレだ」」

北川が奥から例のアレを取り出し、浜田に渡した。

例のアレとはなにか、そして浜田はレースに勝てるのか。

(つづく)

【ミニ四駆小説は1日に1回、12:00更新予定です】

この小説はフィクションで、実在の人物・団体と一切関係ありません。

賭けミニ四駆レースは法律で禁じられています。

賄賂は法律で禁じられています。

ミニ四駆は株式会社タミヤの登録商標です。

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