中央フリーウェイ~
と歌われた中央高速道路。実際にはこの道路は「高速道路」ではなく、自動車専用道路、正式名称は「中央自動車道」です。
中央自動車道 - Wikipedia開通当初は東名高速や名神高速と同様に中央高速道路を名称として用いていたが、開通当初の暫定2車線対面通行で、尚且つ、中央にセンターポールも分離帯もないという状態であったうえ、追越しも許されているという有様であったにも関わらず、「高速」という呼称によって速度超過が多発したことによる交通事故が頻発してしまったために、「高速道路」を用いない中央自動車道という呼称を用いるように改められたという逸話がある
そしてこれに対応してか、制限速度も高速道路の法定速度100km/hを下回る80km/hが基本で、唯一の例外は稲城IC-八王子IC区間のみ。先日崩落事故を起こした笹子トンネル、「魔のカーブ」のある阿智PA付近から恵那山トンネル区間は70km/hとさらに抑えられています。
▼中央道 魔のカーブでの事故 21台玉突き事故 ~中日本高速道路~ | 岐阜600V線区 再生への道と鉄道の近況
中央道で21台玉突き事故-長野 - ウィキニュース現場は半径300mの急カーブ。下り坂でスピードが出やすく、制限速度は他の箇所よりも10km/h遅い70km/hに設定されている。中日新聞によれば、2001年度からの5年間で54件の事故が発生している。この日は雨が降っていたが、天候による速度規制はなかった。
大きな地図で見る
この魔のカーブだけでなく中央自動車道はアップダウン、さらには曲率の小さなコーナーが連続し、一般的には走りにくい自動車道路となっています。
そのため速度はどうしても低下しがち。そうなると交通容量も減り、ボトルネックでの慢性的な自然渋滞に悩まされます。
中央自動車道 - Wikipedia前述したとおり、中央道は他の都心部の高速自動車国道とは異なり、大部分の区間が4車線である(東名高速、関越道、東北道、常磐道、東関東道の首都圏部はいずれも6車線)。これは、開通前は周辺道路の交通量が少なく、中央道自体もそれほどの交通量を見込めないとされていたためであり[要出典]、開通時は暫定2車線区間も存在していた。しかしながら、現在では多摩・八王子地区等で人口が増加したこと、東京都心から名古屋や、長野道経由で長野方面へのバイパス路線として機能していること、沿線にリゾート地を多数抱えていることなどから交通量が多く、慢性的に渋滞が発生している。
計画自体は東名高速よりも前からあり最初は南アルプスを通過するはずだったのが、利害関係の調整により現在のルートに決定。
南アルプスを越えられなかった中央自動車道|日経BP社 ケンプラッツ曲折がありながらも南アルプス経由で決まった中央道の建設計画。これが覆る出来事が、1963年に起きた。
中央道の早期着工・完成を推進するため、関係する自治体の首長などが「中央自動車道建設推進委員会」を構成していた。委員会が63年5月17日に開催した第6回総会でのことだ。長野県出身の国会議員でもあった委員長の青木一男(1889-1982年)が突如、ルートを北回りに変更する方針を明らかにした。独自の考え方として南アルプスを通らず甲府・諏訪を経由する迂回ルートだった。
この紆余曲折はまさにリニア新幹線のルート決定に至るまでの利害関係調整の逆バージョン。
南アルプスを越えられなかった中央自動車道|日経BP社 ケンプラッツそれにしても、変更案が突如示された63年の総会は何だったのか。ルート変更で利益を得る側が水面下で調整を図ったのだろうか。
ひるがえってリニア新幹線のルート問題。中央道建設における意見の対立と似た構図が今、生じている。2つ以上のルートが候補となれば、経由地同士で誘致合戦になるのは、ある意味では当然といえる。しかし、国家的なプロジェクトでは大局に立った判断が必要だ。
このような混乱があったため、中央自動車道の全線開通は大きくずれこみ、そしてその後の拡張性のなさをも呼び込んでいまいます。というのも八王子以東の市街地開発が急激に進み、用地買収が困難な情勢となったためです。
6車線化を含め、中央自動車道の拡幅計画はまったく存在せず。毎週末のひどい渋滞はそのままです。
将来的な計画もなければ、今回の笹子トンネルの崩落事故。メンテナンスすらも行き届いていないことを改めて露呈してしまいました。古くなった路面は継ぎ接ぎだらけのガタガタ、大きく跳ねる上にコーナーでスピードを抑えるためのスピードバンプ(凸凹塗装)といったものがさらに走りにくくしています。
そしてトドメは高井戸-八王子の料金均一区間。首都高速のETC化により横浜線や埼玉が接続されたにも関わらず、以前首都高速とは別料金。
高い、遅い、危ない
と3拍子揃った中央自動車道です。
ただこれは日本の将来を予感させる象徴といってもいいでしょう。
つまり戦後復興、高度成長期に計画、作られたもののそもそもの歪みや老朽化が現代になって浮き彫りとなってきたものという一例です。中央自動車道だけではなく、全国津々浦々、色々なインフラが今後老朽化により品質が落ちていく、ということが目に見えます。
これは高速道路に限ったことではありません。コンクリートで作られたものはすべてが対象。マンションや道路といった市街地、ダムや堤防といった治水に至るまで。いつどこでどんなことが起きても不思議ではありません。
田舎や山道にいくと舗装整備された林道が数多くありますが、大雨や台風でよく崩落します。今は予算をつけて復旧作業を行いますが、今後国力が落ちていけばその予算すらなくなり、補修されず、はては通行止めとなり使えなくなるといったことも予想されます。
そんなこんなを考えると、高い品質の舗装を車高の低い車で走行できるのは今のうちだけの贅沢、数十年もすればすべての車が昔のように未舗装路をガタゴトいいながら走る時代に舞い戻るのではないかという危惧です。その時代はSUVのように車高が高く、四輪駆動車がメインとなるのでしょうか。
なんとも暗い未来ですが、そんなことならないよう、きちんと道路の整備、メンテナンスに予算を割いてくれる行政にしてほしいものです。来週末は衆議院選挙。
最後となりましたが、笹子トンネル事故の犠牲者の方のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族に心からお悔やみ申し上げます。