dysonの新製品発表会が表参道 Rギャラリーであったので行ってきました。
今回の新製品はダイソンが開拓したサイクロン掃除機。昨年 Dyson Ball DC36が発表されましたが、その後継です。
▼普通の掃除機は二度死ぬ? 新型掃除機 dyson ball DC36発表【ワンダードライビング】
ボール型で取り回しがいいDC36に対して今回発表になったDC46は何が違うかというと、そのサイクロンの数。従来の12から32にアップ、なんと2段になっています。
その結果遠心力は最大 360,000Gに到達! 36万G?
スーパーカーやジェットコースターで数Gかかっただけでも人間はウゲーって思うほどで、10Gもかかればもう死んじゃうカヨワイ生き物ですが、36万Gとなるともう想像もつかないし、到底体験することもできません。もはや遠心分離機といっていいでしょう。
遠心分離 - Wikipedia六フッ化ウランガスを超遠心機にかけると、原子量の違いにより同位体濃度に勾配が発生する。遠心機の原理で同位体を分離する装置をガス遠心分離装置と呼ぶ。天然ウランから濃縮ウランを製造するウラン濃縮を行う濃縮工場で使用されている。
超遠心機の発生する数十万Gであっても同位体の濃度勾配はわずかなものである為、高濃度側と低濃度側のガスをそれぞれ別の遠心分離装置に導く。ガスを連続的に多数の遠心分離装置へ多段階にかけることで同位体を高度に濃縮することが出来る。
原子力発電所で使う燃料のウラン。これはウラン235と238の同位体がありますが、それを分離するために遠心分離機を使います。235と238では重さはほとんど違わず、核分裂する軽いウラン235を取り出すためにこの遠心分離を何べんも行うことでようやく燃料となる濃縮ウランとなります。
我々が家庭で使う遠心分離としては空気と埃の2種類。その重さの違いは歴然としていて、通常そこまで遠心分離をする必要はありません。しかーし。
この遠心分離のGが高ければ高いほど、細かく、軽いゴミまで取り除けるのです!
その結果目に見えないレベル、なんと0.5ミクロン=0.0005ミリのゴミまでキャッチできるというのですから、物凄いことです。そしてそれをさらに取りこぼさないのがカーボンブラシ。
静電気で床面に吸着した埃を導電性のカーボンにより静電気を抑え、確実に吸い込みます。その結果フローリングの床面はピカピカのツルツルに。なお、この静電気でほこりがくっついて吸えないじゃないか! というのは日本の雑誌に掲載された批判に対するもので、ダイソンが世界各国の意見を掃除機同様吸い上げていることに驚きました。
さてゴミを確実に捕獲する回転式カーボンブラシの唯一の弱点、それは髪の毛。長い髪の毛や糸くずはすぐブラシにグルグル絡まってしまいます。確かにからまってもブラシを掃除すればいいだけのことですが、面倒です。
そこで新しく開発された、その名も「タングルフリー タービンツール」が登場。
タングル=tagle 、フリー= free ということでつまり「からまない」ってことです。その秘密はこの水平回転式のパドル。形は楕円形でそれが左右位相差90度で回転、みているとまるでウドンを掻きいれるかのように左右のパドルで内側によせ、それを三角形の穴からスルスルっと吸い込むということです。のど越しが良さそうな動きでした。
しかもこの見た目、透明カバーからギアがみえてとてもメカニカル。メカフェチとしてはこの動きを見ているだけで楽しくなってきます。
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【コードレスクリーナー DC45】
こちらは片手でらくらく掃除ができるコードレスクリーナー。ポイントは片手でらくらく、です。そのためにはまず重量を軽くすること、そして重量バランスをよくすることが大事。そのために軽量大パワーのモーター、バッテリーを採用しています。
使い終わったら壁に設置した充電スタンドに戻せばいつでもバッテリーは満タン、しかもスタイリッシュに格納できます。これなら掃除機を毎日かける気になりますね。
パイプ、ヘッドを短いものに変更すれば狭い場所、例えば車室内などにピッタリ。それに合わせたヘッドも付属しているので、シートやカーペットの上に煎餅やおにぎりの海苔が散乱することなく、新車のような雰囲気を味わえることに違いありません。
車内掃除機を持っているには持っているのですが吸引力が弱く、カーペットに絡まったゴミはなかなか取り除けませんが、このダイソンの強力な吸引力をもってすれば必ずや吸い取ってくれることでしょう。
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ここRギャラリーでは期間限定ダイソンショップとしてオープン。9月17日までなのでお早めに。
【ラジオインタビュー】
サー・ジェームズ・ダイソンさんが interFM 特設スタジオでラジオインタビュー。
そうなんです、ジェームズさんはこれまでの偉業を認められ「サー(Sir)」の称号をもらったのでした。
「サーになるためにはどうしたらいいのですか?」
といった質問に対し、答えは
「一生懸命働くことさ!(work hard)」
とのこと。こんなところにもデザイナー、エンジニアとしての実直さが表れています。そんなジェームズさんが作ったサイクロン掃除機や羽根のない扇風機、マルチプライヤーはどうして生まれたのでしょう。実はどちらも共通点があり、それはどちらも「既存商品が存在する」というものです。
掃除機にしても扇風機にしても家電が生まれてから50年、その姿形、構造をほとんどかえず、小手先が変わっただけの商品でした。つまり生まれてからその後、イノベーションと呼ばれるものがなかった、レガシー製品です。ところがこのレガシー製品、完璧かというとまったく逆で不満だらけ。ジェームズさんはそれを使っていて、「怒り(anger)」を覚えたといいます。
この「anger」がイノベーショナルな製品を作るきっかけに。
掃除機であれば吸引力がどんどん落ちてゴミが吸えなくなることに、扇風機であればバタバタした不愉快な風に往復ピンタを食らわされていることに。そんなものを使わされていることに込み上げる angerがモチベーションとなって飽和したはずの既存家電に風穴をあける製品が開発されたのでした。
デザインというのは見た目の美しさもそうですが、エンジニアリング的に、構造的なものもデザインといいます。例えば回路設計、設計図もひとつのデザイン。プリント基板をみて配線がごちゃごちゃしていて、ジャンパー線が飛んでいるものが高品質な製品であるはずがありません。綺麗なプリント基板は見た目もよいと同時に効率がよく、高性能であるのです。基板は決して表にでてきませんが、そこをしっかりと作り込むことはとても大事です。
一方ダイソンの掃除機は美しくデザインされた内部構造を透明カバーをつかってうまく見せています。ある意味「露出狂」に近い感覚といっていいでしょうか。どうだ、綺麗だろう、という自信を感じさせます。
ダイソンの掃除機は外からたまったゴミが見えます。これは掃除したという「感覚」を視覚化するためで、達成感があるとのこと。性能的にはFULLのラインまでゴミを溜めても吸引力が落ちないので吸い続けていいのですが、私としてはその美しさを考えるとやっぱり毎回捨ててしまうんですね。インテリアの一つとして置いていける製品として考えても、やはり中にゴミが入りっぱなしなのは美しくないのですが、入りっぱなしでいいというのが面白いところ。
飽和マーケットだ、イノベーションのジレンマだと色々世間では言われますが、たとえ飽和マーケットでもイノベーティブなものであれば切り拓け、さらには「サー」になれるということをダイソンの製品が証明してみせています。
あとはそれを実現するためのモチベーション。「anger(怒り)」、獰猛な野生を感じますね。再び野生が必要とされる時代なのではないでしょうか。
虎だ、虎になるんだ!
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サーじゃなくて虎になってしまいましたが。