銀行の窓口にいる女性行員。昭和の時代、制服姿が綺麗でもうそれだけで萌え対象でした。一方、昭和時代はそんな女性行員を惑わした大事件が起きているんです。
滋賀銀行9億円横領事件1965年春、北野支店で勤務していた奥村は35歳になっていたが、この頃山県元治(当時25歳)と出会っている。
当時、奥村は付き合っていた男性とケンカをして沈んでおり、職場の懇談会のあとタクシーで拾ったのだが、酔っていたこともあって涙を流した。この時、「どうされたのですか」と優しく尋ねてきたこの若い運転手が山県だったのである。2人は話しこみ、奥村の方から「酔って帰ったら母がうるさいからドライブしよう」と誘った。
30分ほど京都市内を走ったところで奥村はタクシーを降りたが、別れ際に「××銀行の奥村彰子です」と嘘の銀行の名を言って去った。優しく語りかけてくれる山県は魅力的にうつり、「また会いたい」と思ったが、自分に自信がないことからの嘘だったのだろう。
奥村はこの後、山科支店へ転勤となる。職務は普通預金係だった。
66年春、奥村は帰宅途中のバスのなかで、突然「あの時の彰子さんではないですか」と山県に声をかけられた。奥村はすっかり彼のことを忘れていたが、声の調子で思い出したという。山県は琵琶湖競艇の帰りで、負けてきたとのことだった。山県は奥村をお茶に誘い、京阪三条南口の喫茶店で話しこんだ。
劇的な再会劇ですね。ところがこれが悲劇の始まり。
銀行の金はカレのモノ史上空前の横領金額9億円!
【滋賀銀行詐欺横領事件(昭和48年)】あるときO子は真面目な"店外営業"のつもりで、
「私の銀行に預金をしてくれない?」と頼みよった。
結局、始めは彼女自身の金を貸して預金をさせよったんやけど、
まぁ普通はいくら成績アップやからゆうてもそこまでせえへんでぇほんまに・・・
まぁ、自分より10歳近く若い男に遊んでもうてるんやから
しゃぁないわ・・・ とでも考えてたんやろうな。
ここまでで済んどったらよかった話やったんやけど、次第にG郎のほうから、「競艇で倍にして返したるから」と
そそのかされて、銀行の金に手ぇつけ始めよった。
「倍にして返したるから」という言葉で倍に返した例を見たことがありません。
私の彼は国際秘密警察?
【足利銀行詐欺横領事件(昭和50年)】彼女が横領を始めたのは昭和49年1月のことや。
前年、彼女は旅先の東北本線車中で
A夫(当時25歳)という男性と知りおうた。この男こそ、この事件の主犯や。
A夫は初対面のK子にこう自己紹介しよった。
「私は国際秘密警察の者です」
なにゆうとんねん? ほんで一体なんや、それ?"スパイ大作戦"か!?
さらに、このデタラメ話に信憑性をもたせるためにA夫は
「TVで千葉真一がやっているアレです。アレが私の仕事なんです」
と説明しよった。
そーか、そん時テレビではやっとった、"キーハンター"の事ゆうとったんか。
とか言うて変に感心してる場合やないで・・・ほんまに。
なんとこの貸付係のK子、すっかり信じ込みよった。ほんま訳がわからんで、このねぇちゃんも・・・
もしそやったとしても"国際秘密警察官"は
東北本線の電車にはそう乗っとらへんで・・・。
「キーハンター」の国際秘密警察、って実在すると思ったのがスゴイ。
華麗なるオンライン横領の結果
三和銀行詐欺横領事件(昭和56年)そして作業が終わるとすぐに「歯医者に行く」といって外出しよった。
ここからが時間との戦いや。
銀行側が不正に気づき
出金ストップをかける前に各支店へ行って引き出さなあかん。
茨木支店は午後1時の中間精査で異常に気付いて、
すぐに歯医者へ探しに行ったんやけど、I子の姿はなかった。
慌てて端末機を調べたら架空入金されとる・・・。
これはヤバい事になっとるとみな焦りよった。
けどこの騒ぎはあとの祭りになってもた。同支店から出金ストップをかけれたんは午後3時15分や。
I子は吹田、豊中とまわり、飛行機で東京へ・・・
タッチの差で引き出しは成功しよった。
計画的かつその時間差のスリリングさ。これは24時間にも匹敵するほどの犯罪ドラマになりそうですね。
いずれにしても愛は盲目というか、マジメな女性行員を狂わせる何かがあるんでしょう。
これらの3つの事件の共通点は、3人の女性すべてが典型的なマジメ行員やっちゅうこっちゃ。
年齢の違いはあっても、上司からの信頼たるや絶大で、
そのことが横領詐欺の発覚を遅らせた共通点もある。
男にだまされてとる女たちもアホやけど、
優秀な行員やちゅうて管理を甘くしとる銀行側も相当おまぬけやで。
いまはすべてコンピュータ処理なので、きっとこういう牧歌的な事件は起こりにくいんでしょうね。
なんだかちょっと残念です…
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