Perfume「ポリリズム」が挿入歌の映画「カーズ2」は大人も楽しめるカーアクション・スパイ映画だった!

子供相手の映画だろうと気を抜いて見に行ったのですが、大変申し訳ありませんでした。大人も楽しめる、超娯楽映画でしたよ!

DSC_6455

「カーズ」といえばクルマがでてきてレースして、人間ドラマしちゃうCG映画、くらいな知識しか持っていませんでした。Perfumeが挿入歌でなければ見に行こうとは思わなかったでしょう。

しかし、こんなレビューでぐっと見る気が倍増。

第8回:子供向けと侮るなかれ。実はエンスー映画なんです!? - 『カーズ2』

悪の組織の合言葉が「カルマンギアにラジエーターなし」だったり、さまざまなところで変にマニアックな要素がちりばめられている。親子で観に行けば、子供がマックィーンの大活劇やメーターとの友情物語を楽しんでいる横で、親はエンスー趣味を満足させることができるかもしれない。


(実際には悪の組織ではなく、正義の味方のスパイの合言葉)

そうなんです、名車があちこちにちりばめられた、クルマ映画だったんです。私もそんなにクルマに詳しいわけではありませんが、それでもあちらこちらに見覚えのある愛嬌のあるクルマたちが満載。悪の組織に所属するのが評価が分かれる迷車だったりとそれだけでもクルマ好きにはたのしめます。



第8回:子供向けと侮るなかれ。実はエンスー映画なんです!? - 『カーズ2』

登場するキャラクターは、実際のクルマをモデルにしたものとオリジナルのものがある。マックィーンはオリジナルのレーシングマシンだが、サリーは誰が見たって「ポルシェ996」だ。ラジエーター・スプリングスの住人では、マックィーンにドライビングを教えたドック・ハドソンは1951年型「ハドソン・ホーネット」で、実際にNASCARで活躍している。フェラーリ好きのタイヤ職人ルイジは「フィアット500」だ。ちなみに吹替版ではルイジの声をパンツェッタ・ジローラモが担当していて、これが実にハマっている。今回の作品ではピットクルーとしてイタリアのレースに同行するのだが、久しぶりに会う両親は「トッポリーノ(フィアット500初代モデル)」だったりする。ほかにも、「マーキュリー」のポリスカー、「フォルクスワーゲン・バス」、「T型フォード」までが登場する。

『カーズ2』ではレースを実況するのは「シボレー・モンテカルロ」で、「ジャガーEタイプ」が解説を担当する。ロンドンでレースを観戦される女王は「ロールス・ロイス・ファントム」だろう。日本の記者会見でマイクを向ける記者は「ホンダ・フィット」で、イタリアの道には「フィアット・グランデプント」が走っている。見逃したものも多分たくさんあるので、DVDで見直せばもっといろいろなクルマを見つけることができるだろう。

それだけではありません。カーズの続編となればカーレースが主体かと思いきや、これはもう完全に「スパイ映画」。悪の組織と戦う、正義の諜報機関という対立構造。007を意識したBGM、空を飛び海を潜るMI6風イギリス車、これはもう完全に私たちが子供の頃に狂喜乱舞した「私を愛したスパイ」のボンドカーです。ロータス・エスプリだったら完璧でした、そこまでやったら完全パクリですけどね。

【Amazon】
1/43 007 ボンドカー Lotus Esprit (潜水仕様) 私を愛したスパイ
B002UHXPNU

007/ボンドカー ロータス エスプリ

そんなわけで予想をいい意味で裏切ってとても楽しんでしまいました。もちろん、東京を舞台にかかる

Perfume「ポリリズム」も最高。

新宿のネオンと思しき街、路面はウェットでテカっているところなんて、雨の多い日本をうまく表わしている上に光が反射して綺麗。実際には書かれている文字が適当なクルマ用語だったりするので本物(リアル)ではないですが、すごくポイントを押さえているんですね。リアルではなく、リアリティがあります。

フランス・パリやイタリア(モナコ、アマルフィ)、イギリス・ロンドンも同じようにリアルではなくリアリティで再現、どちらも非常によく雰囲気を伝えています。

そしてアクションも演技(?)も素晴らしいんです。タイヤ4つあるのでそれぞれが手足のような感じになるのですが、なんというかもう常に動いていて、まさに命が吹き込まれているかのよう。その役車(やくしゃ)たちがそれぞれ名演技。吹き替え版ということで声が浮くのを懸念していましたが、そんなこともなくまったくもって自然。ただアメリカンジョークというか、英語の言葉遊びが結構あったのでそこは字幕版で見たかったところ。こちらはDVD/Blu-ray版で確認でしょうか。

日本語版だからなのかは分かりませんが、メーターが手紙を残すところはきちんと日本語で書いてあったりして、細かい配慮が行き届いています。メーターが日本語かけるとは到底思えないんですけどねw

珍しくプログラムも買ってきました。

DSC_6459

もちろん目当てはPerfume。予想通り1ページ掲載されていて、いい記念になりました。

カーズ2はクルマ好き、カーアクション好き、スパイ映画好き、CG好き、3D好き、そして Perfume好きにオススメできる映画です。いやほんと、なんというかジョン・ラセター監督といい、ディスニーといい、Pixarといい恐るべしです。

だって登場人物が全部クルマですよ。本当はよっぽどのことがない限り成立しないんですよ。それをうまく演技させて説得させる技術力。

それに加えてクルマ文化。クルマの発祥はヨーロッパですが、アメリカで量産、ビッグ3といわれたアメリカカーメーカーの栄華を極めたわけです。今ではビッグ3は凋落し、日本のトヨタやドイツのVWが世界のトップを競いあっているわけですが、メーター(古いレッカー車)のような錆だらけのポンコツ(失礼)が普通に走っているのもアメリカ。クラッシックカーとして古き良き時代を懐かしむんではなく、実働しているクルマ文化を持っています。

冒頭メーターが隣町にもいけないようなクルマをレッカーしにいくエピソードがありますが、これが実際。よくルート66にはエンコしたクルマが何台も止まっていて、回りは砂漠なのでだいたいオーバーヒートが原因。新しいクルマにすればいいじゃないと思うわけですが、そこは人種が多様かつ生活レベルも多様なアメリカ。動くものは修理しながら使うというのも、ひとつの文化。

今回テーマのひとつが「エコ」なのですが、古いモノを大切に使うというのもひとつの「エコ」では?という裏メッセージが隠されているのではないかと思ったほどです。

その点日本はというと、これだけのクルマメーカー大国になったのに、クルマ文化といえば未だ発展途上国。「カーズ」のようなアニメ映画が出てくる土壌がありません。特に問題なのが車検制度により、元気なポンコツがないこと。古いものを大切にしたくても、車検に自動車税がそれを阻みます。

そう考えるとビッグ3が力を失ったとはいえ、アメリカがいかに自動車大国であり、クルマ文化の国であることかを思い知らされます。

儲かるクルマばっかり作っていればいいってもんじゃないんだなあと、改めて感じました。いつかジブリにクルマ映画作って欲しいですね。

【Amazon】
ダットさん
477461064X

ダットさんのアニメ化希望です。


【Amazon】

カーズ [Blu-ray]
B0041I633K

【Amazon】
バルンくん (0.1.2.えほん)
4834019055

【Amazon】
はやいぞブンブン (とことこえほん)
4494003891