江戸城を歩く:江戸城天守閣を復元して、東京を世界の観光都市に

東京にすんでますか? 来たことがありますか? くる予定がありますか?
江戸時代を知っていますか?
古地図は好きですか?
お城は好きですか?

どれか一つにでもあてはまる人に、この本をお勧めします。

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江戸城を偲びながら、現代東京を歩く散歩コースを紹介するガイドブック的「江戸城を歩く」です。

散歩コースを12つも紹介、古地図と現代の地図を照合させて、要所要所に残る江戸城の面影を偲ばせます。ここまでは一見 東京Walkerや散歩の達人と同じ雰囲気なのですが、それにとどまらず。

江戸の歴史や城壁、城下町の作り方なども事細かに解説しているのです。城壁マニアとしてもこれは見逃せません。

さらにはそれだけではなかったのです。この本にはすごい目論見が隠されていました・・・

それは後書きで表明されます。それが、

「江戸城天守閣復元」運動です。

本のほぼ90%以上を占める散歩コースの紹介なんて、前座も前座。本当の狙いはこの後書きの数ページに集約されてました。

著者黒田涼さんが言うには、江戸城には天守閣がない、東京の基本は江戸である、シンボルも江戸城である、江戸城にシンボルが必要だ、それが天守閣であるから、いまこそ復元すべきだと。

フランスのパリは世界の観光都市で、凱旋門、エッフェル塔などのランドマークがある。しかし東京の東京タワーが江戸から引き続いた東京の数百年の歴史を現すシンボルとなろうはずがない、その資格があるのは江戸城の天守閣のみであると。

もちろんその前で東京は皇居周辺、千代田区、文京区を中心とした江戸城および城下町をつぶさに紹介されて興味深く見た後なので、必要以上に説得力があるんですよ。いや説得されたい力というか、納得力というか。

江戸城の天守閣は明暦の大火で焼け落ちて、それ以来存在しません。

江戸城 - Wikipedia

1657年(明暦3年) 明暦の大火により五層の天守閣を含めた城構の多くを焼失。町の復興や経済的な理由を優先し、現在まで天守閣は二度と再建されていない。

これはいくつかの理由があるでしょうが、一番の理由は「不要だから」というものでしょう。つまり天下泰平の時代、天守閣など不要の長物なわけです。その合理性が東京っぽさでもあるわけです。

一方で日本人のメンタリティとしては、一国一城の主という言葉どおり、お城をもつことは一人前の証。「うだつを上げる」のが、個人としての評価であるとしたら、国としてもなにかうだつを上げとかないといけません。

東京は江戸じゃないよ、という声もありましょうが、この本を読むといかに東京が江戸をベースにして成り立っているか、いや江戸なしには成立するはずもないことが歴然と理解できます。そうなると東京のシンボルであり、アイコンは江戸城以外にありえない、だから天守閣くらい数十億で再現できるんだから、東京オリンピックをやる予算の中で是非再現してほしくもなろうってものです。

熊本城復元整備事業計画 - 【熊本城公式ホームページ】

西南戦争、そして近代日本の幕開けの舞台、熊本城。 質実にして剛健、難攻不落の天守閣、 武者返しといわれ優美にして堅牢な石垣。 築城から四百年が過ぎ、 今、まさに熊本城を往年の勇姿に。

おりしも熊本では熊本城築城400年記念プロジェクトで、再現、復元プロジェクトが進んでいます。名古屋でも「尾張名古屋は城でもつ」という言葉どおりで、金のしゃちほこで有名です。ですからこの関東平野すべてを城下町とした東京という町の中心である江戸城の天守閣をバーンと作り上げるのは21世紀の我々の義務ではないでしょうか。

と、すっかり洗脳させられてしまうほど、面白い本でした。オススメです。

江戸城再建・江戸城再建を目指す会・NPO江戸城再建を目指す会

ちなみにこの江戸城再建・江戸城再建を目指す会・NPO江戸城再建を目指す会の会長は、江戸城の基礎を気づいた大田道灌の18代子孫の方だそうです。色々とすごい。

江戸城再建を目指す会 TOPページ

2009年3月6日現在の会員総数は1209人です。 江戸城再建という壮大な夢を実現するには、できるだけ多くの方々に会員になっていただき、江戸城と江戸時代に関わる歴史や伝統、文化を楽しく勉強しながら、国民各界、各層の理解と支援の輪を拡げていくことが必要不可欠です。 私たちは、この“草の根運動”を着実に拡げることによって、やがては大きな国民運動に発展させていきたいと願っています。その為、本年2月の通常総会では、出来る限り早い時期に、会員総数をまずは3000乃至5000名に拡大していこう・・と決議しました。更に今年から来年にかけての課題として、改めて「いま、なぜ江戸城再建か」をあらゆる角度から検証すると共に、今まで誰も手をつけて来なかったテーマ即ち、「いま、なぜ江戸城再建か」をあらゆる角度から検証する「江戸城再建意義研究会」と、今まで誰も手をつけて来なかったテーマ、即ち「何処に、どんな城を造るのか、それにはどの程度の資金が必要か」などについて、せめて大まかな、しかし具体的、専門的な、第一次的青写真を作る為、「江戸城(天守閣)再建構想研究会」を設立し、来年にはその成果を広く世に広報することを決議しました。

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