熊本城の天守閣は再現されているものの、中身は鉄筋コンクリート、つまりビルディング。コンクリートむき出しの内部構造に風情はまったくなく、外見をのぞくと建物的価値は限りなくゼロです。構造という意味ではよっぽど目の前にある小さな「宇土櫓」の方が価値が高いといっていいでしょう。
そんな批判に耐えかねてか、400周年記念プロジェクトで再現した「本丸御殿」は構造から装飾物まですべて往時のものを再現しようと、過剰なまでに努力しています。はっきりいって、天守閣の中は観なくていいから、こっちをみるべき。
・こだわりポイント1:(金属)釘を一本も使わず、宮大工が製作した木造建築
金属の釘はいっさい使わず、木材の釘、竹釘を使っています。
木造建築の構造はまずモデルでわかりやすくご紹介。いくつか代表的な組み合わせがあり、それを大小使い分けているそうです。
もはや立体パズルのように、入り組んだ構造で組み立てています。以下、実際の建物。
・こだわりポイント2:釘隠しや寄木など装飾具をきっちり再現
・こだわりポイント3:金箔、漆をふんだんに使った「昭君之間」
加藤清正が、いつか豊臣家が熊本城に来た時、もてなすために作ったといわれる豪華絢爛な接待空間。実際にはその夢はかなわなかった上、本丸炎上の時に消失してしまい壁画がどんな図柄であったかも今となっては知ることはできません。しかし当時のトレンドなどから今回おそらくはこんな感じであったろうということで再現。
◆本丸御殿大広間 - 【熊本城公式ホームページ】<障壁画貼付け> 昭君之間の天井画を貼付けているところです。 天井画は全部で60枚あり、漆塗りの折上げ格天井と共に部屋を豪華に彩ります。
壁画もすごいのですが、それと同じ位に立派なのが天井画です。
漆+金+金箔のコンボで室内なのになぜか眩しい??多分それは言いすぎですが、手間と材料とさらにはその精度をみるにつけて、技術立国日本のルーツを感じ取ることができます。
そんな再現状況は途中の休憩所にある、ビデオで確認することができます。
2パート、10分ほどのビデオですが、これは必見。建造物の再現と、装飾具の再現についてより詳しく知ることができます。
これを見た後、実際の出来上がりをみたら、例えこれが54億円かかったとしても納得の出来栄えです。再現ものは往々にして再現したときはよいものの、数十年もするとみすぼらしくなるのですが、これなら数十年たってもよい風合いになってますます魅力が増すのではないでしょうか。今は逆に真新しすぎるきらいもあるくらいです。
新築の今をみて、また十年後深みを増した本丸御殿を見るのも一興でしょう。
ということで、「本丸御殿」非常にお勧めです。
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