地球温暖化とCO2排出とガソリン価格高騰で私たちは何をすべきか(何をしないべきか)

最近なにかと地球温暖化とか、CO2排出規制とか言われてますね。トヨタのエコ替えというCMがあったりともう世間は「温暖化ファッショ」に溢れかえってます。

そんな中、ついに北極海の氷が解けるという事態に。

Exclusive: Scientists warn that there may be no ice at North Pole this summer - Climate Change, Environment - The Independent
It seems unthinkable, but for the first time in human history, ice is on course to disappear entirely from the North Pole this year.
俄かには信じられないことだろうが、人類史上初めて今年、北極海 の氷が完全に溶けてなくなる。

だからといってすぐに海面が上昇するかというと、さにあらず。アイスコーヒーの氷が解けるとコップからコーヒーが溢れることがないように、氷山が解けても水面は上昇しません。

ただこのように明確な形で氷がとけると、今まで北極点に犬ぞりで目指していた人たちがいたというのに、船でいけるようになるわけだし、そもそも国旗をたてようにも氷がなくって立てられないというった不便が考えられます(もちろん冗談ですが)。

「エコ替え」という社会貢献型マーケティングで有名なトヨタでは、ハイブリッドカーのプリウスにさらに太陽光発電を搭載してさらなる燃費向上を目指す模様。

NIKKEI NET(日経ネット):企業ニュース-企業の事業戦略、合併や提携から決算や人事まで速報
新型プリウスの高価格タイプに太陽光システムを搭載する。屋根部分に発電パネルを設置。エアコン駆動に必要な2―5キロワットの電気の一部を太陽光でまかなう計画だ。

実際には燃費が向上するというよりも、電池がもつので稼動距離数が増えるといった効能だと思うのですが、こういった取り組みはなかなか技術的には興味深いです。

レスポンス|Response. 【洞爺湖サミット】MINI が首脳をお出迎え
7月7 - 9日の期間開催される北海道洞爺湖サミットを前に、サミット参加首脳国の国旗を掲げた『MINI』がウィンザーホテル洞爺に集結した。

洞爺湖サミットが今日開幕したようですが、そこで「MINI」が使われたというニュース。ルーフに国旗というアイディアはまさにMINIにうってつけですね。しかし日本の赤丸は横につけて欲しかったです。

今回の洞爺湖サミットは地球環境がひとつのトピックとなっているのですが、どうもトーンダウンしている模様。

<洞爺湖サミット>温暖化問題…アフリカの関心薄く(毎日新聞) - Yahoo!ニュース
だが、経済成長が本格化し始めているアフリカ諸国は、成長の足かせになりかねない温暖化対策には慎重だ。G8も「支援強化でアフリカの成長を後押しし、新たな投資先に位置付けたい」というのが本音で、日本も例外ではない。成長支援と温暖化対策の両立を狙う日本の戦略は、もともと矛盾をはらんでいたとも言える。

20世紀の経済成長はすなわちエネルギー消費に支えられていたのは自明ですから、経済成長をこれからやろう、やりたいという国々にとっては逆にエネルギー使わせろ、CO2出させろという気持ちで一杯なわけです。

一方でCO2排出抑制へ取り組む方法が身近にあるそうです。

コンビニで「飲みもの」を買って CO2削減に貢献する | エキサイトニュース
「CO2オフセット」とは、「CO2排出量を削減できなかった分を、削減できたところから購入することで相殺する」仕組み。地球温暖化防止の啓発活動として、商品価格の一部を寄付するような、消費者に負担をしいることなく貢献できる方法はないかと検討を重ねた。「CO2オフセットは企業の最後の手段。まず自分たちの努力として商品価格には転嫁せず、消費者に協力してもらえるようにしました」(服部さん)。

ローソンでこの商品を買うと、1本につき1キログラムのCO2排出権を両社が対象商品で得た収益の一部から全額負担する。予定の360万本が売切れれば、3600トンの排出権を取得することになる。取得した排出権は国の償却口座に無償で移転するため、京都議定書のCO2削減目標の達成に貢献できる。「1人1日1キログラムの温室効果ガス削減」は、国が地球温暖化防止の国民運動で掲げた目標でもある。

分かりにくいですが、要はCO2排出権を購入することで、CO2を排出しなかったことにするという算数です。まさに社会貢献型マーケティングですね。

実際にはCO2を抑制できているわけでも増やしているわけないです。CO2を排出する予定だったところの、その予定を買い取ることでCO2を出したつもりになって、でも実際には出してないから抑制したと解釈できる仕組み。すべては「脳内」の話です。

まあ、こんなことが進むとゆくゆくはBBQや焚き火でもCO2排出権の購入をしなければならない時代が来るんでしょうね。自治体からの通知で、「焚き火をする場合はコンビニで自治体指定の『CO2排出権チケット』をご購入下さい」とかありそうです。

ところがこれが笑い話ではなく、実際に起こりうるのです。田舎で父が枯葉を集めて焚き火をしていたところ、役所の人が飛んできて、

「CO2を排出するので焚き火はやめてください!!」

と禁止されたそうです。こういった運動は田舎の方が律儀に守るので、杓子定規だとか。となると、今後焚き火をするにあたって

「CO2排出権を購入済みだからいいだろ!」

と返す時代がやってくるのは自明です。いやせちがらい。

CO2排出にもっとも密接なのがガソリンであり、車。昨今のガソリン価格高騰でアメリカ市場は大打撃を受けてます。

<米新車販売>トヨタ21%減 原油高騰など影響(毎日新聞) - Yahoo!ニュース
日本勢は、2位のトヨタ自動車が小型トラックの不振などで同21.4%減の19万3234台と急減速。ホンダは同1.1%増の14万2539台と2カ月連続で米クライスラー(同35.9%減、11万7457台)を上回り、4位を維持した。6位の日産自動車は同17.7%減の7万5847台と不調だった。

ここでホンダのみが微増と影響を免れているのは、コンパクトカーで高燃費の新型フィットが売れているから。アメリカといえども最早コンパクトカーブームになっているのです。

日本はというとさらにメロメロ。というのもすでにコンパクトカーも、軽自動車も普及しつくした感があるからです。

ガソリン高騰で「車離れ」始まった 通行台数減り、駐車場に空き(J-CASTニュース) - Yahoo!ニュース
589台が収容できる「八重洲(東西)駐車場」も、「利用台数が減っているほか、利用時間も短縮している」と担当者は話す。近くにある百貨店「大丸」で買い物をする人や新幹線の乗客など、もともと需要の多い場所だが、今では「空車」と表示される時も珍しくない。ただ、「ガソリン代を気にしない高級車は減っていない」と話している。

 全国に22万台分の駐車場を運営するパーク24(東京都千代田区)でも、「駐車場の稼働に影響が出ている」と認める。ガソリン価格の高騰でドライバーは「センシティブ」になり、「乗り控え」や利用時間の短縮化につながっていると見ている。

高級車はともかく、庶民は明らかに乗り控えをはじめている模様。このガソリン価格高騰が続けば乗り控えだけではなく、手放す傾向も高まるでしょう。自動車登録台数も頭打ち、マイナスへ転じ、その傾向は明らかです。

「新車販売台数、5年連続マイナスに」ビジネス‐メーカーニュース:イザ!
日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会が1日発表した平成19年度の新車販売台数(登録車と軽自動車の合計)は5・3%減の531万9619万台となり、2年連続で減少した。

 このうち登録車は、前年度比4・5%減の342万6577台にとどまり、5年連続のマイナス。昭和49年度の333万5547台以来33年ぶりの低水準で、市場はピーク時の平成2年度(590万341台)から約4割縮小した。

中古車も同じ傾向、というか新車が売れなければ中古車も出てこないという構造ですね。

中古車登録台数、6.0%減で26か月連続マイナス…5月(レスポンス) - Yahoo!ニュース
日本自動車販売協会連合会が発表した5月の中古車登録台数は、前年同月比6.0%減の35万862台となり、26か月連続でマイナスとなった。

新車の需要が依然として低調で下取り車の減少でタマ不足が続いている。

こうなってくると登録台数も頭打ち、稼動も低くなるという傾向で、つまりはもうこれ以上道路を作る理由がなくなりそうです。未だにガソリン税で多額の税金を取り、道路や高速道路を作るための財源にまわしているのですが、そういうった右肩上がりのスパイラルではもはやたちゆかなくなること間違いありません。

それこそ燃費の悪い高級車だけが高速道路を爆走する世の中になりそうな気配ですね。

ただ忘れてはならないのは物流。日本の物流はコンビニにおけるJIT(ジャスト・イン・タイム)がもはやスタンダード。つまり常にトラック便が動き回っているわけです。もちろんトヨタのカンバン方式もこれにのっとっているので、物流コストが高くなればそれは価格に転嫁されるわけで、もうこれはあちこちではじまっていますね。ポッキーしかり、カップヌードルしかり。こういったもの以外でも、生産地と消費地がおおがかりに離れている日本においてはすべての物価がこの影響を受けるといってもいいでしょう。

ところでCO2排出を低減するためにコンビニの深夜営業をやめようという動きがあるという話ですが。

J-CASTニュース : 「コンビニ深夜営業はいらない」 朝日新聞調査に業界反発
流通業界に詳しい三菱総合研究所の高橋衛主任研究員は、今回のアンケートや、コンビニの深夜営業廃止について、

「あまりヒステリックに議論しないほうがいい」

とJ-CASTニュースに語った。深夜営業をやめたとしてもCO2の削減効果はどれほどかわからないし、

「大都市以外では深夜に利用する人は限られていて、その数は少なく、アンケートを取れば『いらない』と答える人が多いのは予想できます。ただし、遅くまで働いたサラリーマンや、学生さんにとって、まさに『開いててよかった』存在なわけで、そういう人達のニーズは非常に高いのです」

ということだった。

まさにCO2削減効果は分からない、というのが本当のところでしょう。ところがこれまた算数で計算したがる人たちはもっともらしい数字をあげることになるのでしょうが、落とし穴は深夜営業ということ。つまり深夜電力なわけですね。この点においてはまったく効果はないことでしょう。逆にいうと余剰電力を使ってもらっているありがたいお客さんと、電力会社はとらえているはずです。

火力発電を削減したいのか、CO2排出を削減したいのか、ガソリンが高くて使いたくないのか、北極の氷が解けてエスキモーが迷惑しているからなのか、なんだか手段と目的がごちゃごちゃになってわけわからんです。

ですからまとめとしては、

「あまりヒステリックに議論しないほうがいい」

という三菱総合研究所の高橋主任研究員の言葉で締めたいと思います。