森高千里にとって今年初となるライブは地元熊本での大震災直後の開催となりました。
両親、兄弟が住む熊本が未曾有の被害を受け、旧友の中にはいまも避難、車中泊暮らしもいるという心穏やかではない時期の開催。ファンとしては中止や延期もやむを得ないのではないかというなか、平常通り開催の運びとなったのは嬉しいことです。
47 HARD NIGHTSの意味
今回のライブのタイトルは 47 HARD NIGHTS。これは初期、セカンドアルバムの中の曲です。
なぜいまこの曲をタイトルに使うのだろうかと疑問だったのですが、MCでその謎は氷解しました。
・森高千里は47都道府県ツアーを2回こなしているため、47という数字は思い出深い
・47歳になった
47歳? 47歳なんですか!?
その年齢と見た目のギャップに驚きつつも、森高がオバさんになったなら、私もオジさんになったよね、そりゃと「わたしがオバさんになっても」の歌詞を彷彿とさせます。
なおもともとの47 HARD NIGHTSの意味は、女子大生の夏休みが47日間で、その夏の間にはじまって終焉する恋の話とのこと。
テクノ森高
森高がライブ活動を続ける意味、それはどこにあるのでしょうか?
単なるノスタルジー、若い頃はよかった、という段階は活動再開初期には少しはあったのかもしれません。しかし定番の盛り上がる曲を何度もやっていると飽きがくること、そして加齢はますます進みハードなライブはできないことからそれもまた長続きしません。
同窓会とは数十年ぶりにやるから盛り上がるわけで、一年や半年に1度やっているとだんだん集まらなくなるのと同じです。
そこで、狙っているのでしょうが、ライブの内容が毎年、いや毎回異なってきているのです。単なるアイドル森高千里とファンの同窓会じゃないんです。
いわゆる森高のライブの定番曲が比較的少なかったものの、森高のもつ多様な音楽性、アイドル歌謡あり、ロックあり、テクノあり、そして47歳の森高が切り拓くオバさんの未来の可能性というものを感じます。単なる同窓会ではない、ライブの在り方を今回も堪能させてもらいました。
サウンドチェック
そのひとつにライブ直前にあるサウンドチェックへの来場者の有料招待(プレミアムチケット)があります。ポールマッカートニーがやっていて、しかもライブでやらない曲をそこで歌うということで、それをコピーしたものらしいですが、これがまたいいんです。
普段着の森高はスキニーなダメージジーンズに、まるでジュディ・オングの魅せられてのように手を広げると扇状に広がる真っ白いブラウスに魅せられます。その純白さは森高千里の純粋さを表すかのようで、もはや洗剤のCMか森高千里かといった様相。
スキニージーンズから覗かせる美しい脚のラインは我々オジサンどもを変態化させるには十分すぎで、目線は釘付け、これがライブ会場でなかったら、「おまわりさん、この人です」と通報されても仕方ありません。それほどまでに魅力的、奥さまコスプレとしてむしろステージ衣装以上といっても過言ではありません。
サウンドチェックに参加できるプレミアチケットは通常価格の倍以上もするものですが、お土産としてストラップ付パス、3800円相当のパンフレット+袋、特典DVDがついたのでファンとしては大満足です。今後も続けてほしいですね。
進化、変化し続ける47歳アイドル
昨今では新しい音源やアーティストとのコラボで、新しい魅力、音楽性にチャレンジしています。まさに人生そのものがロック、ロックの姉ちゃんです。
今回驚いたのは「テクノ森高」と呼ばれるアレンジが新しい森高の側面を引き出している点。
昨年のチケットがとれず参加できなかったライブ、Dance Moritaka あたりからどうもこのテクノ森高が導入されたようなのですが、新しい境地を開拓していると思います。
とくに驚いたのが「のぞかないで」のアレンジ。すんごくカッコイイ、今すぐ買いたい、 iTunesでいいから売ってほしい!
渡良瀬橋
⇒ 被災地・熊本出身「悲痛」の森高千里がおばさんになっても...「九州に届くよう一生懸命歌う」 - 産経ニュース
HPのメッセージ上でもMCでも普段どおりの顔を見せる森高千里。しかし実際には心配で不安で眠れない夜を過ごしたことでしょう。故郷のことを思う代表曲、渡良瀬橋では1コーラス目で突然の沈黙。あれ、また歌詞を忘れたのかな? と思いきや違うことにすぐに気付きました。
そう、気丈に振る舞っていただけなんです。
普段落ち着いて気丈な子がボロッといくところなんて、もうこっちもボロボロっときますよ。しかもファンが暖かい、森高の代わりにみんなで大合唱ですよ、渡良瀬橋。もらい泣きしますって。もう可愛くって今すぐ抱きしめたい! って感じ。
思いつめて泣いたりと表情は硬かった序盤ですが、最後には笑顔笑顔笑顔。もうね、最高ですよ、森高さんの笑顔。いますぐ結婚したい!
雨のち晴れ、ララ・サンシャイン
森高千里のもうひとつの代表曲、それは「雨」。
今は雨でも、上がらない雨はありません。
そして太陽が必ず顔をのぞかせます。
そしたら気分も爽快。
1997年の森高千里、かわいいなあ。
それは当然として、何がいいたいかというと今、熊本地震で故郷が大変ですが、へこたれている暇はないってことです。人生でうまくいかない時期は必ずあります。そんなときでも、止まない雨はありません、そしていつかは青空をのぞかせます。
今回のセットリスト、流れをみると熊本地震の被災者にエールを送るものになっていたのではないかと感じました。
大変だけど、頑張っていきましょう。