回りをキョロキョロみて作る日本車に未来はあるのかな

日本車はたいていの場合、競合車種や同種の車種をもってきて、その比較をしていいだ悪いだのを作りあげていきます。

これはNo.2以下のメーカーや、クルマなら機能する手法で、ずっと日本車が世界標準から遅れていたときには非常に機能します。なぜならライバル車に追いつき追い越せ、ができるから。

しかし成長し、No.1メーカーになるやもしれない、という時にこれをやっていたのではあきません。なぜならもうライバルはいないはずだからです。

ここに日本車のオリジナリティが出せない、世界のNo.1メーカーになれないジレンマがあります。ようはクルマに理念が感じられない、いわゆる「自動車はこうあるべき」というフィロソフィー、軸がないんです。

どのクルマと比べてここがいい、このクルマよりも安い、といったバランスチャート評価しかできないんですね。これは自動車雑誌も同罪で、よく比較チャート載せてますね。

消費者は圧倒的に経験が少ないのでこういった比較チャートを載せる自動車雑誌や評論家のいうことを真に受けて、時には受け売りしてクチコミするわけですが、これでは真の成長はありません。

チャートをみて、ああだ、こうだ、善し悪しを言うことも確かにできます。ただこのチャートはあくまでも作図であって、これだけで意味があるわけではありません。すべては出来上がったクルマの善し悪しを支える一つのファクターです。

日本車はこういうのを使ってよくしてきた、という歴史があるのでその方法論にのっとっているのですけど、例えばポルシェ911はどうやって作っているかと見てみたらこんなチャート、ないんですよ。

というのも、RRスポーツカーはいまや世界でひとつだけ、あのプロポーションは911独自のもの。

ようは比較対象となるものがない、唯一無二の存在なのです。しかしマーケティングの観点でいえばライバル車はたくさんあります。ランボルギーニ、フェラーリ、AMGにBMW M、Audi、GT-Rと上にも横にも、下にもかなりいるわけです。

それでも911が911らしくあるのは、911ファンという熱狂的なユーザーと50年もの歴史に裏打ちされた連続的なマイナーチェンジの末。フルモデルチェンジのたびにマーケットの状況に振りまわされて方向転換、名前かえたり、駆動方式かえたりしなかった結果です。

911は世界の高級スポーツカーですから、比較するのもなんですけど、自動車作りという観点からは多いに参考になります。

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