先日の情熱大陸に出演され、もう多くの人が知っているエンジニア「真鍋大度」さん。
情熱大陸:真鍋大度コンピューターを使って新たな表現に挑み続ける男の、制作の秘密と頭の中とは?
怪しげで無口なこの男に密着すること半年。プログラミング?メディアアート?インタラクティブ?数々の難しい用語の先にある、真鍋の制作の神髄に迫った。
真鍋さんが所属するライゾマティクスでは現在 Perfumeの映像演出を手掛けており、先月ICCで行われた「Perfume inspired by ライゾマティクス展」ではその一部を見ることができました。
Perfumeと真鍋さんとの出会いはこんな感じ。
アーティスト・トーク「Perfume inspired by ライゾマティクス」議事録 - 3000年に会いましょう真:それをPerfumeに付けるのはどうかって提案したくて、無理を言ってMIKIKOさんと話す機会を作ってもらって、OKを貰えたんです。
M:確か関さんに紹介されたんですよね。
関:俺、仲介がんばったもん(笑)。
M:で、真鍋さんってどんな人なんだろうと思って検索したら、顔に電気流してる映像が出てきて、あー、これヤバイ人だ、って(笑)。
▼ これがヤバイ人
これはヤバイ、ヤバイです(笑)
Perfumeの顔面に電流を流すことにはなりませんでしたが、これがキッカケとなってPerfumeに関わることになりました。
その真鍋大度さんと Perfumeの対談は Switchで行われています。
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真鍋大度×Perfumeの対談インタビューを雑誌SWITCH11月号で担当、とにかく読んで!:[mi]みたいもん!記事としては、Perfume×ライゾマのあのICCでの展覧会の振り返りになっているだけではなく、次のドームに向けての真鍋さんの予告ホームランみたいなコメントも入っています。
いしたにさん司会!
いやぁ凄いことになってきましたよ。そんなこんなで、真鍋さんに改めてインタビューしたのがこちら、ギズモードの記事です。
▼ライゾマ真鍋大度さんに聞く、ライゾマ展 inspired by Perfumeの舞台裏 : ギズモード・ジャパン
真鍋さん、物凄く忙しくってその合間を縫ってインタビューさせていただきました。ありがとうございます。
そして分かったこと。
真鍋さん、別に無口なのではなくって集中すると喋らなくなるだけで、普通の理系タイプです。そしてその凄さはハッカソン方式での開発手法。
毎日淡々と9時5時で仕事をするのではなく、昼夜問わず、わーーーーっとやっつけるハッカソンタイプ。徹夜ではないのですが、徹夜に近い、深夜から朝までかけて集中して組み立てます。
情熱大陸の映像を見る限り、Macに向かっている姿が多いのでおそらくすべての作業はMac上で行われ、それも設計図を作ってどうのこうの、というより設計は頭の中で、手を動かすのは実際のプログラミングという形になっているようです。
これが圧倒的なスピード感を実現するのです。
次から次へと繰り出されるPerfumeの映像演出を見ていますが、その一方でホンダのプロジェクトがあったりと、はて、いつどうやってやっているんだろうと疑問に思っていたのですが、氷解しました。
ほとんどのプロジェクトは数日、長いものでも1週間で作りあげてしまうのです。
情熱大陸でもPerfumeヨーロッパツアー開演1分前や、東京現代美術館の展示、プレス披露目10分前になって完成する、ギリギリのスケジュール感が映し出されていてハラハラするわけですが、これが至って普通なのです。
日本企業の体質やSEといった職業では考えられない工程がそこにありますが、ここにヒントが隠されています。
例えば私がいた某メーカー企業では、何かを作る前にそれを「説明する」ことが求められます。もともと理系のエンジニアは口下手、説明は苦手なので、そんなことしている間にプロトタイプを作って見せてしまう方が早いのですが、仕方なく慣れないマイクロソフト・パワーポイントを使って説明資料を作ります。
しかし美麗ではないパワポ資料は幾多の会議でつぶされたり、うやむやになったり、結局作ることができません。そうこうしているうちに時間だけが過ぎ去り、ふと気付くとモノは出来ず、HDDの中には無意味なpptファイルが残るだけです。
ライゾマはその逆です。
常にプロトタイプを作り、説明するのは実際に出来たモノで行っています。例えば顔に電流を流すものも、実際に作り、すぐさまYoutubeにアップして反応、リアクションを確かめています。
その他の画像処理、映像作品もそうです。予めプロトタイプをいくつもつくってストックしてあるから、それを元に Perfumeやホンダの映像演出のプロジェクトでブラッシュアップして完成させてしまうのです。
技術だけではなく、スピードが大事。
いわば火縄銃だけなら当時世の中で普及していましたが、それを3段撃ちの運用をすることでまるでマシンガンのように次から次へと弾を繰り出す織田信長のよう。
ライゾマ真鍋大度さんに聞く、ライゾマ展 inspired by Perfumeの舞台裏 : ギズモード・ジャパンライゾマの凄いところ
元メーカーのエース級エンジニアなど優秀な人材が揃っているところ。例えば世界的に有名な工科大学は優秀な人材がいて技術もあるけど実装速度が遅い、ライゾマのメンバーであれば数日でできるのになあ、と感じたそうです。
その実装速度を実現するのはハッカソン、チームで集まって短期間で集中して作りあげる方式で訓練されているのだとか。真鍋さんは色々考えている暇があれば、ぱぱっとつくって、youtubeにアップしたい派だそう。それを見てくれた人の反応をみて、また新しいものに挑戦していくのです。
おそらく日本には優秀なエンジニアはたくさんいるのですが、その繰り出すスピードが遅いです。9am-5pmで働いて、パワポ作っていたらそりゃ無理です、追いつくはずがありません。24h365dで働きつつ、パワポなど作らず、男は黙ってプログラミングです。
これはエンジニア個々人へというよりも、企業風土そのものを見直す必要があります。
個々人でいえば後ろ向きなツイートをする暇があったら、プログラムをかいてプロトタイプを作れってことですね、自戒。
ライゾマ真鍋さんのトークは11月24日(日)にも行われるので、そちらもぜひどうぞ。
SWITCH presents メディアアートとスタートアップ アカデミーヒルズ2013年11月24日 (日) 14:50~15:50 (開場 14:30予定)
音楽、アート、映像といったエンタテインメントの世界を、さまざまな分野のテクノロジーを導入して変化させるディレクションで注目されるRhizomatiks真鍋大度とメディアアートを軸に米シリコンバレーにあるシードアクセラレーター500 Startupsでアプリの開発を行うなどスタートアップ業界にも進出するQosmo徳井直生。 2人の対話から、近未来へのネクストステップが見えてくるはず。
p.s.
ちなみに Perfumeの動く衣装、白いのとそのデザインからキュベレイかと思って聞いてみたのですが、真鍋さんはガンダムを見たことがない、ということでした。
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【参考リンク】