【流しのミニヨン・レーサー北川について】
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恐怖の殺人ミニ四駆小説『流しのミニヨン・レーサー北川【第一部】』 - つんどく速報(電子書籍の感想・レビュー)
場所は新宿。浜田は北川に呼び出され、スーパーノヴァにやってきた。
浜田「兄貴ぃ、突然呼びだすなんて珍しいじゃないっすか。なんでっしゃろ」
気取って飲んでいる風だが、相変わらずミルクストレートの北川。ミルクを喉に流し込むなり、北川はこう切り出した。
北川「...浜田、上田合戦は知っているか」
浜田「えっ、上田?」
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北川「映画『サマーウォーズ』は見ていないのか? 信州は上田城、名将真田昌幸が1度ならず2度も徳川勢を撃退した合戦だ」
浜田「ほえ~、それってどういう合戦でっか?」
北川「数的に圧倒的に不利な真田勢は籠城、徳川勢は城中に進撃するんだ。防御が甘く、城内に入った勢いでそのまま一気に落城させようと大手門まで進むのだが...」
浜田「だが?」
北川「大手門の守りはかたく、さらに背後に隠れていた兵が包囲しつつ退路を遮断。完全に四方八方塞がれて徳川勢は大混乱、壊滅したんだ。徳川勢の死者は1300名余り、一方の真田勢は40余りというから損耗率を考えるといかに圧倒的だったか分かる話だ。」
▼第一次上田合戦(神川合戦)徳川勢の先手が城の東南の神川(かんがわ)に差し掛かると200の真田前衛部隊はこれを迎え撃ち、槍を数回あわせると後退し始めます。
昌幸自身は城門を閉ざし、櫓の上で甲冑もまとわずに城下の戦況を尻目に家臣と碁を打っていました。真田勢が小勢で抵抗も無いので、徳川勢は一気に城を落とそうと城内になだれ込みます。 城外にいた200の前衛部隊は押し捲られて、横曲輪(よこぐるわ)に後退・集結します。
なおも昌幸は三国志の諸葛亮が街亭の敗戦で司馬仲達を退けた、『空城計』のように碁を打ち、ついには若侍に手鼓で調子を打たせ名高い『高砂の謡』をうたって徳川勢を挑発します。
ここで鳥居元忠が司馬仲達のように退けば戦いは長引いたことでしょうが、あまりに城内に易々と入れたため、勇猛な三河兵は勢いとともに鬨の声を上げて大手門も突破しようとします。 このとき、昌幸は城門上に隠した丸太を落とさせ、徳川勢に弓・鉄砲を撃ち掛けました。さらに城内の500の兵と横曲輪(よこぐるわ)に集結した兵を押し出させ、 上田城の町家には折からの強風に乗せて火を放ちました。
山野に伏兵していた武装農民はこの火を合図にいっせいに陣太鼓を鳴らして徳川勢に打ちかかり、真田信之の指揮する800は戸石城より討って出て徳川勢の退路を遮断します。
徳川勢の先手は状況が急転し四方に敵を受け指揮系統が乱れますが、手柄を目指して猛進する後続の兵士達は急に止まれず籠城方の挟撃を受けました。 しかも設置してあった千鳥掛けの柵に引っかかり、複雑な町家に退路を見失い、徳川勢は大混乱に陥ります。
城壁にたどり着いた徳川兵士達も鉄砲隊に次々と撃ち落とされます。 甚大な被害を受けて北国街道に撤退する徳川勢は、戸石城から討って出ていた真田信之の突撃を腹背に受けて陣は崩され、 四散した兵は神川で溺死するという被害も出しました。
真田信之書状によると、この戦いでのによると徳川方の死者は1300余、大久保忠教によれば300名余とされています。
一方の真田方の死者は40余とされています。
浜田「そりゃあ、凄いことでんな」
北川「そうだろう。恋愛においてもそうだ」
浜田「はぁ?」
北川「カワイイふりしてあの子、わりとやるもんだねと、真田昌幸顔負けの上田城女子がいるんだ」
浜田「え、え、え?」
北川「わかるか、防御が手薄でやすやすと城内に入って、あ、これはイケる! と一気に攻勢をかけるとだな...」
浜田「まさか」
北川「そうだ、最後の防壁が異常に固くて、『そんなつもりじゃなかったの』『いいお友達でいましょう』『他の人には言わないから』包囲網で、ほうほうのていで逃げ出すしかない」
浜田「うっ」
北川「さらにだ、誰にも知られてないはずなのに回りが皆そのことを知っていてだな、そのコミュニティにいられなくなって消えていくことになる」
浜田「怖っ」
北川「それがエスカレートするとコミュニティそのものも崩壊することもある、俗に言う『サークラ』、『サークルクラッシャー』だな」
浜田「クラッシャー!」
北川「その上田城女子はだな、一見すると清楚で地味目な草食系、派手な肉食系女子と違い男の警戒心を抱かせない。しかし...」
浜田「しかし?」
北川「その実態は捕食する肉食系『ウツボカズラ』なのだよ。うかつに近寄ると...パクッ。その魅力にもう逃げられない。
浜田「こ、怖い~」
北川「よく考えてもみろ、理系非モテ系男子に惚れる女子なんているか、それなのに愛想がよくて、可愛いい女の子が近づいてくることなんて...」
浜田「あ、あるわけが...」
北川「そうだ、あるわけがないんだ。にもかかわらず上田城女子はだな、愛想がよくて、可愛くて、気がよく付いて、無防備で、心の隙間に飛び込んでくるんだ。髪は黒くストレート、服は露出が少なくてお嬢様系、言葉づかいもよく上品だ。そうだ、眼鏡をかけていると危険だな、外した瞬間にやられる。」
浜田「うぐっ」
北川「しかしそれは全部真田昌幸の深謀だ。相手には一切そういうつもりはない。男だけがそのつもりになって、燃え上がり、そして自爆するのだ。
さらに危険なのはタイムラインだ。SNSでその無防備さを表現するんだ。何が食べたいとか、どこどこに行きたいとか...なんてことない、独り言のように見えるがこれは全部『釣り針』だ。
この『釣り針』に釣られてつい『いいね』を押してしまうが、その数はまさに大漁の証なのだ」
浜田「...」
北川「だからだな、悪いことはいわん。あの子のことは諦めろ」
浜田「...兄貴、最初っからそれを」
北川「ああ、そうだ。恋愛経験の少ないお前のことだ、本気なのかもしれない。しかし、相手は百戦錬磨の真田昌幸、DQでいえば竜王だ。恋愛レベル0、こんぼうと布の服の非モテ男子では勝ち目がない。つまりレベル差がありすぎる」
浜田「いやしかし、でも、だって」
北川「...まあ飲め、そして忘れろ」
そうして新宿の長い夜が更けていった。
・・・
その後浜田がどうしたかは分からない。しかし一説には告白して自爆、その後酒におぼれてしまったとか、しないとか。
あなたのまわりにも、ウツボカズラがいるかもしれない...気をつけよう!
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