ミニ四駆小説「流しのミニヨン・レーサー北川」:第30話 合法・非合法 #mini4wd

前回までのあらすじ

流しのミニヨン・レーサー北川は厄払いに川崎に立ち寄る。そこで出会った凄腕ホームレスは賭けミニ四駆が違法であることを嘆き、そして発作を起こし倒れた。

新宿のバーにサラと北川はいた。

サラ「なんで賭けミニ四駆が違法かって? そんなの法律だからに決まってんでしょ!」

サラは荒れていた。それもそのはず、横浜での勝負で組織に関わりのある人間を摘発する予定だったのが北川のマシンをもった浜田はユキと共にリタイア、それにより計画が失敗に終わったからだ。さらに悪いことに、このところの失敗続きでサラのリーダーとしての資質を問われ、チームから外されたのだ。

北川「...」

サラ「いいこと、日本は法治国家なの。法律は絶対よ! 法律に違反すること、つまり違法な行為を取り締まるのが警察なの。だから私は賭けミニ四駆を取り締まってるの、そんなこともわからないの!」

北川「ではなぜ競馬は合法なんだ。あれはギャンブルではないのか?」


サラ「あのね、競馬は競馬法というのがあって、中央競馬は国、地方競馬は地方自治体が管理する公営のレースなの。今の法律は昭和23年に制定されているけど、戦前から軍馬を育てるものとしての役割を果たしていたのよ。馬事公苑とかあるでしょ、あれは昔の競馬場よ。」

北川「パチンコはどうなんだ、特殊景品は換金性が高く、明らかにギャンブルだろう」

サラ「まずパチンコは遊戯よ。いわばゲームセンターと同じで、景品に交換する方法をとっているわ。パチンコ店が直接換金するわけではなく、景品の買い取り屋がお金にかえているだけよ。つまりヤフオクと同じってことね、中古品の買い取り。」

北川「特殊景品はまたパチンコ店に卸されているようだが...」

サラ「だからー、特殊景品は中古から新品に装丁をかえてパチンコ店が仕入れるのよ。『写るんです』と同じと考えなさいよ!」

北川「いまどき、レンズ付きフィルムの話をされてもな、デジカメ全盛時代だぜ...」

レンズ付きフィルム - Wikipedia

当時の富士写真フィルムは、回収したケースの再利用を進めた。現在は、他メーカーでもほとんどの商品がリサイクルされている。大半の部品は分解のうえ、点検して再利用、破砕して原料として用いるなどの手法でリサイクルされる。

サラ「そんなことより、なんであのとき負けたのよ! しかもあのユキって女、何者よ」

北川はとっさに携帯電話を見たが、着信は何もなかった。サラが完全に危険領域に入っている。

サラ「私のことを年増女って、ふざけるんじゃないわよ、まだまだ若い子には負けないわ、肌のつやだって、はりだってあるのよ! そうでしょ!」

北川はうつむいて携帯電話を見続けている。

サラ「...ったく! おかわり!」

サラはハイボールをお代わりし、ぐびぐび飲み続けた。

北川はそわそわしはじめ、どうやらまた逃げ出したい様子だ。その様子を察し、サラは北川の携帯をとりあげた。

北川「あっ...」

サラ「私といるのに携帯電話をポチポチしてるなんて、失礼でしょ。こんなものはえいっ!」

携帯電話は北川のミルクストレートの中に沈んでいった。

北川「えっ!」

珍しくうろたえる北川。慌ててミルクから取り出そうとしてミルクをぶちまける北川、それを見てケラケラ笑うサラ。

北川の奮闘むなしく、北川の携帯は完全に沈黙。

サラ「ホホホ、美女をほっておくからそんなことになるのよ! 自業自得ね!」

どうみても自業自得ではなく、サラのせいであるが、酔っぱらって荒れている年増...いやアラサー女にはそんなことは関係ないらしい。

北川は心の中でつぶやいた。

北川「浜田、助けてくれ...」

・・・

そのころ浜田はユキと飲んでいた。

(つづき)

【ミニ四駆小説は平日、12:00更新予定です】

この小説はフィクションで、実在の人物・団体と一切関係ありません。

賭けミニ四駆レースは法律で禁じられています。

ミニ四駆は株式会社タミヤの登録商標です。

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