ネットオークションでチケットを正規価格の約7倍という高額で取引することの是非はいったんおいときます。
（Perfume JPNツアー武道館追加公演）
ヤフオクとパフュームと「ガチャ」 ：日本経済新聞世の中には、なかなか手に入らないレアなモノやサービスがあります。手に入らないから、余計に欲しくなってしまう。そんなとき、重宝するのがヤフーオークション（ヤフオク）です。
といってもそんなに頻繁に利用するわけではありません。今年に入って僕が購入したのは２つ。１つは人気アーティスト「Ｐｅｒｆｕｍｅ（パフューム）」の武道館公演のチケット。１つはＧＲＥＥの人気ソーシャルゲーム「ドラゴンコレクション」のレアカードです。
共通するのは通常の購入方法では絶望的なほどレア度が高いということ。奇しくも同じ落札金額で、どちらも４万円ほどでした。
「分かる～」と共感してくれる人はなかなかいないでしょう。「なぜそんな金額を」というのが正常な反応であることくらい分かっています。でも、僕はどうしても欲しかったのです。人の価値観や趣味というのは、そんなものです。
古参ファンを自称する（理）さんはレアカード、そして Perfume JPNツアー追加公演武道館ライブのチケットをヤフオクで約 4万円で購入しました。その価値について、自らこのように分析しています。
３時間はあっという間に過ぎ、チケットも、その時間も、もう手元にはありません。でも、忘れられない楽しい思い出は今でも心に残っています。同じ４万円。僕はやっぱりこっちの方が安かったなと思うのです。
「ガチャ」のレアカードと Perfumeライブのプラチナチケット、どちらもレアには変わらずその論点から類似しているとして対比させています。レアというのは「入手性が低い」「困難」という意味で、市場経済（マーケット）において需給のバランスが崩れ、需要に対して供給が追いつかなくなった時に価格が高騰します。
そして自らの体験の結果、
Perfumeライブ ＞ ガチャレアカード
という結論に達しています。これは市場経済の価値ではなく、自らの体験に対する価値を対比させています。
自らの体験というものは、実は比較することができません。同じライブであってもそれが人によってどうなのかというのはそれぞれの人の解釈によるもの。
昔、テレホーダイタイムが導入される前のこと。電話回線は従量課金のみでした。
つまり使えば使うほどお金がかかるシステム。そこにネット（パソコン通信）が登場、接続時間を短くして電話料金を低くしようとみんな躍起になりました。インターネットが普及し、23:00以降にテレーホーダイタイム、接続料金が一定料金となってからはその時間だけ「無料」的感覚で皆接続しまくったものです。
ところがその時代になっても、インターネットにPHSで接続しているあるユーザーがいたのです。そのユーザーはチャットにはまり、みんなとチャットがしたいがためにPHSを使い接続。PHSは相変わらず従量課金だったために月の接続料金が10万円以上になってしまいました。
他のユーザーは当然テレホーダイを使っていて、そのユーザーももちろんそうだと思っていたのですが、あるときにPHSであることが判明。他のユーザーは口々に「PHSではなく、固定電話のテレホーダイにした方がいいよ！」とアドバイスしたものの、そのユーザーはそのまま10万円以上の接続料金を払い続けていました。
「はまる」
というのはこういうものなのかと、そのとき驚愕したものです。
価値観というのは人それぞれです。1万円の貨幣価値は日本全国、どこにいっても同じです。しかしその人の年収や社会的立場によって実は異なります。富裕層にとっての1万円はたかがしれてますが、学生にとっての1万円はかけがえのないものです。
そのPHSを使っていたユーザーは富裕層かというとそうではなく、学生でおそらくお小遣いの全部（かそれ以上）がそのチャットにもっていかれてたようです。
この（理）さんにとって、Perfumeライブチケットの4万円はレアカードの4万円より「安い」という判断でした。
でも私が思うにそれは「安い」「高い」という価値観ではないと思うのです。それはそれ、これはこれ。たとえ同じ値段であっても、そこに体験による価値が入ってきた以上、単なる貨幣価値で比べることができなくなってしまうはずです。
そしてもう一つ。
お願いですから、ネットオークションで購入しないで下さい。本当に見たいファン、そしてこれからPerfumeを見る、ファンになろうとする人たちにチケットが届かなくなってしまいます。自ら古参というのですから、そこは分別ある大人として、古参ファンとして見本を見せるべきところだと感じます。
市場経済でいえば需給のバランスにより価値が高騰するのは自然です。日本経済新聞的にはそれでいいのかもしれませんが、ライブチケットは株でもなければ、ましてやガチゃでもありません。
ライブチケットは体験との引換券なのです。
体験はお金では買えません。
だからこそ我々は体験を希求するのです。
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