働き方革命

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明けましておめでとうございます。すっかりブログの更新が途絶えておりますが、Facebookやyoutubeは頻繁に更新しています。

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その結果すっかりテキストを作るのが逆に億劫になり、動画編集ばかりやっています。youtuberか!?

近況報告

そんな中、2018年は世界を飛び回り、地球1.9回転、8ヶ国69都市を訪れた(google調べ)そうなので真面目に仕事もしています。直近でいえば会社を設立し、代表取締役となりました、表記上は。これで2社目ですが、ひとつは自分の一人会社。今回は5人で設立したのできちんとしたスタートアップ(新興企業)です。

ティール組織

「働き方改革」が叫ばれる昨今、話題なのが「ティール組織」です。

ページ数も多く、文字級数も小さく、文字量が凄いのでおおまかな大意をつかむのは大変な、いわゆるバイブルです。

ティールといってもペイパル創業者のピーター・ティールとは関係なく、合鴨のグリーンの色「ティール」から来ています。

組織はいくつかの段階があって、レッドからはじまり、権力者が恐怖をもって市民をコントロールするような恐怖政治的なものから、軍隊や会社といったマネジメント層が従業員を評価して報酬を与えるもの、そしてティールでは自律分散、マネジメント不要、コミュニケーションが密で売り上げ目標もないといった特徴があるそうです。

ティール組織はさまざまな企業や組織を研究し、分類、体系化したものであって、逆にいえばこれができたら「ティール組織」になるといった資格や規格、検定といったものではないので注意が必要です。というかそうなりそうですが。

新しいスタートアップはティール組織的な自律分散を狙っているので、従来のようなリーダーやプレジデントがヒエラルキーを作ってマネジメントするというスタイルはとりません。それがゆえにCEOやCTOといった役職も内的には設けないのです。

とはいえ旧来の社会とのインターフェースを持つために(多少仕方なく)、CEOや代表取締役といった役職名は必要になります。

働き方改革から革命へ

そんなわけでここからは自分の話です。もともと自分の一人会社をやっていたこともあり、その働き方は自由そのもの。自由とはなにか。みずからヨシとすること。つまり誰かにいいよ、といってもらったり認められることではなく、自分のモノサシ、判断基準をもって自分で決めることです。

評価軸を外に求めると失敗する、長続きしないのはブロガーでもyoutuberでも同じで、PVやフォロワー数、ビュー数といった分かりやすい数値を追いかけやすいですが、この数値は実は正しく評価できるものではないことが分かっていますが、世の中は数値で回っているのでまあそれをみんな追いかけます。追いかけるとどうなるかというと、炎上商法になって、安きに流れていくのですね。

そもそも評価というのは、学校のテストのようなもので、多次元あるなかの一次元でしかないので、多面的、多次元的な評価になるわけがないんです。だいたいベクトルじゃないんだからそれを数値化しようというのは無理難題でしょう。

それをやらなきゃいけないのが、実は会社の評価で、目標設定して達成したから評価が高い、達成しなければ努力が足りないから評価も低く。その評価と報酬が連動しているので、みんな評価を気にして報酬を上げるために評価をあげようと必死です。

この評価・報酬連動システムはある面では非常によく機能しており、日本社会の大企業、サラリーマンや公教育の内申書などで多くみられます。

でもね、もうそれだけじゃ機能しないってのも分かってきています。

歴史を振り返ってみる

働くことを仕事っていうけどこの言葉を見ると「仕えること」とかきます。仕えるというのは誰かに仕えるので、これはつまりヒエラルキーを構成します。マネジメントレイヤーがいて、ワーカーがいる形態ですね。だから仕事ってのは自分が主体ではなく、他者が主体なんですね。それが上司だったり、大企業です。で仕事は基本おそばにいて、いつなんどきでも対応できるようにせねばなりません。

こんな大事なときにアイツは一体どこをほっつき歩いているんだ!

とお殿様いわれないようにするためには、常にお傍を離れてはなりません。それがつまり会社に行くことであり、出社なのです。だからみんな満員電車にのって定時に間に合うように無理して出社するんですね。これは仕事である以上、仕方のないことでもあります。

この形態は江戸幕府時代に完成し、このシステムを踏襲してのっとった明治政府が官僚システムを作り上げ、さらに大企業はそれを模しています。だからどれも同じようなヒエラルキー構造になっているんですね。もちろん軍隊は当然です、そもそも幕府は軍事政権で、すべて武士=軍人で構成されているのですから。

ベトナム戦争とソマリア

ヒエラルキー構造での軍隊構成は非常によく機能しましたが、ベトナム戦争でのゲリラ戦、そしてソマリアと組織されていない圧倒的な奇襲攻撃の前に苦戦を強いられます。特にブラックホークダウンでも描かれていますが、ヒエラルキー構造の弱さが露呈します。それは命令指揮系統のライムラグが刻々と変わる戦況に対応できないということです。そしてその縦割り構造の一部が破壊されると、伝達機能も失われ、戦況を把握できない各個は烏合の衆へと変わってしまうのです。

これは戦争だけではなく、インターネットが情報の中心となった21世紀も同じです。事件は現場で起こっているのです。いちいち上に情報あげて、判断を仰いでいるところは、スピードで負けてしまいマンモスや恐竜のように滅ぶだけです。

人の命がかかっている軍隊は実はこの状況にいち早く対応しています。それは従来の縦割り、ヒエラルキー構造を堅持するのではなく、縦横無尽に情報をやりとりし、自律分散で行動できることを導入しはじめています。ティール組織の段階でいえばレッドであった軍隊ですらそのような大きな変化をしているのだから、これから作るスタートアップは当然最初からそうあるべきでしょう。

働き方改革じゃ足りない

明治政府から連綿と、いや江戸幕府から続いている日本政府が主導する「働き方改革」がイマイチなのは、そもそもこの延長上に新しい世界はないからです。人にいうならまず、官公庁からやってくださいといいたい、実際にはまったく変わってないでしょう。だから必要なのはもう革命なのです。

で、働き方革命をするとどうなるか。まあそれは人それぞれです。なぜなら自律分散だから、自分にあったやり方がそれぞれあるはず。今回は新年なのとスタートアップを立ち上げたので私の考える働き方革命を多少ここに残してみたいと思います。

・24時間365日動く

これだけきくとブラック企業かと思いますが、まあそうかもしれません。そもそもホワイトとかブラックとか、そういうことじゃないんですよ、働くって。寝食忘れて没頭する、熱中するとき、それを「ブラック」とか言わないでしょう?
いわゆる「ゾーンに入る」状態で、「フロー状態」ともいいますが、その時が一番人はパフォーマンスを発揮するんですね。だからその状態にあるときは邪魔しちゃいけない。定時とか、食事とか、風呂とか、睡眠とか。全部邪魔です。「うるさい、今いいところなんだから」です。

・疲れたら休む、腹が減ったら食う

当たり前ですが、疲れたら休まないと不健康です。逆に疲れてないときは休む必要などないのです。同じように食事もそうですね、エネルギー補給なので使ってなかったら補給する必要はありません。一日3食、8時間睡眠とか、どうでもいい近代の悪しき慣習です。眠くなったら寝ればいい話です。

・曜日関係なく、休む、動く

同じように土日に一斉に休むのもおかしな話です。これは日曜日が安息日でみんなで教会に行くから、会社を休むだけの話で、それだけだと家事ができないので土曜日も休みにしただけのこと。ようは会社、家、教会の3点セットです。日本の場合は教会にいかないので別に2日も休む必要ないし、というかそもそも会社にいくとかいかないとかも関係ないので、何かするのに曜日は関係ないのです。

むしろ気にしたいのは天気。

天気がいいから外にいく、悪いから家で業務をする、というやりかたでもいいわけです。むしろ漁業や農業に近い。

・ながら業務。オンとオフを切り替えしない

いまや業務にスマホは必須です。そこで入っているメールにメッセンジャー、LINEにSNS、どれが遊びでどれが業務でって、ゴチャゴチャですよね。

数年前高校生にアンケートをとったとき、電話、メール、LINE、時間外にきたらどれが残業か聞いたら、電話メールは残業でLINEは残業ではないといってました。手段の話であって、内容同じだったらどれも業務だし、どれも遊びのはずですよね。これが既成概念です。いまやLINEグループだって立派な業務インフラです。別にslackだから業務になるわけでもないでしょう。

電話と違ってメッセやLINE、slackではチャンネルやグループが乱立してパラレルに進行することが多々あります。趣味の話をしながら業務の話が並行していくこともあるわけで、じゃあこの時間をどう位置付けるか。オンかオフか? だからもうそういう切り分けがナンセンスなんですね。だから24時間365日、寝ている時間以外は業務時間といった方がいいでしょう。もちろん100%ではないのですが。

・時間とお金を取引しない

我々は機械ではない。

そんな当たり前なことを、まだ我々は気づいてないんですよ。つまり大企業の従業員は工場でいえば組立機械と同じ扱い。だから出力だけで評価されて、遊休機材は無駄、いわゆるタダメシぐらいとして蔑まれてしまいますが、もうこれはほんと、家畜以下の扱いです。

組立機械扱いだから工場と同じで8時間稼働で、その間常にアウトプットが求められるのです。

確かに産業革命以降、人間の労働力は組立機械と同じだったわけで、そうなると時間をお金に換算する時給という概念ができました。

しかしこれを農業や漁業で考えると不思議な概念ですよね。だって、農業も漁業も働いた時間や収穫高で売り上げは決まらないのですから。不作、不漁。豊漁、豊作でも市場価値が暴落すれば売り上げは低く、そこにどれだけ努力したか、時間がかかったかは評価されません。

今後AIやロボットが普及していく中で減る単純作業とは、この組立機械みたいなもので、逆に増えてくるのはクリエイティブワーク、むしろ農業や漁業といった職種に近いものです。例えばアート。絵の価値なんて書いた時点では決まらないし、原価は昔はキャンバスと油絵具ですが、今のデジタルスケッチであれば原価ゼロ。じゃあ価値はゼロかというと、そうではないし。

残念ながら今の社会は時給中心で、最低賃金も時給で決まっています。もうこれが絶望的に将来性がない。だから働き方改革は成功しないと思うゆえんでもあります。

・評価しない、報酬と連動させない

大企業がこれまで色々な評価システムを導入しましたが、結論をいいましょう。人が人を評価できるはずがない。神じゃないんだから。

猫に小判、豚に真珠と同じで、分からない人に分からないものなんて評価しようがないんです。

じゃあどうするか。評価しない。そう、評価なんていらんのですよ。前述したように評価するのは自分、自分が自分を評価するだけ。スケール(ものさし)は自分の中にもち、外に求めない。どれくらいやれたか、それが大事。

評価を報酬に連動させたのは、いわゆるニンジンぶらさげた競走馬みたいなもんで、やっぱり家畜扱いですよ。これが機能するのは動物とチンピラの世界だけ。全部が全部お金とかでやりとりしちゃだめなんですよ。資本主義で一番面倒なのはお金で買えないもの、それはなにか。信義、忠義、仁義、礼儀など。

難しいのはこの世の中が余りにもお金で動きすぎて、生活するにはお金が必要だってこと。つまり衣食住にお金がかかる。

じゃあ逆に衣食住にお金が不要だったら? あとは医療費、教育費くらい。じゃあこれもなくなったら?

お金いるの?

ってことになりませんかね。

そもそもお金、貨幣は国が発行しているもので、お札なわけですよね。つまり紙切れ。これが価値をもつということ自体が実はおかしな話なんですよ。もともとは物々交換、なんて話をしたいわけではなく、人は衣食住が保証されたらなにをして生きるかという話です。そう哲学。

豊かな生活、Quaility of Lifeに貨幣は決して必須ではなく、むしろ税金を取るシステムとして貨幣は生きているといっていいでしょう。税金はすなわち権力であり、中央集権制度そのものです。

話を報酬に戻すと、じゃあこの衣食住、教育、医療が保証されてしまったら、報酬としての貨幣の割合は非常に少ないものになるはずです。むしろ要らない。

北欧など社会保障がしっかりしている国はたいがい高い税金と高い収入がセットになります。低い収入でもQoLを高めよう、これを実験的に行ったのが社会主義国ですがこれはうまくワークしませんでした。

それは「人よりもいい生活がしたい」という欲望と報酬がマッチしなかったからですね。同じ給与なら努力しない、手を抜いた方がいいとなり生産性が落ちていきました。その結果競争力をうしない崩壊という流れです。とはいえ科学技術やアート、スポーツの世界では成功し、今も東欧諸国は高い技術力と安い物価が国際的競争力をもっているところも多いです。

いい生活、QoLを高めるために貨幣は必須なのでしょうか?

例えば私はクルマが好きで、スーパーカー欲しいと思うとそりゃ貨幣が要ります。しかし乗るだけなら、別に色々他の手段もありますし、むしろ所有よりも乗る権利の方が気楽だったりします。

住居も、景色のいい場所に住みたいと思いつつも、じゃあそこが1億、2億しますという話になりますが、じゃあそこで365日住むかというとそうでもないし。そういうのもあり家もマンションも持たない借家住まいです。

むしろいい季節にいい場所に好きな時にいきたい、という自由の方が大切です。これを貨幣で解決しようとすると、別荘をたくさん買わなきゃいけないので、富豪じゃないと無理です。逆にAirBnBの出現により億は不要で、リーズナブルな価格でこれができるようになったのは大きいですね。

そうなると残りは将来への備え、貯金という話だと思いますが、貨幣って一番未来に対して無保証ですよね。だから不動産や株に分けていくわけですが、それならストックオプションもそのうちの一つなわけで、つまりスタートアップを起こす、チャレンジすることがすなわち将来への備えといっても過言ではありません。

やっぱり貨幣はそんなに要らないんですよね。

だから最小限の可処分所得を保証したうえで、衣食住などの固定費を報酬とするんでいいんじゃないですかね?

正答はない問題なので、何が正解なのか分かりませんが。とりあえずやってみる、やってみて考えるのがよいかと。

・outputしながらinputを欠かさない

人間は組立機械じゃないので、ずっとoutputし続けるのはムリです。その前提の場合、inputは食事であり休憩・睡眠であって、報酬でした。

これからは知的活動が人間の本分になるので、それもまたoutputし続けるのはムリです。なぜなら知的活動には知識、教養、経験が必要だからです。

これまではそういった知識、教養は学校で習うものでした。つまり学生のときはinput、社会人はoutputと明確な線引きですね。そして学生時代の勉強と、社会人での経験が定年まで通用する、そんな時代もありました。

いまはそんな時代じゃもうありません。学生時代に習った「答えのある問題」はもう誰でもわかるし、わからなければ検索してでてきます。必要なのは「答えのない問題」を解く力。それはもう学生とか社会人とか線引きしている場合じゃないことを意味します。社会人であっても学生同様勉強、知識教養を身につけなければならないです。つまりinputを充実させなければなりません。

なぜ学生が学生でいられるかというと、学生は100%勉学に集中していい、という「学生の本分」の特権があるからです。

ところが社会人もinputが必要な時代です。すると社会人であっても勉学することが本分になるし、そうあるべきでしょう。inputしている間はoutputがないから、ややもすると遊んでいる、アイドリングしているようですが、これは養分なので絶対に必要なんです。

そしてinputしたことを直接outputしないこと。

途中digest(消化)しなければなりません。それには食事同様、バランスよく色々な情報をinputしないといけないんです。

一見直接関係ないことも、料理と一緒で、調理することで別のものに化学変化します。

人は人を評価できない、と前述しましたが、それがこのポイントです。inputもdigestも見えないのにoutputだけしか見えない他人にトータルの評価はムリでしょう。

・何をするのか? 何をしたいのか?

じゃあ何をinputするのか。これはゾーンに入る、フロー状態を作るためには「好きなこと」「興味あること」「得意なこと」が一番手っ取り早いです。そうするとむさぼるように入ってくる。

逆に嫌いなこと、苦手なことは効率悪いです。むしろやっているうちにより嫌いになり、outputをそがれます。というかoutputなんかできるわけがない。

だから一見「それ趣味でしょ」ということや関係なさそうなことでも、少しでも関係性があればそれは「芸の肥やし」になるはずです。問題はいつなるかは分からないことでしょうか。そんな直腸動物じゃないんだから、inputしてすぐoutputは出来ません。知は熟成時間がいるんです、ワインやウイスキーのように。

・結局好きが一番

なんでそうするの、と問われたときにロジカルに答えがあるよりも、楽しい、面白い、好きだからといった方がポジティブでQoLが高まりそうじゃないですか。あと不確実な将来、未来には正解がありません。ないんだからやりながら考える、未来への扉をあけるのがなんだかワクワクしませんか。私はするので、

できんのかなー、わかんないなー、わかんないからやってみよう

という方が清々しいし、前を向いて歩けると思うのです。

以上をもって、年始のご挨拶ならびに抱負とさせていただきます。ご高覧、ありがとうございました。