予想はされていましたが、親会社トヨタが富士スピードウェイでのF1開催を撤退することを検討しているというニュースです。
asahi.com(朝日新聞社):富士スピードウェイF1開催、トヨタが撤退検討 - ビジネス・経済トヨタ自動車は28日、子会社が運営する「富士スピードウェイ」(静岡県小山町)でのF1日本グランプリ(GP)開催からの撤退を検討していることを明らかにした。世界同時不況で経営が急速に悪化し、巨額の運営費用が負担になっているためだ。交通アクセスが悪く、観客の大量輸送に無理が生じていることも理由にある。
交通アクセスが悪いことは周知の事実で、F1開催のために買収して改修したはずなんですけど。
富士は、66年に開業し、76年に日本初のF1を開催した伝統あるコース。しかし、交通アクセスが悪く、07年は道路の陥没でバスが立ち往生し、観客が雨の中を長時間にわたってバスを待たされるなどのトラブルが発生した。
「雨の中を長時間にわたってバスを待たされる」なんて1行でまとめられるような事態ではないです。改めてここで2007年F1富士の地獄絵図を動画で。
F1 日本グランプリ in 富士スピードウェイ 2日目:地獄絵図 ([の] のまのしわざ)総括すると、以下の問題点があります。
・雨露をさける場所がなかった
・救護体制に不備があった
・シャトルバスの運行状態を観客に正確に伝えられなかった
・代替交通手段がない。徒歩で脱出することもできなかった一日中雨のなか、冷え切った体で3時間も4時間も立って待つしかない。しかもその間バスが動かない状況がよもや道路が陥没して、補修していたなんてことを知っている人はそこには一人もいませんでした。
列を離れて歩こうかとも考えましたが、疲れきった妻と4歳の子供を連れて一体どこに歩けるというのでしょうか。うちはまだしも乳飲み子を連れてきている家族なども目立ち、泣いている子供に
「これからが地獄だからね」
と落ち着いた口調でなだめている親がいたりして、やるせない気持ちになりました。スタッフに詰め寄る客も多数目撃しましたが、スタッフも何も知らされず、何もできず、ただ謝るだけ。かわいそうなだけで、まさに地獄絵図と化してました。
状況の詳細レポートはこちらを是非どうぞ⇒F1 日本グランプリ in 富士スピードウェイ 2日目:地獄絵図 ([の] のまのしわざ)
そしてその結果、民事訴訟まで発展して係争中です。
●サイゾーによる傍聴記レポート
【第1回】"ずさんなF1"訴訟──富士スピードウェイに反省の色なし
【第2回】「どなたが失禁を?」F1日本GP訴訟 第二回口頭弁論傍聴記
【第3回】「今年は天国、ただしガラガラ」2007F1日本GP訴訟第三回傍聴記
【第4回】再び「どなたが失禁?」F1日本GP訴訟第四回傍聴記
【第5回】「トヨタやる気なし!?」2007F1日本GP訴訟第五回口頭弁論傍聴記
【第6回】「進まぬトヨタの具体的認否」2007F1日本GP訴訟第六回口頭弁論傍聴記
08年は大きなトラブルはなかったが、輸送の円滑化のために観客数を制限。バス輸送にも膨大な費用がかかって運営が赤字になり、撤退に向けた動きを加速させている。
うってかわって2008年のF1開催は大変スムースでした。これなら2010年の開催も安心と思っていたのですが、所詮はその程度だったということでしょう。ホンダがF1参戦せずとも、鈴鹿サーキット(ホンダの子会社モビリティランド運営)でのF1開催は連綿と続けていたのと対照的です。
地獄のF1富士関連のアーカイブはこちらからどうぞ。