あなたはまだ本当の自由な移動を知らない(都心編)


時代は移り変わる。自動運転技術はもはや完成の域に達し、いかに新しいモビリティサービスを提供するか、MaaS(Mobility as a Service)にシフトしている。普段使わないからという理由でマイカーを手放し、カーシェアにしたという子育てが終わった世代も多い。

しかしだ、ちょっと待ってほしい。時代が移り変わって実はマイカー・マイバイクが昔に比べてありとあらゆる面で便利になっていることを忘れていないだろうか?

整備が進んだ都心環状線

バブル時代。まだまだ都心高速道路網は放射状にしか整備されていなかった。そこから幾星霜、具体的には約30年。大深度地下トンネルを整備するための技術、土地収用法など法整備を経てお金はかかるものの、着実に工事は進んだ。

その結果完成したのがC2、首都高環状2号線である。

このC2だけではなく、圏央道が開通したことで都心の移動は劇的に変化した。例えば八王子から湘南へいくのには下道をつかって2時間かかっていたところが、もはや1時間弱で到着するといった具合だ。

C2とアクアラインを使えば調布から木更津へも1時間もかからない。

現在外環が工事中で2020年度はムリでも遠くない未来に完成、そうすると大泉から中央道経由、東名高速まで結ばれ劇的に変化することは間違いない。C2の渋滞も緩和するし、そもそも選択肢が増えるのは後述するようによいことだ。

スマホでカーナビ

カーナビが渋滞情報を得るのは当然、いまや通信機能で渋滞情報をセンターに送る。プローブカー情報というものだ。

高価な専用カーナビだけではない、スマホのカーナビソフトも同様にプローブカーとして機能する。そのため渋滞情報はリアルタイム化し、その情報をもとに最適なルート案内をするように進化した。

すると渋滞回避が可能、上記都心環状線の新設により、高速上でも少ない渋滞で目的地に到達することが可能となった。

ETCの普及

日本の高速道路はアウトバーンでもフリーウェイでもない、単なる有料道路である。色々な路線で、様々な料金体系であった。ながらく首都高速は固定金額制だったが、ETCの普及により距離制となった(現金は固定金額制のまま)。

ETCの普及により料金所渋滞、これがほぼ皆無となった。特にオートバイは渋滞がないだけではなく、いちいちグローブを外して小銭、つり銭のやり取りをしなくて済むのでこの変化は劇的である。

また首都高速が距離制となることで、短い期間が安い金額で乗れる、渋滞してもせっかく払ったから乗り続けようという気持ちから、手前で降りてしまおうという気持ちに変化した。

これは渋滞回避ナビゲーションとあいまり、ルート選択の自由度が上がる。

予約不要

カーシェアやレンタカーの嫌いなところは、その手順である。

どんなにスマホで便利だといっても、事前に計画し、予約をしなければならない。そして当日はその場所まで取りに行く必要がある。これを面倒だと思わずしてなんと思うのか。

荷物があった場合にはクルマを取りにいき、いったん自宅に戻り荷物を積み込んで出発することとなる。つまり出発するまでに時間が余計にかかるのだ。もちろん逆に荷物を下ろすときも同様だ。そしてこの無駄な時間にまで、課金される。

朝起きて、天気がいいからでかけよう。

と思った時に予約しようとしてももうクルマはない、ということにもなりかねない。

結局面倒になって移動しなくなる。そう知らず知らずのうちに自由な移動を奪われている。

これをお金使わなかったからラッキー、と思うのもまあいいが、生きるというのはそういうことだろうか?

人生とは筋書のないドラマである

我々の世代はある程度勝ちパターンができた時代を生きてきた。いい学校に入り、いい大学にはいり、大企業に就職して定年まで勤めあげ、年金で余生を送るというものである。そのためにレースの敷かれた人生をドロップアウトすることなくいい子ちゃんでいるのが、エリートとされた。

これに「レールの敷かれた人生なんて嫌だ!」と反発したのも我々である。

そのレールから外れるための道具、それがオートバイであり、クルマであった。

一度ハンドルを握ればどこにいくのも自由。自分で責任をもつ、もたなければならない、その重圧におののいたものだ。

しかしひとたびその重圧を受け入れ、責任をもてばこれほど自由を謳歌できるものもない。クルマでしかいけない場所、見れない光景、それが広がった。

この自由を阻んだ渋滞も環状線の整備、ナビゲーション・渋滞回避の進化、ETCの普及で緩和された。はっきりいって、今が一番、自由なのだ。

2輪と4輪の使い分け

調布を出て横浜で取材をし、柏の葉で仕事をして帰ってくる。

そんな行程でもクルマならいとも簡単だ。電車を使おうものなら各2時間、合計6時間は移動にかかるところが半分、3時間で済む。1日の、業務時間の中の3時間だ。これは大きい。しかも重い機材を持ち運ばなくて済む。

確かに高速道路代も駐車場代もかかる。それならば、自動車ではなくオートバイはどうだ。

オートバイはさらに渋滞に対しての耐性が上がる。多少の渋滞でも機動力をいかして、時間短縮が可能だ。一人の移動で、荷物が少なければオートバイが最強である。駐車場代は安い、または無料が多い。

雨、荷物が多い、さらには多人数という場合にはクルマを選択すればよい。コストはオートバイよりかかるがそれに見合ったリターンがえられる。

オートバイはさらにツーリングという楽しみがある。目的地へ行くことが目的ではなく、よい景色をみる、風を感じる、美味しいご飯を食べる、というのが目的なのだ。

クルマもドライブで楽しめるが、オートバイの爽快感、軽快感とはまた違う。むしろオープンカーがオートバイに近い感覚だ。

自由な移動こそが自由な人生である

根本的にマイカーとカーシェアは違う。それは目的が移動そのものなのか、目的地に到達することなのか。カーシェアの考え方は電車にちかい。電車にマイトレインが存在しないように、電車は生まれながらにしてシェアだからで、レールの敷かれた人生そのものだ。

唯一マイカー、マイバイクだけが自由である。自由には代償がつきものだが、それがコストに跳ねかえっている。

コストをどこに費やすかは人それぞれである。しかし、これほどの光景を見られるのはやはりマイカー、マイバイクでしかありえない。そしてこの国は世界になだたるカーメーカー、オートバイメーカーが軒を並べており、入手も容易、選び放題で世界的にみれば恵まれている。

山もあり、海もある。素晴らしい自然がある。

この恵まれた環境を楽しんでいきたい。それが楽しい人生につながる。

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