母子の物語。スターウォーズ ep1~3を久々に一気見した感想

ep4~6を一気見したので、お次は当然ep1~3です。

⇒ 親子の物語。スターウォーズ ep4~6を久々に一気見した感想 - のまのしわざ

ep1~3の粗筋は簡単にいうと、ルークのパパであるアナキンがいかにしてダース・ベイダーになるか、というお話。

パパになるためにはママが必要なので、それがパドメというわけです。

この3部作、ep1, 2, 3でそれぞれ時代が異なり ep1はアナキンは子供、ep2は少年、 ep3では青年となり、俳優はep1とep2-3で異なります。

一方奥さん、というか内縁の妻であるパドメ役はep1-3まで一緒。それがちょっと混乱のもとではありますが。で、よく考えると結構年が離れた年上妻だということです。

パドメの物語である

本筋は how to be a Darth Vaderであるのですが、パドメが強いキャリアウーマンから、いかにして弱い、不安を抱える妊婦になるかという話でもあります。

パドメの設定がかなり無茶苦茶で、なにせまず王女。しかしこの王女は常に命の危険にさらされ、実際に暗殺されるのですが、実際の王女パドメは健在、なぜならば王女は身代わりの影武者で本物のパドメは逆に王女を守るSPだというのですから驚き。

そのSPの能力を活かして、なにかもめごとがあれば率先して銃を持ち、先頭にたって撃ち合うという度胸と行動力があります。なにその無敵っぷり。

ep2では王女を引退、乞われて今度は議員になるという話し。え、王女って世襲制じゃないの?

このへんの感覚が良く分からないのですけど、王女は国(星)を統治する責任者で、任期があると・・・お役御免となったけど、今度は外交を司る議員になったということです。

少年となったアナキンと再会、ボディガードとしてついたことがキッカケとなり許されない恋へ。

ここまではパドメ、かなりアクティブ、かつ美しい存在です。

ところが ep3では一転、とにかく暗い影がつきまといます。服も化粧も髪型も地味。女王、議員時代は毎回ファッションが異なり、旅行といえばどんだけ服もっていくんだ、と心配になるくらいだった彼女はシンプルな服装に身を包み、常に不安と闘っています。

これは妊娠による女性の変化を象徴しているわけです。

ep4~6は親子の話し、特に父子の関係性で統一されているのに対して、ep1~3は母の話なんですね。

アナキンの母が奴隷のままタトウィーンに残され、その後殺されるに至るのも、やはり母の話。母がいかに子供にとって大切か、そしてその殺された怒りはやり場のないものか、ということが象徴的。

もちろん復讐に正義はないわけで、それが結果的にダークサイドに陥らせる遠因となってます。それがなければ、母になろうとするパドメに死の影を重ねなかったのかもしれませんから。

この「死の影」がフォースの力による「予知夢」と捉えることで正気を失い、死者をよみがえらせる能力を得たい、という欲に陥ることですべてを失うことになるわけです。

結果的にこの「予知夢」はあたるわけですが、それは自分自身でほぼ殺していることから、予知でもなんでもないです。これが本当にジェダイ最高の能力なのかと、そしてそう思ったヨーダを含むジェダイ・マスターたちはどうなっているんだ、とまったくもってフォースの能力を疑われても仕方ありません。

つじつま合わせのストーリー

ep4~6が先に公開されての、ep1~3の製作で仕方ないのですけど、どうやっても結果はひとつというか、つじつまを合わせるために、伏線を回収というか、伏線を作らなきゃいけないという束縛を感じます。だから唐突に出てくる、

「いや、ちょうど子供が欲しかったんだよね」

という子供のいない夫婦。えええー、誰、あなた、っていう。まあそれがレイアの育ての親になるわけですけど、まあそういうつじつま合わせしないとやっぱり合わないのかと。それでいいのかと。

クライマックスは素晴らしいのですが、全編でダークサイドに陥っていくだけ、パドメは美しさを失い、不安と絶望に陥っていくだけのep3は見てて重いですね。

ワイプは健在

スターウォーズといえばワイプ、ワイプといえばスターウォーズ。

ワイプの濫用っぷりも健在で、もはやワイプを楽しみにしているといっても過言ではありません。お約束事、予定調和というか、フォーマットが一度決まると何度でも使えるし、逆に使わないといけない伝統芸の伝承っぽくもあります。

こんなまとめまであったり。

そしてep7へ

一気見すると意外にもカタルシスがなく、特にep3は気まずい雰囲気で終わってep4-6にある爽快さがありません。そりゃ仕方ないんですけど、これでオシマイね、と言われても確かにもう一発、なんかやってほしい。そんな気持ちにもなります。だからもう作らない! といったのにもかかわらず、 ep7が作られることになったのでしょう。

しかも大人の事情バリバリで、版権の絡みもあり、まあ仕方ないんですけど、それが物語に影響しなければなんの問題もありません。

ガンダムだって最初(ファースト)で終われば「物語」としては名作。しかしその後いくつも出ることで、作品性を損ねていったのですが、さらにそれを乗り越え、SFのひとつのジャンルとしての「ガンダム世界観」を構築し、現代も連綿と作り続けられマーケットを切り拓いていることは称賛に値します。

そうなんです、物語は常に新しいものが欲しいんです。そうでなければ古いものが名作として際立ちませんし。

ep7は昔ながらの手法で作っているということで、物語性だけではなく、きっとオールドファンを歓喜させる映像に仕上がっていることでしょう。ええ、楽しみです。特にワイプ。