もういうまでもなく世界で大成功を収めたGoProですが、そのデザインについて振り返ってみます。
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ウェアラブルカメラとして出た、小さなカメラ。それがGoProです。サーフィンやバイクなどアウトドア、エクストリーム系競技、車載撮影をする目的で、ヘルメットマウントやカーマウント、はじめから防塵・防水ケース(ハウジング)がつける一方液晶モニタを搭載しないなど通常のビデオ撮影用途を無視しました。
その結果どうなったかというと、まさにless is moreの美学。
液晶がない
ビデオカメラに必須となった液晶モニター。当然画角の調整などで確認したいです。ところがそれをすっぱりカット。撮影時、どんな画角になっているか、当然まったく分かりません。でもいいのです、四角なボディと広角レンズでだいたいの感覚であわせてだいたい合ってます。
ボタンが少ない
撮影のスタートストップボタン、電源ON/OFFとモード切り替えボタンの2つだけ。たった2つですべてできるのです。これほどシンプルなインターフェースもないことでしょう。ボタンが少ないので、防水ハウジングも造りやすいです。なおWiFiモデルはWiFi ON/OFFボタンがついているので合計3つとなりますが、それでもたった3つです。
ACアダプタがない
これまで専用バッテリー、専用充電器がそなわっていたビデオカメラ。おおきく、かさばり、旅行先に持っていくときに億劫。ところがUSB充電としたことでACアダプタは不要、汎用USBケーブルさえあれば充電可能で旅行にもっていくときの荷物にならないし、PCを持っていけばUSBケーブルでバックアップも可能。
ズームがない
ビデオカメラではもはや何倍ズームできるかを競っていた時代がありました。ところがGoProは広角撮影がデフォルトでズームなし。そもそもウェアラブル装着の場合、手で操作できませんからね。広角レンズで周囲全部とれればいいじゃない、というアバウトな感覚です。
手ぶれ補正がない
これはGoProを追従したメーカーがおちいった罠。確かにGoProは手ぶれ補正機能がなく、状況によってはブレブレの映像となります。
しかし今ではソフトであとからスタビライズ(手ぶれ補正)することが可能ですし、そもそもyoutubeでもできるのです。youtubeでの公開前提であればわざわざ本体に手ぶれ補正を入れることもないです。
三脚穴がない
当然のことながら三脚穴がないとその分スペースがかせげて小さくできます。基本はハウジング、またはオプションのネイキッドフレームを介し、マウントアダプタでマウントします。
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いかがでしょう、ないないづくしです。GoProが普通のビデオカムメーカー、デジカメメーカーからして「ありえない」選択をやすやすとやってきたのです。一方でGoProならではのこだわり、長所は上記短所を上回って有り余るものです。
高画質
意外にもこだわっているのが画質。とれればいいや、ではなく、綺麗にとりたいという意思がみてとれます。最初はSD画質でしたがHD画質、そして今では4K画質まで対応。しかもシャッタースピードが早く、動画が1枚1枚静止画で構成されているので止めてもブレが少なく静止画としても使えそうなほど。
長時間撮影
これだけ小さく電池も小さいのですが、ズームがない固定焦点、液晶モニターがないといったことから予想外に電池は持ちます。HERO3 Black は4K画質が仇となって多少短いですが、HERO3+となって電池のもちは改善されてます。
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2時間もとると、今度はメモリーが一杯になるほどです。
軽量コンパクト
小さいことはいいことで、どこに取り付けるのも気楽です。あと大事なのは箱型ということ。箱型だから置くのも、撮影の画角をみるのも分かりやすいです。
三脚穴がないので三脚への固定はマウントアダプタで代用、他にも豊富なマウントで取り付ける場所を選びません。さらにいえばここで「アクセサリビジネス」を展開でき、本体は安いのにも関わらず粗利率の高いアクセサリで稼げます。さらにサードパーティが続々と参入し、マーケットはGoPro一択の様相、デファクトスタンダード化するひとつの要素となっています。
頑丈・安い
ハウジングに入っていることで、多少のショックや手荒な扱いでもカメラは壊れにくいです。ハウジングが傷ついたり壊れたりしても本体は無事、ハウジングを交換すればいいだけ。その上に値段が安いものは2万円くらいからあり、1台ではなく複数台かって使おうというときもお手頃。
WiFi対応
これが最大のキラーチューン。USBもそうですが、現在のスマホトレンドに乗っかりスマホアプリで連携することでリモコン代わり、液晶モニタ代わりに使うことができるんです。高級グレードには専用のWiFiリモコンがついているのですが、これ、使ったこと一度もありません。だってわざわざ持っていくの面倒だし、いつも iPhone持ちあるているし。それほどこのWiFi対応が素晴らしいのです。
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実はGoPro、ウェアラブルカメラというジャンルで語られますがもはやその域を超えています。小さい、安い、頑丈ということでこれまでカメラは1台という常識を打ち破り、複数台同時撮影することをアマチュアでもできるようになったのが実は大きな変革なのです。
車載カメラでいえば、インカーカメラに外カメラ、追っかけカメラなど、もはやプロと同じことがアマチュアで手軽にできるようになりました。
一方プロも高画質ということで放送用途やライブ撮影など、これまでの大きなカメラが入れなかったところに入りこんでいます。そのもっとも最たる例はこちら、成層圏からのフリーフォール。
これはすべてGoPro HERO2で撮影されたもの。いかに高画質で耐久性、信頼性が高いかということをこの1本の動画で証明しました。地球上でこれほど過酷な環境は他にありません。
ところでウェアラブルカメラというのは GoProが最初の成功事例だったのでしょうか。
いいえ、違います。ソニーからマメカムというウェアラブルカメラの先駆けがもう20年前に出ていたのです。しかしどうして GoProになってしまったのでしょう。
次回どうしてソニーがGoProを作れなかったか、に迫ってみたいと思います。
(つづく)
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