映画 MATRIX がどういう設定だったかを思い出せば、この腕時計がどういう原理で動くかはすぐに分かるでしょう。
これは体温を電気に変換する「熱電素子」を使って駆動するスマートウォッチ。
体温と本体ケース温度との温度差が大きくなればなるほど発電する仕組み。運動すればするほど体熱があがり、発電量も多くなります。
コア技術
彼らはもともと腕時計を作ろうとしてこの熱電素子を使ったわけではなく、カルフォルニア工科大学で熱電素子を研究していた研究者仲間、PhDです。その応用を模索していたところ、スマートウォッチが毎日充電しなければならず煩わしいこと、またスマートウォッチにかかわる電子デバイスの消費電力が劇的に下がったことから今回商品を実装した経緯です。
世の中熱電効果を使ったものはありますが、彼らのコアテクノロジーはナノテクで熱電チップに細工をし、温度伝達を遅くすることで温度差をキープし続けるもの。温度が平衡してしまうと電子がでなくなってしまうからです。これにより少ない温度差でも継続的に発電しつづけることができます。
このスマートウォッチは完全に独立して駆動できるため、充電端子がありません。腕から外して充電したいなと思ったら、あったかいところに置くだけでいいんです、例えばコーヒーの蓋の上とか。
応用範囲は広い
注目されているのはIoT分野での電源。BTタグとよばれるもの、センサーをあちこちに置いてモニタリングしようというデバイスは多いですが、通信量が多くなると電池消費してしまい定期的に交換が必要です。数カ月に一度、といってもあちこちにおいて数百、数千となってくるともはや無理だし、コストもかかってしまいます。
WiFiの電波から電源をとるスタートアップもありますが、この matrix powerであれば熱源、例えば電源トランスや、LED球の側で十分発電可能。まあそこなら電源はとれるんですけど、太陽発電ならぬ、太陽で温められた壁面でも発電可能となります。
発電量は小さくとも、これまで発電や充電ができなかった場所、状況を使えるようになることで可能性は広がります。ということで、商品もそうですけれども、スタートアップ業界でも注目されて投資も十分とのこと。
今後の可能性に期待ですね。
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