全部サムソンがいけないそうです。
デザインの割りを食ったスピーカー
今や世界で売れている薄型TVの雄はサムソン。そのサムソンの売れ筋はベゼル、いわゆる表示画面の周りの枠を薄くしたもので、これがデザイン的にスタイリッシュに見えて大人気。そのため他メーカーも追随するしかなく、その結果どれもこれも似たようなデザインになった上、割りを食ってしまったのがスピーカー。
枠が狭くなってしまったのでスピーカーを取り付ける面積がなくなり、その結果本体の下側に下向きにつけることになってしまいました。
スピーカーが聴く人の方向を向いていないなんて、そもそもいい音になろうはずがありません。
その上スピーカーに必要なエンクロージャーの体積も確保されず、とりあえずDSPを内蔵して頑張って音補正をしているというのが現状とのこと。
この風潮に風穴を開けようと登場したのが今回ご紹介するオリオン電機の
音を極めた耳に心地よく目に優しい液晶テレビ 極音(きわね)シリーズ
なのです。
極音 RN-32SH10, RN-24SH10 | オリオン電機株式会社
スピーカーのコストを3倍に
まず着目したのがスピーカー本体。
従来、コストダウンの影響でスピーカー本体は実に安いものが使われているということで、これをなんと3倍のコストのものをチョイス。とは言っても実際の価格で比較するといくらも違わないということで、コストパフォーマンスを追求。
木で作ったエンクロージャーに入れて性能評価して決定しています。
しっかりしたエンクロージャー
次に実際のTVに装着するためのエンクロージャーの設計。
エンクロージャーは体積を確保するとともにエア漏れがないこと、それ自体が歪んでビビり音がしないために剛性が求められます。
そこでABSポリカを使い曲面でしっかりとした剛性を確保しつつ、TV本体のデザインを損なわないように画面裏側にエンクロージャーが来るように設計されました。
バスレフは音響の物理特性から26cmを確保、不足する分を曲げることで長さを確保しています。
高音域を確保するツイーターはあえて5度外側にオフセットすることで、音の広がりを表現しました。
DSP内蔵デジタルアンプ
アンプは10W、よく使われる汎用タイプということですが、実はここにも設計のキモが詰まっています。他社のほとんどはその標準回路をそのまま使ってしまっているのですが、アースの引き回しやコンデンサーなど、ちょっとした工夫で高音質化することが可能。そのノウハウをつぎ込むことで部品、コストはほぼ同じでも、音の違いを生み出したそう。
せっかくDSP搭載しているのだから、とイコライザ調整も可能に。いわゆるプリセットで音場を選べるだけではなく、自分好みの音にチューンすることができます。
ここまでやっている32/24型画面TVはなかなかありません。
試聴
音の評価は一般的に非常に難しいです。音質をどう表現するか、いわゆるオーディオ評論家の方はその表現手法に長けているので毎回感心するのですが、この「極音」はその心配はありません。なぜなら、全然違うからです。誰が聞いても明らかに「良い」。
解像度が高く音がクリア、低域から高域まではっきりしており、どんなオーディオソースでも明らかに音がイイと感じられました。
映画では俳優の声と、シリアスな状況に見合った低音の効いたBGMが同時に出ますけど、セリフは聴きやすく、そしてしっかりした低音が臨場感をかきたてます。
シンガーによる歌唱ではボーカルの声とコーラスの声のハーモニーが明確に聞き取れます。特にコーラスオンリーになった時にちゃんと聞こえるのに対し、従来のTVだとほとんど口パク状態になる程、音が出ていません。
ニュースではアナウンサーの声がはっきりくっきり。よくお年寄りがTVの音をめちゃくちゃ大きくしていますが、その理由は実はTVの音が悪くて環境音と混じって聞き取りにくくなっているからということが多いです。その点、このTVなら音量が普通でもはっきり聞き取れるので、TVショッピングだ大好きなお年寄りのパーソナルTVとしても最適。
スペックではわかりにくいし、売り場ではなかなか比較できませんが、これは比較したらまさに圧倒的。同じ画質、同じ値段なら一流ブランドを買うのがバカらしくなってしまうほどの明確な音質差でした。
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オーディオ高音質化技術は応用が広がる
今回TVでしたが、実際の自分の生活を考えるとTVチューナーは入っている必要はなく、モニタ、特に最近流行りの4Kモニタとの組み合わせが嬉しいかもしれません。
今PCで使っているHDモニタは一応スピーカーは入っていますが、それこそ鳴っているだけでひどい、しょぼいものです。その結果何をしているかというと、Olasonic製のUSBスピーカーアンプを使い、ミニコンポ用スピーカーを接続して音を出しています。これがなかなかいい音を出すのでお気に入りなのですが、問題は体積を食うこと。机の上をスピーカーが占領してしまっています。
小型化技術というのは狭いデスクトップでは大切なので、せっかくスピーカーつけるのであれば、最初から高音質のオーディオが付いている方が何かといいです。
また最近TV会議をすることが多いのですが、結構音質問題というのはシビアで、音は聞こえるけれども会話の内容が聞き取れないことがよくあります。
聞き取れないからといって音量を上げても、解像度が上がるわけではないので、回りがうるさいだけで聞き取れないことには変わりがなく、不幸の連鎖となってしまいます。
バイクに乗るとき、bluetoothレシーバーに接続した薄型スピーカーをヘルメットに仕込んでいるのですが、まあ、これが音が悪いの何の。もともと音がスッカスカな上に速度を上げていくとエンジン音、風切り音で全く音が聞こえなくなるほど。そりゃそうです、たった数センチ、厚さ数ミリのスピーカーでエンクロージャーも何もないのですから。
まだまだオーディオ高音質化技術の活躍する場所は多いです。
資金調達という意味ではクラウドファンディングという手も出てきているので、このオーディオ高音質化技術で次々と新しい製品を出していってほしいな、と思いました。