ITP/NYUに留学していたとき、MTAの券売機や車両をデザインしていた工業デザイナーの Masamichi Udagawa氏のクラスをとったことがある。そこでの課題はグループワークで新しいkiosk/vending machineを発案すること。
確かうちのグループはフィリピン人、韓国人と日本人の私でTKTS(ミュージカルチケットのアウトレット)をkioskにする、まっとうな自動販売機ものだったのだが、他のグループで「FAME MACHINE」というのを発案してきた。
これはどんなものかというと、
・人々はFAMEを求めている
・しかしなかなかFAMEを得られない
・FAME MACHINEでは、人々のFAMEへの欲求を満たすため、まず登録する(芸、得意技を披露したり、そもそも綺麗な人は写真で十分)
・その登録された人に対して他の人が評価する
・評価が高い人はFAMEを得られる
というもので、当時はサッパリ分からなかった。何が分からないって、その「FAMEを求めている」というところだ。
FAMEって何?
日本語訳では「名声」である。ますますわからない。名声は得られるものであって、得るものではないと思っていたからだ。それに名声を求める、潜在的欲求が自分にまったくないので、それも理解できない理由の一つだった。
今振り返ってみると、よくわかる。これってソーシャルネットワークの基本的欲求の一つだ。FAMEを「いいね」やretweetに置き換えればいい。instagramはまさにFAME MACHINEだろう。
GOOUT CAMPはもうひとつのFAME MACHINEである。
アウトドア雑誌「GO OUT」主体のリアルイベントなので、当然キャンプなのだが、どうも普通のキャンプ場と様子が異なる。
まずコールマンが少ない、ほとんどない。
普通のキャンプ場であればシェアどおり、コールマンやらLOGOS、CAPTAIN STAGといった量販店で販売されて入手しやすい装備がほとんどで、ドームテントが主流、リビング(土間)がついて大型化しているのが最近の傾向だ。クルマもミニバンばかりで、画一的といっていい。
ところがGOOUT CAMPでは多種多様なメーカー、形態、大小さまざまなテントが乱舞しており、まさに多種多様。特にドームテントが主流ということもなく、小型テントもあれば、ワンポールテント、などなど。ニッチなメーカーも多く、むしろスノーピークすらもメジャーすぎて敬遠される傾向という。
GOOUT自体はどうもファッション&アウトドア版MONO MAGAZINE的な様相で、さまざまなギアが紹介されているが、それを参考に購入するのはそうだが、どうもこのリアルイベントで自分たちのアウトドアスタイルをお披露目して取材を受け、雑誌に掲載されることを狙っているそうだ。その点ストリートファッション誌に構造が近い。
それは自動車も同じで、売れ筋のミニバンや1.5ボックスといったものだけではなく、オールドカーや牽引、ビンテージカーにビンテージバイクなど。一番驚いたのは日本であんなに売れているプリウスが1台も見当たらなかった点だ。人と違うものを、と考えたら真っ先に外されてしまうものだし、燃費やエコというものよりも大切なものがあることを認識しているのかもしれない。
ということで、これもひとつのFAME MACHINEの形なのかと思った次第。