オープンカーは公道を楽しむものなので、レーシングカーのようにタイムを削る、コーナリングスピードを上げることが最終目標ではないと思っています。評価軸を「楽しさ」としたときに、タイムを追求しないからといって曲がらない、遅いのはやっぱり楽しくない。だからペースを上げていったときについてくる感覚は欲しい。
いまどきの小型5HB、ミニバンは所詮人員輸送車なのでそういう感覚は薄いんですよね。バスですよ、自家用バス。
ふと気付くと日本車は室内の広さだけを売りにした人員輸送車ばかりになっていました。「自動車」としての基本性能、走る曲がる止まるの対極にあるものです。背が高く、重心が高い。重く、でかい。だから走らない、曲がらない、止まらない。
その結果どうなったかというと、交通が流れないんです。
高速道路の連続する上りでスピードが落ちる人員輸送車たち。いわゆる「サク」ですが自然渋滞の原因となり、公団でも「速度低下注意」という看板を出すほど。
遅いクルマは車線変更も苦手です。車線変更とはコーナリングの一種で「曲がる」性能が低いから車線変更もしたくなくなります。そうなると適切な車線を走ろうとせず、だらだらと中央の走行車線や一番右側の追い越し車線を走ることになります。結果一番左側の車線が空いているという状態に。
たとえ3車線あったとしても、交通容量をきちんと使えていません。
そんな日本車ばかり作っている日本メーカーの未来は暗いです。
「CMに○○を使ったから、×××××が売れてる」
そう某メーカーが喜んでいるそうですが商品力ではなく、CM力に頼った商品戦略。売れているクルマがいいクルマではない、ということは周知のこと。だからといってダメとは言いませんが、商品力をCM力が上回っているといっていいでしょう。
売れるクルマを作る。
これも企業の正義です。しかし自動車メーカーである限りは、自動車は移動体であること、交通であること、事故をともなうものを理解し「走る、曲がる、止まる」を大切にすべきです。
売れるからといって全部が全部人員輸送車、自家用バスばかりではいかんのです。ドライバー自らが動かすクルマ、自動車を作らないと、そのへんをDNAで理解しているヨーロッパメーカーと「自動車を作る」技術の差はますます開くばかりです。
「自動車」技術の際たるもの、それはスポーツカー。
タイムを刻むレースカーとは異なり、公道を楽しく走れるのがオープンスポーツカーのいいところ。その時に意のままに動く、人車一体感がとても大事なのです。
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